表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
48/98

48

「サポート校には法的な根拠がないのですよね?」

「大前提として、サポート校という名称自体に法的な根拠がない」

「なにも知らない人間からすれば、法律で認められている制度だと誤認しそうですね」

「サポート校という名は、あくまでも自称だ。法的な区分もなければ、法的な権限もない。あくまでも民間教育施設だ。塾や予備校と同じ存在だと思ってくれ」

「三波学園高等部も、元は予備校でしたね」

「塾や予備校を設置するためには、これといった行政からの許可は必要ない。各種学校といったケースもあるが、基本的には行政から認可を受ける必要もなければ、届け出を出す必要もない」

「自由ですね」

「教育内容も自由だ。なにを教えようとも自由だ。高レベルな授業であろうが、低レベルな授業であろうが、勉強とは無関係なダンスを教えようが、どうでもいいのだ。なんでもありだ」

「なんでもありなのですね」

「施設も自由だ。豪勢なビルだろうが、狭いテナントだろうが、自宅の一室だろうが、どこでもいいのだ。なんでもありだ」

「サポート校のホームページをいくつか見ましたけど、ほとんどの校舎がビルのワンフロアでした」

「教員も自由だ。免許を持っていようが、無免許だろうが、偉人だろうが、変人だろうが、だれでもいいのだ。なんでもありだ」

「なんでもありすぎですよ」

「塾や予備校を運営している母体は様々だ。学校法人だったり、会社だったり、個人だったり、NPO法人だったり、宗教団体だったり、なんでもいいのだ。なんでもありだ」

「無法地帯ですね」

「ここで重要なのが、塾や予備校へ通ってもなんにもならないということだ。いくら塾や予備校で授業を受けようと、正規の学校の授業が免除されたりはしない。たとえ塾講師が免許を所持していたとしても、塾での授業が非常にハイレベルであったとしても、無意味だ。正規の学校が塾や予備校へ学校業務を委託するのも認められていない」

「塾や予備校へ通っても、ある意味ではなんにもなりませんね。サポート校に通っても、ある意味ではなんにもならないと」

「なんにもならないのだ。サポート校が学校業務を行ってはいけないのだ。もちろん、サポート校を卒業してもなんにもならない。塾や予備校の校名を履歴書や経歴に書かないように、サポート校の名前も履歴書や経歴に書いたりはしない」

「本当になんにもなりませんね」

「それを踏まえた上で、サポート校のホームページを見てくれ。「サポート校」で検索すれば、いくらでもヒットする」

 私はスマホを操作すると、「サポート校」という単語でググった。

 結果は、先ほど「通信制高校」だけで検索したときと同じだ。異常な数の広告ばかりだ。その広告をいくつかクリックしてみた。すぐにサポート校のホームページに繋がった。ページの内容は、私立通信制高校と同じだ。有名大学への合格結果、高い高校卒業率などだ。

「おきまりの広告ですね。トリックまみれですよね?」

「トリックまみれだ。だが、高校卒業率だけは違う」

「高い高校卒業率は事実なのですか?」

「違う。逆だ。完全に嘘だ。詐欺だ」

「卒業率は低いのですか?」

「高いとか低いという話ではないのだ」

「どういう話なのですか?」

「思い出してくれ。塾や予備校へ通っても無意味だと。サポート校へ通っても無意味だと。なんにもならないのだと」

「ああ」と私は声を上げて納得した。「サポート校が、高校卒業と宣伝した時点でアウトなのですね。たとえ一パーセントであろうと、高校卒業と宣伝してはいけないのですね」

「そうだ。高卒認定といった制度もあるが、これは高校の卒業とは似て非なるものだ。高校卒業とはいわないのだ」

「塾や予備校が学校の補助でしかないように、サポート校も学校の補助でしかないのですね」

「あくまでもメインなのは、本校である通信制高校だ。正規の学校がメインにならねばならんのだ」

 先生の説明を聞きながら、私は複数のサポート校のページを見て回った。そして、とあるサポート校の宣伝で目をとめた。

「先生、「提携する通信制高校を選べます」と書いているサポート校もありますよ。サポート校はあくまでも補助ですよね?」

「補助だ。本来ならば、通信制高校に通っている生徒が、好きなサポート校を選べるといった状態になるべきだ。だが、サポート校が通信制高校を選べますという、異常な状態になってしまっている。主従関係が逆転してしまって、サポート校のほうがメインになってしまっている」

 複数のサポート校のページを見終えて、ほとんどのサポート校にあてはまる共通点を見つけた。サポート校の校名だ。

「どのサポート校も高校と勘違いしそうな校名ばかりですね。ナントカ学園高等部とか、ナントカ高等学院ばかりですよ。学校のような校名が野放しになっている問題は、三波学園高等部だけでは終わりませんね。サポート校を正式な高校と勘違いして入学しそうですよ」

「そのようなケースがかなり起きている。「高校だと思って入学したら、高校ではないサポート校でした」とか、「入学直前になって、サポート校と通信制高校の関係を伝えられ、急に二校分の高額な学費が必要と言われて困ってます」とか、「入学時に百万円以上の学費を一括納入し、いざ入学したら、宣伝内容と実態がまったく違う」といった事件が起きている」

「入学後にサポート校と通信制高校の関係に気づくなんて」私は三波学園での宣伝を思い出した。灰谷さんは三波学園で高校卒業できると言っていた。現実の詐欺は、地の文に嘘が書かれているのだ。「あり得るかもしれませんね。最悪のケースなのでしょうけど」

「それ以上に最悪のケースがある」

「入学後に通信制高校とサポート校の関係に気づいた、よりも悪いケースですか?」

「信じられないような最悪のケースがあるのだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ