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終末の境界線  作者: 5ion
2章 過去の軌跡
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2章第2話 リゾートに備えて

 数日後、ソラ、ウミ、エマの3人はグリッド121のショッピングモールを訪れていた。街の中心からは少し離れた郊外に位置している。広大な敷地に多くの専門店が並び、多くの人で賑わっている。モールの外観は近未来的で、ガラスと金属が組み合わさったデザインが特徴的だ。駐車場もかなり広く、ウミが運転するキャンピングカーも容易に停められるだけのスペースがある。

 そういや、()()()()ショッピングモールに来るのは久しぶりだな。

 3人は車から降りてエントランスへ向かう。ショッピングモールは吹き抜けのデザインで、ガラスの天井から自然光が差し込み、明るさと広がりを醸し出している。ファッションや生活雑貨など多岐にわたる店舗が並び、各階を行き交う人々の姿から活気が伝わってきた。


「久しぶりのお買い物、楽しみ〜」


 ウミはクルクルと回って喜びを表現する。彼女は先陣を切って歩き、目を輝かせてショーウィンドウを眺める。広いモールにはさまざまな店が並び、どの店も色鮮やかなディスプレイで賑わっている。

 ソラは楽しそうなウミを見て微笑む。その視線を隣に向けると、居心地の悪そうな面持ちで周りをきょろきょろと見回すエマが歩いている。彼女はこういった賑やかな場所には慣れていないのだろうか。


「ウ……」


 ソラは開いた口を慌てて閉じる。今は近くにエマがいる。本名で呼ぶのは避けなければならない。


「イーグル、何から買いに行くんだ?」


「まず水着でしょ! 服も買わなきゃだし、カバンも必要だよね!」


 と振り返らずに話す。彼女は軽快な足取りでショッピングモールの中を進んでいく。ウミがどこに向かっているのかは、ソラにはまったく見当がつかなかった。あちこちの店をちらっと覗きながら、まるで無目的に歩いているかのようだったが、実際は目的がはっきりしていたのだろう。しばらくして立ち止まったウミの奥に水着売り場が見えた。


「さ、水着を選ぼー!」


 ウミが振り返り、笑顔を見せる。


「あの、イーグル。私の水着も選んでくれない?」


 エマが店に入ろうとしたイーグル(ウミ)を引き留めるように頼んだ。

 その言葉に、ウミは一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに柔らかな笑顔に戻った。


「もちろん、任せて! 似合うの選んじゃうから!」


 エマはウミの言葉に安心した表情を浮かべた。ウミがエマの手を取り、水着売り場に入って行った。水着売り場のラックを流れるように見て周りいくつかの水着を持って、エマの元に帰ってきた。水着を1つずつエマに見せる。

 まず、白いフリルが沢山ついたビキニを見せた。それを見たエマは一瞬言葉に詰まった後、


「うーん、ちょっと私には可愛すぎない?」


 と首を振った。ウミはそうかな?と首を傾げつつ彼女の意思を尊重し、次の水着を見せる。三角ビキニを見せられたエマはすぐさま


「こんな露出多いのは無理!」


 と激しめの拒否を見せた。


「そっか、ちょっと待ってね」


 ウミは残念そうに水着を片付けて、2つの反応を元に吟味していく。


「これはどう!」


 ウミが選んだ渾身の一品、それは紺色に白のリボンがついたワンピースタイプの水着だった。可愛いすぎず、露出も少ない、エマの要望を取り込んで選んだ。


「……これならいいかも」


 エマが頷く。


「やったね、じゃあ試着してみて」


 エマが試着室の中に消える。しばらくして試着室のカーテンがそっと開き、エマが姿を現した。水色を基調に胸元と背中に小さな白いのリボンがついた水着はシンプルながら可愛らしさがあり、いつもつけているオレンジのチョーカーがアクセントを添えており、エマにピッタリと似合っている。エマは少し緊張した様子で、体を小さく動かしてみる。照れたように視線を床に落としながら、


「どうかな?」


 と呟いた。彼女の姿を見てウミは


「わぁ、めちゃくちゃ可愛いよ!」


 と声を上げた。エマの顔が少し明るくなる。


ソラ(ホーク)もそう思うでしょ?」


「そうだね、よく似合ってる」


 ソラが頷く。エマは少し照れくさそうに微笑んで


「じゃあ、これにしようかな」


 と言った。


「決まりだね! うちのはさっきついでに選んだし、ソラ(ホーク)も自分の選んでおいで」


 ウミは選んでおいたであろう水着を手に持っていた。ソラは指示に従って男性用の水着があるコーナーに行き黒のシンプルな水着を選んだ。

 その後、3人はショッピングモールを巡り、旅行の準備を進めていった。


 ✳︎


 買い物を終えた、ソラ、ウミ、エマの3人はキャンピングカーを目指して歩いていた。買うものが多かったためそこそこの時間がかかり、辺りはいつの間にか夕暮れの柔らかな光に包まれていた。ほのかに赤みがかった道を大量の荷物を持って進む。といってもその荷物のほとんどはソラが持っている。彼は期待されていた荷物持ちとしての仕事を立派に果たしていた。買い物をするたびに増える荷物、積み上がる箱にぶら下がる紙袋はソラの腕に重たくのしかかっている。


「……やっぱり、荷物持ちか」


 自分が連れてこらてた理由を察したソラが小さく呟く。ウミはその独り言を聞きつけたかのように振り返り、


「え? 何か言った?」


 と笑みを浮かべて尋ねる。その笑顔に圧を感じたのは考えすぎだろう。ソラは軽く首を横に振る。


「何でもないよ」


 ソラは苦笑いを浮かべた。ソラはウミとエマが話す姿を見ながら肩を動かして荷物の重心を調整する。最初こそ緊張していたエマだが、今はその面影はなく、ウミと笑顔で会話している。ソラは戦闘や侵蝕といったものから離れた穏やかな日はいいものだなと感じた。

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