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王立騎士団からイザベラが分離独立した後に、ロゲルナというプレイヤーが独立して海運ギルドを立ち上げた。
王立騎士団の友好ギルドだった商人ギルドも、ロゲルナらとコボルド討伐の連合軍を組み、王立騎士団との戦闘も辞さない状態になっているという。
これはトーマスというギルドメンバーからの情報だった。
サブリーダーのメイスは、この件で俺と個人チャットで相談してきた。
「私はトーマスを信用できない。彼は王立騎士団のスパイだと思う。誰かのサブアカウント。商人ギルドのゴールネスは、私も商取引で接したことがあるけど、見かけとは違い、誠実で裏切りなどしない。彼が王立騎士団を裏切るとは思えない。でもあなたが連合軍に加わりたい気持ちもわかる。青の港にイザベラの懲罰ギルドが入ったから、私たちが拡大するには、王立騎士団との戦いは避けられない。イザベラも港の運営にしばらくはかかりきりになるだろうし、王立騎士団の戦力はかなり落ちているのは確かよね」
俺は連合軍に加わるか、決めかねていた。
だが、王立騎士団からアーゼンが抜けて、連合軍に加わったという話は、連合軍への参加の気持ちを後押しした。
アーゼンのことは、俺は良く知っていて、良いプレイヤーだった。
ギルドは別になったが、ゲーム開始初期に商取引を何度もしていて、その後も交流を持っていたからだ。
そして、連合軍に第一ギルドが参加することが決まり、俺は連合軍への参加を決意した。
「これは勝てるだろう。戦力では連合軍が圧倒的だ」
俺はメイスに同意を求めた。
メイスも第一ギルドの参加には驚いたようだった。
「それに、パクのいたギルドの、マイノスの参加も頼もしいわね。彼、急激に力つけてるわよ。王立騎士団と小競り合いしたばかりだし、裏切ることもなさそう」
メイスが同意してくれたことで、俺は連合軍への参加を申し込み、ギルドメンバーにも連合軍への参加を通達した。
長い夏が終わり、秋が来ていた。
メイスは、現実世界の俺の女房だ。
俺はゲームを始めてからしばらくして、彼女もゲームに誘った。
夫婦の会話が少なくなっていたので、ゲーム内で交流を取れたらと思って誘った。
彼女は教師だけあって、統率するための手順をわきまえている。
彼女のおかげもあって、ギルドは後発ながら急速に強くなった。
今ではギルド順位で4位だ。
「決めたよ。連合軍で戦うことに」
俺は洗濯物をたたみながら、女房に話しかけた。
彼女も自分のものを選んでたたんでいる。
「私たちも戦おっか・・・」
彼女がよくわからないことを言ったので、え?と俺は聞き返した。
「子供出来ないじゃない。理由調べてみよっか」
窓を開けた外から、秋の涼しい風が入ってきていた。
俺は女房がどんな表情をしているのか、その顔をまじまじと見ていた。
彼女は覚悟を決めた、冷静な表情をしていた。
怒っているわけではない。
笑っているわけでもない。
時間は止まり、俺は神に祈ったよ。
彼女に笑みを、彼女に幸福を、俺が与えることが出来ますようにと。




