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救い

 作戦時間になり、動き出したタチアナの動きを見たフィオナは、口にこそ出さなかったがステルスアクションゲームの神プレイ動画を見ているかのようだった。


 この廃倉庫に偽装された監禁場所の建物に対する見取り図、敵の数と配置、巡回路などを全て頭に入れた上での動きを見て、そう感じた。


 監視カメラの偽装や電気系統等の掌握は、フィオナがハッキングしてある。それを差し引いても、バックアップのオペレーターを担当するフィオナが杞憂すら思い浮かばない程だった。


 前に動きがステルスアクションゲームといったが、映画で言えば姿の見えないスラッシャーに襲われていくホラー映画をも思わせた。


 姿を見た者は、全て命を絶たれている。


 その上に理由として、闇に紛れ、物陰や死角、あらゆる手段を使い身を隠し、さらには一切気配を悟られずに敵を殺していた。


 さらには死体は、可能なら遮蔽物や収納スペースを使い見つかりにくいよう隠していたが隠すのが難しい場合に彼女は、返って目立つようにしていた。


 喉を裂かれ、派手に血飛沫を上げていただろう者や死因こそ別にあるが腹を裂かれてはらわたをさらけ出した派手な犠牲者をあえて敵に見つけさせた。


 彼女に嗜虐趣味がある訳ではない。彼女は必要と考えればどのような残虐な行為をするだろう。


 彼女が一般社会に出にくい理由のひとつだ。


 脅威を排除するには?


 敵を殺せばいい。


 しかし、殺したところでまだまだ脅威がさらないとしたら?


 敵からあらゆる手段をこうじて、情報を得て…


 元凶を殺せばいい。


 かつて、殺人機械同然に刷り込まれた影響である。


 絶対平和な場所であれば、平和に生き、人を殺め、傷つけることなどなく生涯をまっとうできるだろう。


 しかし、彼女はそうなれなかった。


 殺しをせずに暴力以外で人を笑顔にすることは彼女の夢であった。


 気づかれず、背後から喉をかっ切ったり、首をへし折る、または絞殺する。


 機械的に、適切であろう行動をする。傍目から見て残虐な行為でさえ無感情で行う。


 その行動原理は、人を救う為という一筋の光に縋るかのようであった。


 自分がヒーローでないことはわかっている。 


 手放しに賞賛される行いではないことはわかっている。


 ただ、血に塗れ、目を背けたくなる事をしてきた自分に存在意義が欲しいエゴであることもわかっている。


 助けるべき者より自分のことしか、考えていない自分は贖罪をしていると思うことすらおこがましい。


 しかし、暴力を容認せず、だけど、そうする事でしか生きられなかった私のような者たちの罪を背負うといった殺人機械だった彼女を救ってくれた人と憧れの人に出会った。


 暴力が染み付いたタチアナにマシなことに使えと、受け入れてくれた。


 人を救うことにやりがいを与えてくれた。


 人を傷つけずに、人を救えることを教えてくれた。


 しかし、あの人達は、暴力に奪われた。


 悲嘆や怒り、憎悪…様々な感情を抱いたことだろう。


 あの人どころか、自分を救い、拾ってくれたボスも殺された。


 元の家族は二度と会うことができないことはわかっている。


 復讐を考えたこともある。


 だけど、彼女自身が過去復讐されてもおかしくないことをしていることを理解している。


 いろいろな考えが交差した。


 やがて、繰り返される暴力の衝動に対しての嫌気がさし、逃れたいと感じた。


 しかし、社会復帰が奨励される組織であっても、自分だけ平穏な場所に行くこと、過去の行いに関する罪悪感がある。


 だから、憧れの人のように暴力抜きに人を助ける事をする。その方法が自分のような者を暴力から足を洗う手伝いをする。


 そうすれば、救われると縋っていることはエゴだろう。


 先代の娘であるエレンがタチアナを気にかけ、彼女の選択を尊重していることも彼女自身もわかっている。


 なら、せめて、今やれることは、力をマシなことに使い。力になると、できる事をできる限りしないといけない。


 たとえ、彼女自身は救くわれなくとも、罪のない被害者を助けなければならないと。


 


 


 


 


 

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