↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学園戦隊ボウエイジャー  作者: 水嶋りこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/31

第13話:【一月】ヒーローの真実(前編)

新年を迎えたばかりの叡徳高校。

凍りつくような空気の中、校舎の屋上からたくさんの何かが舞い落ちてきた。


——白い紙。


「なにこれ……?」

通りかかった生徒がそのうちの一枚を拾い上げる。

大きな見出しで、黒々とした文字が踊っていた。


『スクープ!知られざるあの人の秘密!!』


「え、山田と奈々美って付き合ってたの!?」

「見て、これ!教頭がカツラって書いてあるんだけど!マジ!?」

「ちょっ……こっちの、ミスコン出てた人じゃん。『中学のとき100kg超え』って……この写真本物?」


ざわめきが一気に広がる。

手にした紙は次々と友人へと回され、瞬く間に学校中に噂がばら撒かれていった。


屋上では、人影が不気味に笑っていた。

「フハハハ!俺様の名は、ヤムヤム・ゴーガイ!スクープをばら撒き、世の中をひっくり返すモンスターだ!」


ストレスが波のように校内を覆っていく。

書かれた本人の心を抉り、そうでない者も「次は自分かもしれない」と不安を煽られていく。



「新年早々、えっぐいの出てきましたね」

若葉が顔をしかめた。

「この時期は受験ストレスが溜まるから、他人を蹴落とすヤムヤムが出やすいんだよね」

泉が冷静に分析する。

「俺らも来年は他人事じゃねぇな」

昴がため息をついた。


ボウエイウォッチは紙が降り注ぐ屋上を示している。

「屋上です。急ぎましょう」

千代が短く言い切る。

「よし、行くぞ!」

昴が号令をかけ、一同は走り出した。



屋上に駆け上がった瞬間、空気はさらに重苦しく淀んでいた。

校内から溢れ出したストレスが、ゴーガイの体に吸収されていく。


「来たな、ボウエイジャー!」

ヤムヤム・ゴーガイが札束のように号外を取り出し、にやりと笑う。

「お前らの秘密もあるぞ。これだ!!」


「それっ!」


ばさばさと紙が風に舞い校内へ降り注いだ。

昴の手に落ちた一枚。そこに書かれていた見出しは——


『ヒーローの裏の顔』


昴は息を飲む。



——赤塚昴はヒーロー失格である。

中学三年生の時に暴力事件を起こして停学。合格していた私立難関高校入学を取り消される。

知り合いの理事長の計らいで、叡徳高校に特別に入学した。


若葉は目を丸くした。

(……これ、聞いたことある……)


暴力事件。裏口入学。

部長が強くて怖いから、誰かが面白がって広めてる噂だと思っていた。


「残念ながら、この号外はすべて事実だ!」

ゴーガイが高らかに宣言する。

 

「まぁ、読者は事実かどうかなど、気にしないだろうがな!人は面白いものを信じる!」

勝ち誇ったように笑った。

 

「例え俺様を倒しても、世間は忘れん!ボウエイレッドを、いつまで名乗れるかなぁ!?」


六花が息を呑み、千代と泉が思わず昴を見る。

昴は、何も言わなかった。


冷たい表情で、手にした号外を見下ろしている。


「昴先輩……?」

初めて見る昴の表情に、六花の声が揺れた。


「……過去ってのは、消えないもんだな」

低くつぶやいたその声は、どこか乾いていた。


「それって……」

若葉が問い返すが、昴は答えない。


次の瞬間、ボウエイレッドに変身した昴がソードを抜き放ち、真っ向からヤムヤムに斬りかかった。

 

「ははは!ストレスまみれの攻撃だ!俺様を強くしてどうする!」

ゴーガイの一撃に弾き飛ばされ、昴は地面を転がる。

 

「部長!」

「昴先輩!」

六花と若葉が駆け寄る。

だが昴はよろめきながら立ち上がり、無理やり前に出た。

「まだだ……!」


だが、その剣はまたもはじき返され、吹っ飛ばされる。

普段の昴にはありえない光景に、若葉と六花は言葉を失った。

敵は余裕の笑みを浮かべたまま、白紙の紙束を掲げる。


「今日はここまでにしてやる!まだまだ号外のネタはある!当分貴様らのストレスで楽しませてもらおう!」


大きく笑い、ゴーガイはストレスの霧とともに姿を消した。


屋上に残されたのは、敗北感と——沈黙する昴の姿だった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。