表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末の境界線  作者: 5ion
2章 過去の軌跡
44/65

2章第11話 記録と末路

 ソラは何が出てくるか不安に思いながら、部屋の中央にそびえる端末の画面に触れる。すると、無数のフォルダが画面に表示された。。それらは無機質なアルファベットと数字の羅列で整理されていた。ソラはその1つに触れてみた。展開されたフォルダには無数のファイルが格納されている。さらにその一番上に触れてファイルを展開した。


“No.301(廃棄済)

STAGE 0、細胞強化中に身体細胞が崩壊、復旧困難なため、処理室にて身体サンプルを作成後、破棄”


と簡潔に無慈悲に実験体の末路が示されていた。目を伏せたい衝動を抑え、無造作に次のファイルを選び、開く。


“No.312(廃棄済)

10月18日、STAGE Ⅰに移行、身体の弱点の克服に成功。侵蝕耐性テスト中に急性侵蝕症を発症、抑制できずに結晶化したため廃棄”


“No.313(廃棄済)

9月6日、STAGE Ⅰに移行。各種テスト中に精神に異常をきたし暴走、一度は抑制されるもその後のテストで精神崩壊したため処理室にて自我を削除した後、実験モルモットとして扱う”


 処理室で何が行われていたか、どういう人間がそこに送られるのかを嫌でも理解した。背後に感じる処理室の存在を意識し、かすかに首筋が冷たくなるのを感じた。

 ソラはファイルに貼り付けられている画像に目を移す。薄暗い部屋の中、実験台に拘束された人の形をした被験体、それの身体には無数の管や電極が接続され、皮膚には青黒い痣のようなものが広がっている。次の画像には処理室に入れられた被験体、そしてそれが人の形を失っていく姿が記録されていた。


「ひどいなんてものじゃないな」


 ソラは思わず拳を握り締め、画像を睨みつけた。ここが人体実験、それも人権を無視してかなり非道な実験を行ってきた施設であることを否が応でも理解した。不快感を飲み込み、ファイルの一覧に戻る。画面上に特別に区分けされたフォルダが見つけた。フォルダ名は他の記録とは異なり、太字で強調されていた。よく考えなくても特別なデータであることが分かる。

 ソラはごくりと唾を飲み込み、そのフォルダを開いた。かなりの数のファイルが展開される。その一番上を開く。そこには先程までとは比にならない詳細かつ膨大なデータが収まっており、その被験体が重要であることが感じとれる。


“No.334

性別 女 年齢 14 身長 151

STAGE0(補足:クリスタ適正を除き、大半の能力値がSTAGE Ⅱの基準値レベル)


個人履歴

・基礎能力の高さからSTAGE Ⅱ、STAGE Ⅲを目指しての強化を開始。

・強化の進捗は良好と言える。既に一部能力はSTAGE Ⅱ相当に達しており、特に侵蝕耐性が特筆して高く、ルイン結晶を利用した強化に対しても侵蝕症の兆候を一切見せないほどだ。ただし、クリスタ適正が極度に低く、これではSTAGE Ⅰの条件を満たせない。今後はクリスタ適正の獲得に重点を置く必要があるだろう。

・クリスタ適正の低さの克服に苦戦。こ̶れ̶の̶克̶服̶の̶た̶め̶に̶プ̶ロ̶ジ̶ェ̶ク̶ト̶・̶デ̶コ̶ー̶ド̶か̶ら̶外̶部̶顧̶問̶を̶招̶聘̶。


 次のページに向かうべく画面をスワイプしようとしたその瞬間、


「いやっ!」


静寂を切り裂くような叫び声が部屋に響いた。エマは飛び跳ねるように画面から離れ、崩れ落ちるようにうずくまった。両手で頭を押さえ込み、彼女の肩は小刻みに震えている。そして、苦痛に耐えようとするかのように歯を食いしばっている。明らかに普通ではない様子だ。


「エマ、どうした?」


「やめて、私は……違う!」


 エマの切実な声。彼女のその様子はまるで自分の中で何かと戦っているかのようだった。彼女の表情には恐怖と苦悩が混ざり合っている。今の彼女は普段からは想像もつかないほど脆く映った。

 ソラは彼女に駆け寄ろうと足を動かす。


ソラ(ホーク)、センサーに感あり! 3時方向から急速に接近!』


 ウミの警告にソラの足が止まる。

 ここは侵蝕エネルギーが低いため、化物(ルインズ)の類は考えにくい。となれば、こちらの侵入に気付いた敵の線が濃厚だ。

 会敵を避けて一時撤退し、エマを休ませたいが彼女はまだ動けそうにない。

 それに、リンクスは高性能だがあくまでも小型のロボットだ、センサーの検知範囲もそこまで広くないだろう。つまり、エマを引っ張ってでも逃げるか、未知の敵に応戦するか、その決断に残された猶予はそこまで多くないというわけだ。

 ソラはエマを守るため、彼女の前に立つと、刀の柄を強く握りしめた。そして、視線を敵がくるであろう部屋の入口に固定した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ