25 がんばります
そこから行動は早かった。
魔族同盟を発展解消し、マクレーン率いる旧植民地行政区を加えた人魔同盟を結成。
ただちに軍事行動を開始した。
ニングスタ王国と本土をつなぐ貿易ルートを襲撃。
橋を落とす、後方の物資保管庫を焼き払うなど、フレアのいなさそうな場所を中心にゲリラ活動を展開。
物資不足に陥った本土では、事前に物資を確保しておいたアヴァーロのデモニク商会が高値で売り払って大儲けという流れだ。
政治的には、マクレーンがニングスタ王国を非難する声明文を発表。
フレアを恐れてニングスタ王国を非難できなかった各国は、声明文を受けて、人魔同盟を隠れ蓑にして、陰に陽にニングスタ王国へ抑え込みを開始する。
ニングスタ王国からの物資の輸入検査を厳しくする、そこで見つかった小さなミスを理由に取引先をニングスタ王国関連企業からデモニク商会に変更するなど、長年に渡る戦乱で鍛え抜かれた相手をギリギリ実力行使させない嫌がらせは、アヴァーロをして見事と言わせるほどであった。
人類の指導者を目指すニングスタ王国も、大義名分がなければ、同じ人類の国家を侵略することはできない。
すると、その怒りの向かう先は、今回の騒動の首謀者であり、ニングスタ王国が敵とみなしている魔族のいる、人魔同盟に向かう。
玉座に座るヨリヒデは、一匹の獣をなでていた。
彼よりも、ふたまわりも大きなその巨体は、ヒデヨリに平伏するように頭をさげ、主人の思うがままに動いていた。
「調教は完璧だな……」ヨリヒデは言った。
「はっ、ありがたきお言葉」玉座の前で膝をついてヤマオカは言った。
「これでもはや、我々に恐るるべきものはない。仇敵ロドング帝国を併合し、本土には楔を打ち込んだ。
だが、足りぬものがある。何かわかるか?」
ヤマオカは黙って話を聞いている。
「恐怖だ。まだ我々の偉業、人類を統一した国家の樹立に反対する者が多くいる。すばらしきユートピアを実現するために、短い期間だが、我慢の時が必要だ。
それを理解し得ぬ愚か者が多すぎる!
主人の言うことを聞かぬ連中には、恐怖で教え込むしかない」
「はい!全くそのとおりでございます」ヤマオカは言った。
「すでに我々には、恐怖で躾ける力がある。
まずは、アンビシオンを占拠し、我々に逆らう連中を、血祭りにあげる。むごたらしく、本土の連中が、二度と反抗心を抱かぬようにな」
ヨリヒデは、玉座から立ち上がり、剣を上へかざした。
その日、飛竜の巣からニングスタ王国軍3万人が出発した。




