動き出した行動と感情
仕事の成果はいかに段取りをし、準備をしたかで決まると言うが、それに関してエレンは同意する。
意図しないことの連続で突発的でここまで来てしまった以上やるしかないが、今が順調であっても問題が起きること前提でいかにはやく異変に気づき対処するかが求められる。
門蔵の所属する派閥は、最大の勢力を誇るが故に一枚岩でない。門倉の率いる組織であっても、内と外からの妨害で思ったように競合相手を倒す為の情報収集が集まらず、後手に回ってきた。
あの妖怪なんちゃって学生コスプレ女の少数精鋭を重用する理由だろう。図体のでかい組織になればなるほど、動きが取りづらく、不純物も混ざりやすい。
そして、正式協定を結んだこちらに依頼をした。
タチアナから連絡が入る。ドローンや監視カメラ、タチアナの報告などから、現時点での敵影を確認し、安全であると判断をした。
タチアナら被害者が監禁されているスペースに向かう。
男女や年齢ごとに分割されている被害者の監禁部屋を開けて、状態確認をしていく。
クリアリングをし、部屋の内部入る。子供たちの姿をとらえた。
瞬間、銃声が鳴り響く。
そのように訓練された子供らがいる部屋が仕込まれていたのだ。
子供故の悪意ある思考や悪辣な行い、そして、常人であれば子供に手を出すという倫理観に反する許されない行為により不意打ちや騙し討ち、または返り討ちにあう。
さらには歴史的にも銃が戦いに広く普及したことにより変わったことの一つに、今までは非戦闘員であった非力な者でも屈強な男を殺せる兵士になりうる。
ここにきて、暴力を教えられた元少年少女たちで編成された傭兵集団である利点が動く。
手口を知る故に、対応できる。
躊躇いなく、殺さない程度に無力化できることだ。
複数の子供たちが、密輸された拳銃を構えている。
だが、相手が悪すぎた。
映画やアニメで銃弾を避ける芸当をさまざまな理由で行う登場人物がいる。
流石に連射される銃弾を避けれる程ようなことはできないが、初弾であれば銃口から射線を予測し、指の動きで発射タイミングを察することが彼女にはできた。
手が届く間合いでなく、5メートル程距離があった。突然銃を抜き、銃口を彼女に向け撃った。
訓練されたことで、狙いが正確のも原因で子供たちが撃った弾は一発も当たらず、低姿勢で素早い獣ような動きで避けると同時に接近をする。
タチアナは銃を抜かれたと同時に行動しており、間合いまで接近するには十分だった。わざと集団に飛び込む。
そこからは、彼女の独壇場だった。あとは、かつて日常的に行なっていた抵抗する少年少女たちを力で無力化するだけだ。
敵意や殺意、凶器を所持していたりなど危害を加える可能性があるものに対しては、理由がない限り機械的に殺すように仕込まれた彼女だが、子供に関しては何があろうとも殺害しないようにしている。
それは、鉄屑回収屋に保護され、とある女性に出会ったことが理由だった。
当初は社会復帰が難しいとされた。ある程度の一般常識や教養を受け、18歳の時にPMCとして機械的に救出に任務を行なっていた。少年少女兵や犯罪組織の構成員などの子供たちは殺すなと命令されていたから、殺さなかっただけだった。
女性は難民や自分らのような保護された子供たちに居場所や勉強する機会を与えたりして、社会復帰の支援活動を行う財団を組織し、自ら現場で動いていた。
そして、彼女はタチアナが保護するたびにタチアナの無事を喜び、タチアナが子供たちを保護したことに感謝をした。できれば、保護する側もされる側も無傷でいて欲しいだろう。それが難しい現実なのは理解をしている。それ故に、女性はタチアナの働きを我が子のようにあたたかくお礼をいった。実の家族の記憶は擦り切れて、思い出せないタチアナにとって、それはかけがえのない出来事だった。
それが後に、タチアナにとって、子供たちの為に動きたいという行動原理になったのである。




