本戦開戦前
『久しぶりだな。狼娘』
笛吹男は付き合いの長い友人に話すかのようだった。
「ええ、何か御用でも?今忙しいの、手短に願える?」
めんどくさそうにぶっきらぼうに言うエレンに対して、笛吹男はフレンドリーさを崩さない。
『いやなに、単なる挨拶だよ』
「わざわざ挨拶するような関係?競合他社でどちらかというといがみ合う関係じゃない?」
仕事を邪魔し、邪魔されの関係にある以上当然の質問だ。
『 敵だから憎みあうことは無いし、俺は競合とはいえ敬意を払っているんだよ。Ms.Ellen』
「あら、こちらは散々貴方のビジネスを邪魔してるから、てっきり親の仇程憎まれているかと…」
『ビジネスに邪魔はつきものだろう?いちいち腹を立ててはキリがない。動物を保護して野に放つ仕事の奴らは動物の商品的価値について考えないだろう?』
「それはそうだ。で?新規の事業とお得意様の仕事を潰された気持ちは?」
『なに察しの通りお得意様からの紹介で面倒を見てやったのが、身の丈に合わないことして潰されるは、商品に手を出すわのてんで見込みのない組織でな…結局お宅らにこちらの投資や人材を潰されて大損した訳ただ…なら報復はするだろう?』
「狙いは私の首と…」
ビジネスの契約締結目的に来日した以上、最低限の人員しか導入できず、被害者を保護し、動きを取りずらい状況である。
『それはそうだ。チャンスがあれば大将首は狙うものだ。』
この会話の時間がお互いに戦闘配備するのにあてているのは半ば承知の上だ。
「なるほど、負けず嫌いではあるんだ」
『負けっぱなしは嫌だし、自分だけ損するのは嫌だろう?』
「その様子だと勝算が?」
どこか他人事の様子の笛吹男に疑問を覚えて問う。
『うちらも強化人間と優秀な人材を失う大損してる訳だ。任せられた組織はこの国の対応が甘いのかグダグダしていたし…情報漏洩はあっちに非がある。それに依頼人にはそちらが日本で商売するのにどれだけ脅威かは教えたらやる気になってくれてな』
「なるほど、暴れた分だけこちらがいかに脅威かアピールできると…」
『手前らができないことを任せらても困るし、共通の敵が出来れば手を取り合えるだろう?』




