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ダイバーシティ・ジャパネスク  作者: 月美 結満
ダイバーシティ制度
18/24

八月三十日

ダイバーシティ制度が出来て二十年の節目を迎える。


制度の利用者と非利用者、更には採用する側の企業へのアンケートやインタビューを行い、十一月の特集番組に向け準備を進めていた。


風間もその一人に抜擢される。


センシティブなインタビューとなるのは予想できるため、中々首を縦に振ってくれない状況だったが、風間がインタビュアーだと伝えると、「風間アナなら」と、八名と三企業が快諾した。


どうやら皆、記憶にも新しいあの報道を視聴していたようである。


とある一室、風間を椅子に座らせ、画角を調整する女性カメラマンが、モニター越しに聞いた。


「今日、何人目だっけ?」


「五人目です」


「どっち側?」


「どっち側とは?」


「その、あれ。特殊者なのか否か」


「後者です」


「そう、結局前者へのインタビューは出来ないわけか」


「まぁ、そう上手くは行きませんよ」


制度の根底にあるのは二つ。


一つは、雇用する労働者の二%に相当する、心身的、能力的にハンデがある人の雇用を義務付け、社会参加による自立を促進させること。


二つ目は、女性の役職者を二十%以上に、及び、ジェンダーに配慮した労働環境の整備を義務付け、ジェンダー平等を促進をさせること。


あのテロ被害に遭った子を救う一環として、ダイバーシティ制度の枠に含めたのは、制度発足から四年後のことだ。


アンケートの途中結果でわかった事だが、

彼ら(特殊者)の殆どは、ダイバーシティ制度を利用せず、一般雇用で働いている。


その一部は心身にハンデがあるため、やむなく制度を利用していると答えた。


アンケートをくれた彼ら全てが、特殊者である事を伏せて欲しいと要望している。


たかがアンケートだ。特殊である事を伏せてもバチはあたらない。けど何故、馬鹿正直に答えたのか。


風間は椅子の背もたれに背中をつけ、足を投げ出し、天井を仰ぐ。


モニターから視線を外し、女性カメラマンは声を張る。


「ちょっと風間、お行儀悪い!」


腹から出したその声に、三児の母を感じた。

女性カメラマン 咲子さきこ

三児の母(全員男)

風間の愚痴り相手


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