八月十五日♤
その部屋には、主張の強い円形のベッドがある。
黄色い花をモチーフとした寝台には、円形のベッドマットと掛け布団が敷かれていた。
ほんの少し頬に幼さが残る彼、カヤは、寝台に腰をかけ、布団を撫でる。
そして横たわり、目を瞑った。
扉の開く音がする。
ゆったりとした足取りで此方に向かって来る。
ベッドが軋むと、カヤは右隣りの気配を感じ取った。
その気配は温柔な声で言う。
「ねぇ、寂しい?」
カヤが顔を横に向けると、砂糖菓子の様に甘い顔の少女がいた。
「勿論。サトーは寂しくないの?」
「寂しいくないっていったら嘘になるかも」
サトーはカヤの頬に指先を置いた。
カヤはサトーのその腕を撫で、手首を軽く掴み、距離を詰める。
どちらからともなく、互いのおでこを合わせた。
サトーは言う。
「このベット、まだ香りが残ってる」
クローゼットの中も、小さな本棚も空っぽで、床はピカピカに磨かれている。
だけどこのベットだけは、まだ人の香りが染み付いていた。
そしてカヤはこう応える。
「うん。ダンテの香り。優しい香り」
サトーは微笑むと、カヤに身を寄せ、こう尋ねる。
「ねぇカヤ。寂しさを埋める方法、知ってる?」
「方法が分かれば、ここに来ないよ」
「それもそっか。じゃぁ、教えてあげる」
サトーはカヤの鼻先に自身の鼻先を軽くぶつけ、下唇を優しく喰む。
カヤは肩を跳ね上げ、目を丸くしたが、サトーの温もりを受け入れるのにそう時間はかからなかった。
この行為がナニモノなのか、充分に理解できる齢だが、知らぬ振りをして行為にふける。
身体がシーツと擦れる度、彼女が好きだった香りが立ち上がった。
カヤ 17歳
サトー 17歳




