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十月一日♤
「カヤも行っちゃうんだ」
と言い、サトーは僕の膝に頭を乗せる。
「ごめんねサトー。君も一緒に連れて行ければ良かったんだけど」
僕はサトーの髪を解くように頭を撫でた。
「お気遣いありがとう。私は大丈夫。それに私、一緒に連れてけなんて厚かましいことお願いしたかな?」
そんなお願い一つもされてない。
だけどサトー、君はいつも寂しそうじゃないか。
頭を撫でていた僕の手に、サトーの掌が被さった。
「荷物はもう纏めた?」
「うん」
「私たちの写真は持った?」
「うん」
「明日は朝早くに行っちゃうの?」
「…うん」
「指先が冷えてきたね」
「……うん」
サトーは僕の顔を見上げる。
水に潜った時のように、彼女の顔がボヤけてみえる。
サトーの指先が僕の目元に触れた。
僕は堪えきれなくて、彼女の頬に涙を零した。
「カヤ、私を見て。ねぇ、忘れないで」
僕は涙を拭い、サトーの顔を、その表情を脳裏に焼き付けた。




