第十話 開戦三日目早朝 二国の関係と戦況の変化
グライト王国と魔導王国メルスタ。その二国は大災害以前から存在した国であり、王族は共に永い時を血を受け継いできた歴史のある国である。その似た境遇からか両国とも互いを互いに敵視し今となっては理由も分からないほどの昔(大災害以前)から争ってきた歴史がある。大災害が終わった後も散り散りになっていた人をまとめ上げ北の二大大国と言われるまで国を大きくして来た。
大陸の北西を治めるグライト王国は北に精霊樹の森。東に魔導王国メルスタ。西を大海に囲まれており、唯一領土を広められる南の都市国家群を少しずつ平和的交渉で吸収しその領土を広めていた。
現在の王家は大災害以前に消失した当時の王プレイヤーの娘の血をひいておりそのお蔭か継承魔法の勇者召喚により召喚された勇者はとても強く吟遊詩人の語り種として人気がある。
大陸の北東を治める魔導王国メルスタは魔法の研究が盛んであり、軍には魔導騎士や魔導砲兵など強力な部隊を揃えている。この部隊はグライトを攻め落とすために訓練された部隊で士気も高い。
だが北に精霊樹の森。南は小国家群とグライト王国に吸収されつつある都市国家群。東には女神アリシアを崇める聖皇国が控えておりその兵力を使う機会は少なかった。
そんな二国は互いの国を挟む荒野にて小競り合い程度は常であり、戦争以前草原だった場所は戦闘の余波により荒野と化した。荒野の北の空には精霊樹の幹が天を貫きその根の周囲には精霊樹の森と呼ばれる広大な森が広がっている。
そんな神聖さすら漂わせる精霊樹の森から荒野を挟んだ反対側の南側には魔物の森と言われる危険な森が広がっている。その森には様々な魔物が徘徊しており国は森から出てくる魔物の対処に苦労し冒険者達には魔窟とまで言われる。
だがそんな森も冒険者達には一攫千金を目指せる場所であり毎年多くの冒険者が森に挑みそして帰らぬ人となっている。冒険者の間では魔物の森から生きて帰ってこれれば一人前と言われており。その通り魔物の森で狩りが安定して行えるようになれば稼ぎも人並みとなる。
今、大災害以降競り合ってきたグライト王国と魔導王国メルスタの戦争に変化が訪れていた。
魔導王国メルスタの魔法の極意を結集した魔導騎士部隊。長い間戦争が起こらなかったためにその力を示す事は少なかったが今回はそれが幸いした。魔導騎士の強さを知らないグライト王国は今戦っているのがただの辺境警備部隊であり本隊の到着が遅れていた事を知らない。
戦闘開始から三日。ついに魔導王国メルスタが誇る魔導騎士が戦場に到着した。これから起こるのは戦闘ではない。蹂躙だ―――
「ご主人様。その語り部の様な説明は何ですか?」
「いや、中二の血が騒いだって言うか、とにかくメルスタの魔導騎士凄いな」
メルに突っ込みを入れられて少し恥ずかしいがこれはしょうがない。
前世で戦争は戦闘に勝つよりも戦後処理が大事だと知っていた俺は少しでも戦後処理が楽になる様にグライト、メルスタ両国にサキュバスなど悪魔たちの密偵を放っていた。その悪魔たちからの情報によると俺が転生したその日に魔導王国メルスタは隣国である小国、獣王国ファリスに宣戦布告を行いその日のうちにファリスの王都を包囲し翌日には城門を強行突破し獣王国ファリスを制圧したらしい。
俺の元いた世界では戦争は数年、早くても数カ月はかかるものだと思っていたんだがそうでもないらしい。その戦争の際に活躍したのが魔導騎士、魔導砲兵部隊らしい。
終戦後、魔導砲兵はいざという時の為にメルスタの王都に駐留。魔導騎士部隊はその機動力を生かしてこの戦場へ向かって来ていたらしい。
その魔導騎士部隊が戦場へ到着した後の流れは物凄かった。まさに一方的な蹂躙でグライトの騎士が突撃をして来れば地面を土魔法で崩し自分たちの前だけを土魔法で整地しながらグライトの本陣に突撃を行う。そこからグライトは立て直せずに敗退。騎士と言いながらも魔法の威力も高く。魔法の腕は平均でもレベル6で隊長らしき人はレベル8だった。おそらくその魔法の威力を見てか士気の下がったグライト兵士は捕虜となっていた。
「魔導騎士と言うのは脅威ですね。おそらくは魔導砲兵も脅威となるでしょう」
「あぁ、リビングアーマーや骸骨軍団では勝てないな」
「どうするんですか?」
「戦わなければいい。無力化できれば問題はない」
バアルは戦った場合の事を言っているがなにも律儀に相手の土俵に立って戦う必要はない。いくら騎兵が早いと言ってもメルスタの王都からここまでは三日はかかった。このままグライトの王都まで進軍すれば騎馬も騎兵も疲れが溜まる。その間にメルスタの王都を攻め取ってしまえばいい。
会話をしている間にも戦闘後の処理は進み捕虜となった兵士や傭兵は護送用と思わしき馬車に乗せられ国境の砦へと向かって行った。その時に目についたのが馬車を引く馬なのだが馬ではなくウィッドタートルという亀の魔物だった。改めてここが異世界なんだと実感した。
開戦から三日目の深夜。
俺は死者を眷属にするかどうか迷っていた。おそらく近いうちに死体は浄化されるだろう。この世界には悪霊やゾンビが当たり前に存在するのだからその対処法もあるだろう。そんな時に兵士の死体の数が少なかったりしたらゾンビやスケルトンとなったと思われるだろう。そうしたら俺の計画が崩れずともゆがむ可能性はある。
それにどうやら戦場泥棒が出るらしく警備もそれなりにいる。ばれる事はないだろうがもしもと言う事もある。
考えて時間を無駄にしてもいけないのでとりあえず魔導兵だけでも眷属化しよう。
「魔導を極めんとした者の魂達よ、まだ見ぬ魔の極致を望むのならば我が魔導の兵として戦え。
我が名は佐渡 誠。我に従う忠実なる魔導の兵となり、我が軍団の魔法の行使者となれ」
『創造魔導の軍団』
どうやら成功したらしい。魔力が人数の割に軍団骸骨以上に持って行かれた。MP消費が多いせいかかなりだるいので直ぐに屋敷へ転移する。早くベットに倒れこみたい、最近アリシアとはあまり話せていないのでアリシア成分も不足している。明日にでも補給しなければ…。
「ご主人様、今日は森のエルフに返答を尋ねる約束をしています。急いで下さい」
「うっ、そうだったな。転移魔法は頼む」
悪魔だ。悪魔がいる。とてつもなく眠りたい俺を無理やり、けれども苦痛でない程度にバアルが引っ張って行く。俺はとてつもないだるさを抑えてエルフの里へと向かう。
さすがに家の中に直接転移するのは礼儀が無いだろうからエルフの里の広場らしき場所へ転移する。それにヴァンパイアな俺は他人の家に許可なく立ち入ることに制約を受けるらしく転移の際の魔力消費も増える。この事はバアルに聞いたんだがそうなると屋敷は他人の家のはずなのだが初めに入った時は何の問題もなく入れた。なぜだろうか。
エルフの里へ転移した俺達を見る目は様々だった。珍しい物を見るような興味、里に直接転移した力量に怯える目、一番多いのが俺が呪いを解く事が出来るかどうか値踏みするような目だ。
「エルフの長よ返答を聞こう」
なるべく厳かに、そして恐怖を与えない程度に語りかける。
「私はイリス・ファルーン。エルフ族ファルーンの部族の王だ。貴公の名前は」
「我が名は佐渡 誠。深淵の知識を求めそして世界を求めるものだ」
このセリフを昨日寝る前に考えていたものだ。厨二の血が湧きたち、もっと恥ずかしい言葉も考えはしたが冷静に考えここまで抑えた。俺の自身の目的はこの世界の知識を求める事で神様に女神を倒せと言われたのだから世界を征服する、うん間違ってはいないはずだ。このセリフはすごく恥ずかしいけれど顔には出さない。
「返答だが、改めて頼むがダークエルフ達の呪いを解いてくれ。頼む」
「わしからも頼む。ダークエルフ達の、妻の、呪いを解いてくれ」
そう言ってエルフの長老や里のエルフたちは頭を下げる。長老は涙をこらえているようだ。奥さんは亡くなっていたのではなくダークエルフの里へ行ったのか。政略結婚のようなものか。
そうすると新しい疑問が生まれる。他種族同士で子を産むと父母方の種族となるのかそれともハーフになるのか。それともランダムで変わるのかどうか。エルフの女王は鑑定の結果エルフと出ているしさらに詳しく鑑定した場合でも純血のエルフだった。
「わかった。ダークエルフの呪いは我が責任をもって解呪しよう」
解呪の用意はもう出来ている。後はダークエルフの里へ向かうだけだ。後はエルフの里からダークエルフの里へ呪いを解けることを伝えて貰い後日連絡をとれた時に向かうと約束をして屋敷へ向かう。もう寝かしてほしい。
誤字、脱字ありましたら報告お願いしますm(_ _)m
感想お待ちしています。
また、今後登場する国についても募集しています。
国家名 国民種族 国王、または王女の名前 その他設定などを書いて感想にお願いします。
なるべく登場させます。こちらの問題で部分的に変更等する場合もありますが。それでも構わないと言う方お願いします。




