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日記 前編

7月7日

裏路地で、不思議な天使にあった。そいつはポンコツでどうしようもないぐらい優しい天使。

でもフィエルが来て、俺の日常は大きく変わったと言っても過言ではない。


他愛のない話をして、冗談を言い合って、泣いて本音を話し合った。


部屋は綺麗になって、自分のことを俯瞰して見られるようにもなってきた。

惰性ではない、心の底から喜べるご飯も食べた。

こんなにも明日を期待した日は久しぶりだ。


きっとここから俺は変われるかもしれない……


――――――――――――


7月8日

今日は溜まったゴミを、早朝から捨てにいった。

そのあと、ネットスーパーで色々買い物をして掃除道具と食材をまとめて買った。

そのあとフィエルと一緒に風呂掃除をして、敷布団を浴槽の中で洗った。


お昼頃にはフィエルと一緒に昼食を作った。

作るのはカレー、どう頑張ってもまずくはならないからだ。

大量の野菜を切っている最中、フィエルが包丁で指を切ってしまった。

まるで捨てられそうな子犬のような顔をして、痛いと泣いていた。

相変わらず感情表現が豊かだった。


夕方頃、フィエルはパソコンで調べ物をし、俺はトイレ掃除をしていた。

調べ物が終わったフィエルはどことなく悲しそうな表情をしていた。


何かあったのかを聞き出そうとしたが、『自分でもよくわからない』と、はぐらかされてしまった。いや、フィエルことだから本当にわからないのかもしれない。


夜には、お昼に作り過ぎたカレーを夕食にした。


夏だからか敷布団はすぐに乾いていた。ふかふかでとても気持ちよく、フィエルに譲ろうかと思ったが、匂いが取れず断念した。


それとフィエルのニンブスの光が少し薄くなったような気がする……確か、忠誠の現れだったっけ?明日調べてみよう。


――――――――――――


7月9日

今日は壁と畳の掃除をした。

どうやら重曹がよく効くらしく、水に溶かし、スプレー状にしてふりかけて、雑巾で優しく叩くと、汚れがみるみると落ちていった。その感覚にすっかりハマってしまい、無我夢中で掃除し続けた。


一方フィエルはパソコンで洗濯物講座を見て勉強していた。普通の洗濯の仕方や、柔らかい服の洗濯の仕方。

そして服別の畳み方など様々な洗濯を学んでいた。

お昼頃には2日前食べたちらし寿司を再度取り寄せた。

2人で美味しい! 美味しい! と頬張った。

食事中、ニンブスが気になってフィエルを見ると、やっぱりニンブスが薄くなっていっている気がする。


昼食を食べたあと、どうやらフィエルは眠たくなったようで、お昼寝をしていた。その間にニンブスについて調べてみることにした。


―――以下、メモゾーン―――


調べてわかったことは、そもそも聖書にニンブス等の記載はなく、宗教画で用いられるものだということ。

つまり、フィエルの存在と聖書や神話は全く関係のないことで、当てにならないということ。


次にフィエルの記憶喪失について調べてみた。

日常的なことは忘れている。でも、ふとした時に頭から記憶が浮かぶ。

医学的な話だと海馬や大脳、小脳に関係があるらしい。


正直な話、天使に人間医学が参考になるかどうかはわからない。

何かこう……超能力とか使って忘れた可能性だってある。

つまり振り出しということだ。


なら手元にある情報で考察しよう。

裏路地で出会ったあの日、フィエルはなんて言っていた?

確かフィエルは『ニンブスは忠誠心の現れなんです! 光が強ければ強いほど忠誠心が強いんです!』と言っていた。つまりニンブスの光が少し薄くなったのは忠誠心が薄れたから……?

記憶喪失と関係があるのだろうか?





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