君と過ごした日々
現実で契約内容や利用規約などを隅々まで確認する必要はあるが、いざ確認するとなるとかなりの時間がかかるのではないだろうか。
今回の契約も例に漏れず、確認内容は膨大である。
「余裕があれば、何が合ったか話してくれない?」
「もう知ってるんじゃないのか?」
書類と睨めっこしながら、怪訝そうに言う。
「何事も相手のことを詳しく知ることは必要よ」
「はぁ、おもしろい話じゃないけど…」
ー知ってはいると思うが闇で売られて殺しをしこまれた。
で、ある日買われた組織が潰れて、吸収と解散を繰り返して、寄せ集めのグループで殺しをしていた。寄せ集めでまとまりがなく、どうにか巻き返そうと無謀なことをする奴らの道具として殺しをしていた。
成果をあげるに躍起になった奴らは日々死んでもかまわないとばかりに単独で鉄砲玉として、自殺行為と変わらない仕事をさせられてきた。あの時、おれ自身は死んだら、死んだらで終わるから構わないと思った。死にそうな目に何度もあった、無我夢中だったからどう切り抜けたから記憶がないけど、少なくとも死体の山を見るに皆殺しにできたんだろう。
日々くさい飯を食い、眠れない日々を過ごした。動けない怪我を負い、激痛に耐えて、ある程度回復して少しでも動けたら、また駆り出されるを繰り返す。人より、治りが早いのも拍車をかけたんだろうな。
死にたいと思った、なぜか死ねなかった。多分、他人を殺すことに慣れすぎて、自分をどう殺せばいいかわからなくなってただと思う。言ってる意味はおかしいけど。
ある日、ある組織に吸収される際に話が違うと揉めたときにあいつと出会った。
最初、あいつは相手組織の女だと思ったが、まさか出てくるとは…
戦った結果?正直、負けた話で情けないから話したくないが…
まあ、手も足も出ずに負けたんだよ。
瞬きの間に一瞬、消えたかと思ったらいきなり目の前にいて、蹴り飛ばされてた。
意識が一瞬とんで、目が覚めたら、あいつは地面に組み伏せてオレを取り押さえていた。
うちらのグループはおれ以外は死んだ。多分強化人間ってところに価値を見出したんだろう。常人より丈夫で回復が早い程度だけど、結果として、おれは生かされた。まあ、殺しの道具としての扱いは変わらなかったが。
だけど、待遇は前より良くなった。
で、同じ強化人間をお目付け役にしたのか、あいつとコンビを組むことになった。正直負けたことはなかった分悔しくて、しばらくはつかかってはボコられてた。いつも、とらえきれない動きで一瞬でやられてたけど、理由は少し経ってからわかった。一旦それは置いておいて…
で、あいつを師匠として鍛錬したり、仕事したりして、共同生活をした。
聞かれる前言うが、師であり姉であり友人であるといったところだよ。身寄りのないおれにとって唯一の家族で大切な存在だ。
あいつの印象?穏やかで優しげな感じ、普段一緒にいてそう感じた。ただ、仕事のときなまじ見た目がいい分、すんなりとターゲットに接近する武器になってるのを思うところがある。人のことは言えんが、どこか壊れてるのだろう。なんとなくだけど、同族意識があって、一緒にいると落ち着いた。
まあ、きっかけは組織の命令で一緒に暮らすことになったけど、多分境遇と歳が近かったのもあってか、仕事外だけど初めての対等な関係で正直居心地が良かった。役割分担して家事を行なったりして、生活するのは初めての感覚だった。日々過ごすうちに家族や友人のような関係はこういうものなんだろうって思った。
しばらくして疑問に思ったことがあった。それは、あいつは日々噛み締めるように生きてたことだった。殺しこそ淡々としてたが、それ以外の日常はいろいろなものを感慨深そうに見ていた。空や景色、生活の中での出来事とか。ふとした時に視線を感じて、あいつを見たらそんな表情でこっちを見てた。
ある日、理由を聞いたら、
わたしの強化人間としての力って知ってる?って聞いてきたから、おれと同じだろって言ったら、わたしは身体機能を活性化させて、一時的に運動能力をあげることができる。ただ普段より強くなるだけだけど…問題があって、強化人間で丈夫とはいえ血圧が異常に上昇して心臓にとても負担がかかって、もうもたないって
そして、あげくの果てに最後にあなたと過ごせたことがわたしの生きた証になるって言われた。
貴重な安定した強化人間の運用サンプルであり、量産を前提で試験的につくられ、実用試験として使われてきたが身体に限界がきつつあって、しばらくしたら検体になる。
最後にあなたの押さえ役として、役目が与えられて、最期に擬似的な家族として過ごせて幸せだったって…できればもっと一緒にいたい、少し未練がでてきたけど…もうそろそろ時間くるって
その後、しばらくして倒れたあいつは意識が戻らなくなった。
皮肉なことになんとなく死ねなくて生きてるおれと諦めつつも生きたいといったあいつ…
検体として、輸送されると聞いて準備進めた。
どうせ裏切るならと金や武器、切り札としてパソコンから取引に使えそうデータをコピーした記憶媒体をエスケープバックに詰めてとある場所に隠した。
あとは知っての通りだと思うけど、組織の車を奪って、逃げて、ホテルに突っ込んで殴られる




