sideマーリー 前編
それは一瞬の出来事であった。ある日、外で遊んでいると無理矢理車に押し込められで拉致された。
目隠しされ、口も粘着テープで塞がれて、どこに連れて行かれたかもわからない。
しばらくすると、同じ境遇の子たちと同じ部屋に閉じ込められた。コンクリートに囲まれた、廃墟の一室のような部屋だ。閉じ込められて、風呂にも入れず、着の身着のままの子供たちが詰め込まれており、異臭がするとともに衛生的に劣悪である、
マーリーが部屋に押し込められた時点では、泣きじゃくる子はおらず、部屋の隅で目を腫らした子供たちが震えながら怯えた目で出入り口の扉を見ていた。
おそらく、泣きじゃくり、騒ぐなどをすると暴行をうけるのだろう。暴行による腫れやあざ、変色した肌のある子が数名いた。
マーリーは大好きなお母さん、お父さん…そして、伯父さんが助けてくれることを信じて、ぐっと恐怖に耐えた。特に伯父さん彼女の心の支えだった。
しばらくすると、コンテナに詰め込まれて、場所を移動した。
次の監禁場所についた時には、空気が違っていた。
スキンヘッドの男が場を仕切っているのだろう。子供たちを見ると哀れみと怒りの表情で、部下に指示を出した。それは、決して、人としての情により、子供たちを思ってのことではない。
劣悪な環境で、子供たちの商品的な価値の損失を恐れてのことだ。
不潔で小汚い子犬と清潔で小綺麗な子犬なら、どちらが商品的な価値が高いのか、もしくは、どちらが買いたいかを気にしてである。
消毒液やシャワーを浴びせられ、子供たちからしたら簡素な着替えだが、奴隷か囚人のような服に着替えさせられた。顔を隠した、女性スタッフから、身支度を整えられた。
そして、監禁された建物は、廃墟だが、清掃されて、小綺麗な環境だった。
以前はろくに食べ物すら与えられなかったはずが、定期的に食事をすることができた。
環境こそ、ある程度良くなったが、奴隷から囚人になったような状況だった。




