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転生吸血鬼の異世界征服!  作者: 清水さん
第1章 転生
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第九話 開戦二日目深夜 エルフの国-2

 

 森の動物も寝静まる深夜。エルフの里へ向かう。


 「バアル、エルフの里に近づいたら外で待っていてくれ。何かあったら呼ぶから」

 「ご主人様。ご主人様の成功を疑う訳ではありませんが万が一と言う事もあります。ご一緒に」

 「いや、相手とは二人っきりで話したい。大丈夫だ。夜のヴァンパイアに勝てるものなんていないさ」


 バアルはしぶしぶと言った様子で引き下がる。


 「じゃあ行って来る」


 今どこに来ているかというとエルフの里に来ている。理由はエルフの代表と一対一で話、出来れば味方につける事だ。そのためのカードも用意してある。


 エルフの里を言葉で表すなら森と共に歩む里、といった感じだ。木と一体化したような家に住んでいるようだ。その中でも一際立派な木の家に入る。


 家の中は俺の想像と違い何かの光が射していて歩くのには問題が無い程度には明るかった。家のなかに入り魔力を感知する。どうやら反応は二つあるようだ片方は女のエルフで族長の妻だろう。軽く見ただけだがとても美しかったが人の物に興味はない。もう一つの反応の方へ向かう。


 部屋の前につくと中から光が漏れている。どうやらまだ起きているようだ。俺はドアをノックする。


トン トン


 「中へ」

 「失礼します」


 部屋の中に居たのは人間で言う四十代後半の少し老けた男性だった。エルフとしてみると大体300才超えではないだろうか。長寿だ。


 「どうもエルフの里の王。俺は森に生まれた三人目のキングプレイヤーだ」

 「そうか、ダークエルフのほかに王となるものが居たか」

 「あまり驚かないんだな」


 てっきり敵だと思われて兵でも呼ばれるかと思ったのに。


 「いや、驚いたよ。まさか暗殺に来るのが王本人だとは思わない」

 「訂正するが俺は暗殺なんかしに来た訳じゃない。話をしに来たんだ」

 「ならばわしも訂正するがわしはキングプレイヤーではない、王は私の娘だ」


 面白い返しをしてくるエルフだ。これも年の功なのか? それと場違いな考えだが、なら奥さんはどこにいるんだろうか? エルフの風習かなんかなのか奥さんには先立たれたのか。


 「向こうの部屋にいたエルフは娘か、奥さんだと思っていたが。まあいい、娘に進言することぐらいは出来るだろう」

 「話だけなら聞こう、どうせ老い先短い命だ。今殺されてもさほど変わらん」

 「だから暗殺などしないと言ってるだろう」

 「軽い冗談だ。王の器と言うのなら聞き流せ。さて、本題を聞こう」

 

 「本題は、この里のエルフたちに俺の国民となって欲しい」

 「どこの者ともしれん奴の国民になる訳なかろう」


 そりゃそうだろうが俺には交渉のカードがある。


 「対価がある。森の平穏と、ダークエルフの呪いの解呪だ」

 「なっ! どこでその話を知った」


 今まで表情を変えてこなかったエルフの王の父が顔色を変える。


 「どこで、と言うとダークエルフを見て。としか言えないな」

 「見ただけであの呪いに気づくとは、見かけ以上だな」

 「それでどうする? 俺の国民となってダークエルフを助けるか、戦って征服されるか」

 

 見かけ以上って。そりゃあ生後間もないヴァンパイアだけど少しは見た目に自信あったんだけれどなぁ…。


 「それが本当ならうなずきたい話だがその判断はわしにはできん。明日までには決める。明日、今日と同じ時間この村へ来てくれ」

 「わかった。賢明な判断を期待している」


 俺は空間魔法の転移を使って里の外へ移動する。明日転移した先で殺されそうになったらおしまいかかもな。


 「ふぅ~、疲れた」

 「ご主人様。お怪我はありませんね? みな心配しています。屋敷へ転移しましょう」


 きっと家でアリシア達も心配してるのだろう。俺は武闘派じゃないし。バアルの言葉に従って屋敷へ転移する。




 家につくとサキュバス達が迎えてくれた。今回はバアルに教わった普通の貴族か何かの出迎方だ。


 「ご主人様、危ない事はやめて下さい。バアルさんから聞きました。一人で交渉に行ったんですって? バアルさんを連れて行くって言ってたじゃないですか」

 「そうです、ご主人様の代わりは居ないんですからもっとご自愛下さい」


 アリシアとメルに怒られる。あれ? 俺って二人の主じゃないっけ? そんな事は過保護な二人には通じずこってり絞られた。二人とも最近母親みたいだ。まぁ反省してないけどね。


 「「反省してください」」

 「ごめんなさい」


 反省します。


 さて、何故こんなに過保護な母親みたいになってしまったかというとエルフの里の前に向かう前に行ったダークエルフの里にある。






 時間は日も落ちヴァンパイアとしての本来の力が戻った頃。俺はダークエルフの里へ向かっていた。夜の森は静かで、何処か寂しい感じがする。そんな森の中を里を見つけたと言うインプに付いてバアルと共にダークエルフの里へ向かっていた。


 「いやー空気がうまいな」

 「はい、悪魔は瘴気を好むなんて噂がありますがきれいな空気も好きですよ」

 「きれいな空気“も”、なんだな」

 「瘴気は体に合いますからね」


 そんな風にのんびりとダークエルフの里へ向かている。のんびりとした雰囲気だが実際は周りに『遮音結界』『遮嗅結界』『認識阻害結界』『魔力遮断結界』等々さまざまな方法で身を隠している。ついにダークエルフの村が見えてきた辺りで突然インプがはじきとんだ。


 ヒュン

 

 さらに耳元を何かが通り過ぎた。


 「悪魔を使役する野蛮な人間め、森から出て行け」


 ヒュン ヒュン


 様々な方向から矢が飛んでくる。とっさに貼った防御結界によって自身に刺さる事はないがインプはやられてしまった。インプをやったのはおそらく神聖魔法だろう。バアルも感知できなかった事を考えるとかなりの腕だ。


 「殲滅いたしますか?」


 バアルが怖い事を聞いてくる。自分が感知できなかったのも悔しいのだろう。そんな事をして可愛い子が死んだらどうするんだ、とは言えるわけがないので、


 「いや、里の場所は見えたから里に直接転移は可能だ。明日にでも再挑戦すれば行けると思う」

 「わかりました。では屋敷へ転移しま『闇の眷属よ、滅びよ』っ!!」


 いつの間にか先ほどの神聖魔法をダークエルフが詠唱していたらしい。魔術が結界を破り目の前に迫り、俺は反射的に左腕で防御結界を貼り顔を守る。バアルはとっさに俺をつかんで転移の魔法で屋敷へと転移する。






 

 どうやら無事に転移できたようだ。今回の目的はダークエルフの王の住む場所を確認するのが目的だったので問題はないが。


 「ご主人様申し訳ございません。相手を甘く見ていました。私の落ち度です。どうか罰を」

 「いや、あれはイレギュラーだ。能力が普通のダークエルフと違いすぎた。気にするな」

 「はい、分かりました」


 バアルは物分りも良いので引いてくれる。かなりしぶしぶと言った雰囲気を出すことを忘れてはいないが。さてこれをどうするか。俺は綺麗に消滅した左腕を見ながらアリシア達への言い訳を考えていた。感覚からしてヴァンパイアの治癒能力があれば一時間ほどで回復できるだろうが後数秒もすればアリシアが出てくるだろう。

 そんな事を数秒の間に考えていた。


 「ご主人様おかえりなさ…どうしたんですかその手は!? 大丈夫ですか? 痛くないですか? 誰にやられたんですか?」

 「待て、落ち着け、この傷はたまたまだ。直ぐに治るから大丈夫だ」


 アリシアが涙目でまくしたてる。少し錯乱している様なので落ち着かせる。そういえば俺が手首を切って血をあげた時も怒ってたっけ?


 「取りあえず 彼の者に安らぎと眠りを『スリープ』」


 俺は取りあえずアリシアを魔法で眠らせてサキュバス達に寝室へ運ぶように命じる。町を制圧する時に使おうと思っていた精神魔法がこんなところで役に立つとは。


 その後起きたアリシアは魔法の鎮静効果が効いたようで冷静に話を聞いてくれた。何故かメル達サキュバスにも説明という名の言い訳をする羽目にもなったがそこはスキル『魅了の魔言』で話をすり替えてやり過ごした。どうやらメルには効かなかったようでさらに悪化したがまぁ大丈夫だろう。






 そんな感じで今現在エルフの里へ一人で侵入した俺はアリシアとメルの説教を受けている。


 俺、アリシア達の主なんだけどな~。まぁこんなにも主の事を思ってくれている従者が居て俺は幸せだな~。


 「「現実逃避してないで話を聞いて下さい」」

 「はい!! すいません!!」


 反省!!


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