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とある作戦の結果

 戦争とは、いうまでもなく酷いものである。


 先の大戦、英雄と呼ばれるのにふさわしい武勲をたてたスプーナーだった。しかし、戦争末期のとある戦地にて、作戦中に爆発に巻き込まれ右手を失い、生殖能力が喪失した。


 後に、退役軍人となった彼の生きる希望となったのは妹夫婦の娘だった。その姪を実の子のようにかわいがり接していたが、妹の夫は戦争の復興支援のために遠方へ赴任することになる。そして、大戦の影響で起きた紛争に巻き込まれ、日本に逃れることとなった。


 さらなる悲劇として、姪は行方不明となる。自分の身体をこうなるきっかけとなった国家に不信感があり、行政機関などあてにならないとして単身日本にこれから行う不法行為に足がつかないようにツテを使い密入国を行った。姪さえ見つかれば身元がバレる前にアメリカに戻りさえすればシラをキレばなんとかなる手筈だった。多少、無茶をしつつも行動していた矢先に捕まってしまった。


「あの子は右腕が彼方まで吹っ飛んだあげく、クソッタレな爆弾のせいで種無しになったオレの希望だった」


 これらの概要をとある一室にて、椅子に座ったまま両手両足を拘束されている状態で取り調べを受けていたスプーナーはあっさりと語った。信じる信じないかは別だがとして、それが全てだとばかりといった態度だった。尋問はエレン自らが行っており、部下に裏どりの指示をだし、真偽を確かめている。


 そして、自分の娘といってもいい存在であったという話を静かにエレンは聞いていた。身元の確認はとれ、財団に依頼が入った夫婦と身辺とも一致していた。


「あくまでも合衆国との繋がりはなく、個人的な事情であると…」


「陰謀論がお好きなら拷問でもなんでもしてくれ」


「ツテを使って密入国すれば、怪しいし、あの国は何かと首を突っ込みたがるでしょ?こちらとしては厄の可能性はなくしておきたいの」


「それで、これからオレをどうするって?とりあえず弁護士を呼んでくれ」


 最悪にめんどくさいことにはならなかった、ややこしいには変わりがない。この男の処遇、かの国には及び腰なこの国のお上に任せることを考えればうちうちに処理をしておきたい。入国記録がない以上、こっそり送り返して、知らんぷりしたいところだ。


 その中で思わぬ不幸中の幸いがあったエレンの組織外で身元保証人のツテとして責任を負う先ができたことだ。


「意味ないけど、ミランダ警告しとくべきだった?弁護士は来ないけど、身元を保証してくれる人は呼べるけど…どうする?」


「おい!!テメェまさか…!!」


 スプーナーは思わず、怒鳴り声を上げた。妹夫婦が来ると頭をよぎった。


「これはオレだけでやったことだ!!妹は関係ない!!」


 自分はともかく、妹夫婦は巻き込みたくない弱みである。一気に頭に血が上り、エレンに詰め寄ろうと抵抗し、ガタガタと身体が固定されている椅子が音を立てて揺れていた。


「ないことはないと思うけど…とりあえず、入ってきて」


「おいっ!!クソッ!!待てよ!!」


 ガチャリとドアノブを回して、少女が入ってきた。


「ハーイ、ウィラードボーイ」


 意外な人物が姿を現した。それはジェーンだ。


「日本の男はハイスクールガールが好きで、ビジネスになってるらしいが…残念ながらオレの好みは大人でグラマラスな娘なんだ…ガリガリなロリータはお呼びじゃないんだチェンジで」


「手前…ぶっ飛ばすぞ…ウィラードボーイ…」


 クールダウンするスプーナーに対し、ジェーンはイラってきた様子だ。


「久しぶりに見たけど、アレに巻き込まれた割に元気そうじゃん。アタシは直撃した、おかげでわがままボディからスレンダーになっちゃったよ。あいかわらず、酒場で胸とお尻の大きい女の子口説こうしてんの?」


 気を取り直して、ジェーンは久しぶりに旧友に会ったかのように話かけた。雰囲気、立ち振る舞いにスプーナーも既視感を覚えていた。さらに戦っていたときのめちゃくちゃさと元軍属という言葉にどこか引っかかっていた。ただ、彼女の口ぶりからするに具体的なことを言わずわざとぼかしているようだ。


「あ〜ええっと、いや、あの子が生きがいになってからはナンパはやめたよ。あんたこそ、あいかわらずターキーをリッターで飲んでるのか?」


「さすがにこのナリで酒は飲めなくなったよ。変わってなければラム酒だったね?」


「そうだ、なあ…あんたまさか死んだは」


「誰かの名前を言おうとしたけどあたしはジェーン・ドゥ(身元不明の死人)だよ。まあそんなんだけど、皮肉にもあなたの身元保証人になった訳だけど…」


 ジェーンはとある名前を出す前に遮る。エレンには作戦前のブリーフィングの時にとある事は伏せているがスプーナーについて知っていることを話していた。だから、スプーナーを捕らえた後はスムーズだった。


「オレも全身整形して、ロリータレベルまで若作り改造人間が保証人になるとはっぶベェッ!!」


 失礼な言葉に大男を椅子ごと転倒しかねないくらいの勢いでジェーンは殴った。


「はいはい、そろそろ積もる話はあるだろうけど、スプーナー元少佐あなたにやって欲しいことがあるの」


 和気藹々とした二人の会話を一旦断ち切り、エレンは本題に入った。






 



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