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4:「古い駅のホームで、列車を待つ」



 ホームを吹き抜けた風は、生ぬるいどころか暑かった。

 思わず顔を上げると、鳩が一斉に飛び去っていく。

 日陰にあるベンチはいくらかマシだが、ホームは夏の太陽のもと燃えるように暑い。

 腕時計を覗くと、電車の時刻まであと十五分もある。

 駅に来るのが早すぎた。

 喉が渇いてきたけど、暑すぎて自動販売機まで行くのが億劫だ。

 ふと、考える。

 亡き祖父の遺産を相続していたら、今の仕事を辞められるだろうか。

 いや、私はあの家だけは無理だ。

 頭を振って、もしもの想像を思考から追い出した。

 考えないようにするために、自動販売機へ向かい、お金を入れてお茶を買った。

 お茶を半分飲んで一息ついたその時だ。

 改札の方から慌ただしい足音が近づいてくる。

 従姉妹が走ってきて、私の手を握る。

 彼女は目に涙を浮かべて訴える。

 親族がみんな、相続放棄したの。

 涙で声を震わせながら、従姉妹は続ける。

 もう、あなたしかいないの。

 従姉妹よ、それ以上言うな。

 電車よ、早く来てくれ。

 あの家だけは怖いんだ。





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