第十一話 開戦四日目 魔導騎士の快進
開戦から四日目の早朝。
睡眠時間は多くなかったので直ぐにでも二度寝をしたいが現状を確認しなければ寝ていられない。
昨日大きな戦果を上げた魔導騎士部隊がグライトの砦へと向かって行った。おそらくグライトの砦を攻めるのだろう。それを裏付ける様に密偵の悪魔たちからの連絡によると100名程度の魔導砲兵がメルスタの砦へ昨日入ったらしい。おそらく攻城戦闘の用意だろう。
俺の予想としては魔導砲兵が砦につけばすぐに砦は落ちるだろう。国境警備の兵たちでさえあの魔法の威力なのだから魔導砲兵となればそれはとてつもない威力だろう。
魔導砲兵が砦に入った後、メルスタ国王はメルスタの首都へと向かって行った。獣王国ファリスを占領したのに戦後処理を行わず戦場にいる国王がおかしいと思うのは間違いだろうか? グライト、メルスタ両国の宿命的な物があったのかもしれない。なんせグライトの王も戦場で指揮を執っていたのだから。まぁ敗退した時にすぐさま首都へと向かって行ったが、それが普通の対応だろう。
さて、これで一通りやるべきことは終わった。このままメルスタ軍にはグライトの方へ進軍してもらいメルスタからは遠ざかって貰う。そして魔導騎士がメルスタから離れているその隙に俺達はメルスタの首都を急襲、そのままメルスタを手に入れる。
メルスタが陥落したとした場合、メルスタ軍はどういった反応をするか。
第一の反応はグライトへの進行をやめ、転進しメルスタ奪還を目指す。というもの、この場合その時点でグライトはメルスタ首都が攻め落とされた事を知っているだろうからメルスタ軍が撤退をしようものなら追撃を行うだろう。メルスタが負けたと知ればグライト軍の士気も上がるだろうし。
第二にメルスタをいったん放棄しグライトに勝利してから準備を整えメルスタ首都の奪還を目指すと言うもの。魔導騎士の力があればグライトなんて簡単に落とせるだろう。上空から見た限りでは荒野からグライトの首都までには砦は国境の砦ともう一つしか見えなかった。
悪魔の密偵達からの報告によるとメルスタ、グライトの首都は荒野を挟んですぐ近くにあるそうだ。グライトは西へ西へ、メルスタは東へ東へと国を広げて行ったためこのようなおかしな場所に首都があるらしい。
一番いいのはどちらとも選べずに右往左往してくれると良いのだがそれは無いだろう。
まあ、メルスタ軍がどちらの選択肢を選んだとしても問題ない様に予定を組んであるので暫くは実験に集中できる。次に試してみたいのが吸血鬼士爵になった時に手に入れたスキル『眷属召喚』だ。書斎にあった『ヴァンパイアの生態』によるとこのスキルは、何かを、代償とするなどして自分の眷属を作りだす、と言う効果と自分の眷属をMPを使用しその場に召喚すると言う効果があるらしい。おそらくバアル等の悪魔召喚陣で召喚し眷属化した悪魔たちにもこの効果は適応されるだろう。
今までは代償にするに値するものが自分の血液しかなく使う事が出来なかった。実を言うと調子にのって悪魔の密偵を作りすぎて貧血気味なのだ。あれから毎日アリシアには血を与えているしそろそろ二回目の食事をしたい。エルフやダークエルフなんかも美味しそうだ。エルフの女王はまだ処女の様でじつに美味しそうだ。
開戦から四日目の夕方。
この時間帯はヴァンパイアにとって目覚めの時間だ。久しぶりに屋敷にいるのだからアリシアを起こしに行こう。
アリシアの部屋は二階の俺の部屋のすぐ隣だ。一階の使用人室らしき場所にはメルたちサキュバスが寝ている。アリシアの寝ているこの部屋からは庭も良く見える。今はまだ日が出ているのでカーテンは締切っているが。
ベットに横になっているアリシアの寝顔をながめる。寝巻の…ネグリジェと言ったか? 薄いワンピースの様な物を着ている。アリシアの肌は右半身が真っ白で左半身が真っ黒と言う異様な姿をしている。今は見えないがそのつむった瞳は藍と紫のオッドアイだ。おそらく悪魔を体に宿して居る為だろう。悪魔に襲われる前は輝いていた金髪も今は漆で塗りつぶしたような黒髪になっている。西洋風の顔にかかる黒い髪が元日本人としては美しく感じる。
「んっ…ん~………あれ? ご主人様ぁ?」
「おはよう、アリシア」
「はい、おはようございます。ご主人様」
アリシアにおはようの挨拶を済ませて一緒に一階に下りる。一階ではサキュバス達が仕事の交代をしているだろう。基本的に掃除は日中に済ませているらしいがアリシアも俺もこの時間帯から起きる事も多いので交代制で俺たちの世話をしているらしい。
「ご主人様おはよー」
「ご主人様にその態度は何ですか!!」
これから仕事を始めるのであろうサキュバス達が軽くあいさつをしてくる。さすがに軽すぎた様でメルが注意するがあいさつをしたサキュバスは気にも留めない。
日も完全に暮れたので外に出て実験を始める。
取りあえずは魔力だけで召喚を試してみる。MPを100ほど込めてコウモリをイメージして召喚する。
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種族 :吸血蝙蝠
眷属 :佐渡 誠
能力値 ▽
HP 60 MP 20
筋力 5 魔力 9
体力 12 知力 15
俊敏 22
器用 18
スキル ▽
『吸血』
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急に頭の中に情報が入ってきた。魔方陣からは数匹のコウモリが出来きて俺たちの周りを飛んでいる。コウモリはある程度意志で操作できるようでおもしろい。きっと機動性のある戦士にのっていた主人公はこんな気分なのかと思った。
次は眷属召喚で武器を作ってみようと思う。発想の転化だが眷属が生物でなければいけないと言う決まりは無い。それにこの世界の魔法やスキルは割とイメージでどうにかなる部分が多い。
素材はエルフの里にある大きな木(きっと世界樹やら精霊樹やらと呼ぶのだろう)から折ってきた枝と葉、そして俺の血液を数滴と、今産まれたばかりの吸血蝙蝠たち。これをスキルによって出来た魔方陣に入れて後は完成図を思い浮かべて魔力を注ぐ。
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種族 :眷属武具(魔杖)
名前 :吸血と精霊の魔杖
眷属 :佐渡 誠
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出来た。形は「カシの杖」とでもいいそうなごく普通の杖だが鑑定してみると魔法の効果を高めたり魔法を使用する際の消費MPを減らしたりといった魔法使いにとってありがたい効果がかなりついている。さらになんとこの杖は成長するらしい。眷属であるためか俺が強くなるたびに俺の使いやすい様に進化して行くらしい。
名前が『吸血と“精霊”の魔杖』とあるように精霊との親和性も高いらしい。らしい、と付けるのは俺は精霊魔法を使えないからだ。エルフたちは精霊魔法を使えるらしいので今度教えて貰おう。
実験が終わったのを見計らってかバアルが話しかけてくる。
「ご主人様、エルフから連絡がありました。どうやらダークエルフとの話し合いが終わったようです」
「わかった。少し待つように伝えてくれ、もう少しすれば魔力も回復する」
エルフたちの話し合いが終わったようだ。無いとは思うが最悪、向こうに転移した瞬間攻撃を受けるなんてことがあるかもしれないので魔力を回復するまで待って貰おう。ダークエルフには物凄い神聖魔法の使い手がいたようだしまた腕でも怪我したらアリシアとメルがどんなに怒る事か……。マジ怖い、本気で行こう。そうしないと殺される(アリシア達に)。
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感想お待ちしています。
また、今後登場する国についても募集しています。
国家名 国民種族 国王、または王女の名前 その他設定などを書いて感想にお願いします。
なるべく登場させます。こちらの問題で部分的に変更等する場合もありますが。それでも構わないと言う方お願いします。




