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「幽霊状態の生徒からは学費を徴収しないものの、行政からは補助金や助成金などを受け取っているのでしたよね?」
「そうだ。補助金や助成金の不正受給だ。幽霊生徒がひとりだけだとしたら、たいした金額にはならんが、大勢在籍しているとなると補助金の額も高くなる」
「沖縄サンフラワー高等学校だけで、二百人以上も幽霊状態の生徒がいるのでしたよね?」
「一校だけで二百人だ。ちなみに、日本の私立通信制高校は広域や狭域を合計すると百校以上ある」
私は暗算してみた。
「単純に計算しただけでも、幽霊生徒の数は万を超えますよ」
「現在、日本の私立通信制高校の総生徒数は、十万人を超えている」
「それなりの数になりますね」
「日本が少子化問題に悩んでいることは知っているな?」
「知っています。生徒数が減少して、学校の統廃合が相次いでいます。廃校にならなくても、クラス数が減ったり、そのクラスの人数も減っています。校舎には空き教室が目立つほどです」
「世情に通暁しているのはいいことだ。全日制の高校は生徒の総数が減少している。定時制も同じ傾向にある。だが、しかしだ、通信制高校の生徒数だけは増加傾向にあるのだ。なぜか年々増えているのだ」
「様々な教育の形式があるべきですよ」と私は言ってみた。
「あるべきだな」
「生徒は自分に合った学校のタイプを選んでいるだけですよ」とも私は言ってみた。
「自分に合った形式を選ぶべきだな。強制されるものではないからな」
「イジメとか、不登校とか、引きこもりが増えているからですよ」とか私は言ってみた。
「増えているな。社会問題になっている。そういった生徒達の受け皿が必要だな。だが、そんな話を抜きにしても、通信制高校の生徒数の増え方はおかしいのだ」
「幽霊生徒が大勢いるのですね。それも、かなり」
「大勢いる」
「実際にはどのくらいの人数なのですか?」
「さあ? 俺にもわからん。個人での調査は無理だ。規模が大きすぎる。政府や文部科学省クラスでないと対応できない」
「政府や文科省は、この幽霊生徒問題を知っているのですか?」
「薄々は認識しているはずだ。文科省は、毎年学校の調査を行っている。学校基本調査というやつだ。在学者数、退学率、長期欠席者数、教員数、学校面積、学校経費、卒業生の進路状況などを、学校に提出させている」
「文科省の調査に嘘を書けませんよね。文科省は真実を把握していると」
「ほとんど把握しているはずだ。単位をひとつも取らず、名前だけ在籍してる幽霊生徒が大勢いるとな。不活動生、休眠生というかたちでな」
「問題を把握しているにも関わらず、行政はなぜ対応しないのですか? 幽霊生徒に限らず、通信制高校はトラブルだらけですよ」
「行政が対応しない理由は、あとで教える。いずれにしても、通信制高校には幽霊生徒が多数在籍し、その存在しない生徒のために莫大な額の補助金や助成金がつぎ込まれている。通信制高校はなんの手間も掛けずに、莫大な補助金や助成金を政府や自治体から搾取しているのだ」
「助成金や補助金も元をたどれば税金、私たちが支払った血税ですよね?」
「血税だ。税金を納めている人間は、全員が怒っていいクラスだ。通信制高校は税金を不正に受給しているのだ。犯罪だ。刑事告発コースだ」
「幽霊生徒は卒業率を上げるうえに、税金も不正に受給できるのですね。そして、そんな幽霊生徒が大勢いると」
「大勢いるのだ。そして、さらに、その幽霊生徒に業務を行っているように見せかけて、架空の経費を計上し、脱税もしているわけだ」
ふと、卒業率という単語で思い出した。先生は、行政は学校基本調査で退学率も調査していると言った。
「私は灰谷さんから、九十八パーセントという卒業率を宣伝されました。学校基本調査と照らし合わせると、一致しないですよね?」
「実際の卒業率は九十八パーセントよりも下がるはずだ。留年率も高いだろうな」
「詐欺同然の宣伝ですよ。文科省や消費者庁が注意すべきですよ。思い返したのですけど、三波学園高等部の宣伝を鵜呑みにしたら、三波学園高等部を正式な学校と勘違いして入学しそうですよ」
「サポート校の問題は根が深いのだ」




