第十四話 足場③
部隊が多くなってくると自分でもよくわからなくなります。
Date: 2016年8月8日 12:32
Location: アマーラ侵攻戦 ポイントエクスレイ~川岸
Person: エリック少尉
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T-72Mが瓦礫と車体残骸を押し分けるたび、鈍い摩擦音が通りに響く。その後ろをストライカー、A中隊の歩兵達、そしてカーターたちが続く。
進むほど道路は崩れ、半壊倉庫と護岸のあいだの細い空間へ戦力が押し込まれていく。川の方ではまだ主攻が撃ち続けていた。重機関銃、戦車砲、断続的な爆裂音。北岸で受け止めている音だ。
上空のウィーティア1が短く報告する。
『橋梁跡の西、建物列の陰に群れ』
『後ろに大きいのはいなさそうだ。今のところは』
散発的な接敵はあったが、残敵は減りつつあるのか川岸へたどり着くことは難しくなかった。
『ローカスト1-6よりHQ、川岸にでる。誤射に注意してくれ』
『こちらHQ、主攻群に通達する。アウト』
川のそばには浄水施設があり、助攻群はそこに展開し指示を待つ。
だが、その直後だった。無線の調子が変わった。
『ウィーティア3被弾!メーデー、メーデー!墜落する!』
見上げると、MH-6の小さな機影が煙の向こうで姿勢を崩していた。テールローターから黒煙を引いている。
「落ちる」
誰かが言った。
テールローターが吹き飛ぶ直前、パイロットを抱えて航空魔術師が飛び出した。人一人抱えての浮遊は困難だ。機影は半壊した建物列の向こうへ消え、遅れて鈍い衝撃が地面を揺らした。飛び出した二人も見失う。
『ウィーティア3ロスト!墜落位置、川岸南東方向!』
「少尉、俺たちが一番近い。」
エリックはもう答えていた。
「行きます」
「分隊を連れていけ。生きてるやつを連れ帰れ。ウィーティア 1がいる。必要なら支援を頼め」
「了解。中隊付き衛生兵を一人お願いします」
そこで初めて、エリックは自分だけが「行く」では済まないことに気づいた。連れていく人間がいる。負傷者が出れば下げる順序を決めるのも自分だ。
墜落地点への経路も、帰り道も、誰にどこを見させるかも、その場で決めなければならない。分隊を招集し素早く伝達を行う。
「ウィーティア3が行方不明だ。これより救出に向かう。担架と止血材、照明弾、スモークを。ポイントマンは私が、LMGは右。接敵は避けろ。とにかくスピードが必要だ」
言いながら、自分の声が少し硬いのが分かった。誰かが「了解」と返す。誰かが走る。誰かが弾倉を叩き込む。指示が返ってくるたび、次の不足が見える。負傷者を何人まで抱えられるか。
機体が燃えていたらどうするか。周辺に残敵がいれば、誰を残して、誰を連れて戻るか。
部隊指揮官というのは、こういうことなのか、とエリックは思った。魔術を詠唱する前に決断し続けなければならない。
某ゾンビゲーでもヘリとは落ちるもと言われているので、ヘリは落ちます。
成長を見せるならば、師匠と離れての行動は必須。




