表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/30

27:「忘れ物」



 朝、家を出ようとした俺は、何かを忘れていることに気づく。

 鞄の中を確認する。

 財布、スマートフォン、鍵、名刺ケース、ノートパソコン――どれも持っている。

 部屋を見回しても、忘れ物がなんなのか、わからない。

 洗面所の前を通りかかると鏡に映らなかったので、慌てて映るよう魔力を調整する。

 鏡には映った。

 それなのに何かが足りない気がしてならない。

 喉の奥がひどく渇いた。

 胃も空っぽだ。

 それに、指先が妙に冷たい。

 まさかこんなところにと思いながら、バスルームの扉を開ける。 

 そこには、壁にもたれかかっている女がいた。

 白い首筋には、赤い跡が二つ並んでいる。

 やっとわかった。

 俺は彼女の首筋に牙を立てて、その血を吸った。

 喉が潤い、腹が満たされ、身体が温かくなる。

 それで俺は自分が人間社会に馴染みすぎていることに気が付いた。

 まさか、自分が吸血鬼であることを忘れるなんて、笑い話にもならない。

 そういえば今何時だ? 

 時計を見る。

 始業時間まで、あと十五分しかない。

 大慌てで口元をティッシュで拭き、俺は家を飛び出した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ