↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

これから変わる天使と男の生活

彼女を家に連れて行く前に一つやらなければいけないことがある。

彼女の姿は、傍から見れば、何でもない日に汚らしい男と2人でいるただのコスプレーヤー、無視や少し噂をするぐらいなら構わないがSNSなどで拡散されてしまったら厄介だ。どうにかして隠さなければならない。


……そうだ! 近くにホームセンターがあったはず、そこで布か何かを買えばいい!


「少し待っていてくれますか? 何か姿を隠せるような物を買ってきます」

「わかりました!」

誰かが路地裏に入ってフィエルの姿を見られてしまってはまずい、なるべく急がなければならない。


走ってホームセンターに向かい、急いで買い物を済ませる。白く、シルクのような触り心地をした布、偶然手にしたものだがきっと着心地がいいだろう。


――――――


フィエルは無事だろうか。それしか考えられず、無我夢中で走って戻ってきた。

「はっ、はぁ……お待たせっ、しました……」

「あっ! おかえりなさい!」

肝心のフィエルはいわゆるぺたんこ座りをし、ケロッとした表情でこちらを見つめていた。


「とりあえずこれを被ってください。あと翼って閉じるというか……目立たなくするようには出来ますか?」

「んぅ……閉じる、閉じる……はっ!」

何か思いついたような顔をし突然立ち上がると背中の翼を体にまとわりつくように曲げ、自信に満ちた顔をしている。

「これでいいですか!」

「おぉ……すごいですね、これならいけるかもしれません!」

フィエルに全身を覆うように布を被せる、背中が不自然に浮きでて、頭が浮いてしまっている。


まぁ……大丈夫だろう。


「これなら多分……大丈夫でしょう。着いてきてください、今から家に行きます。」


――――――


家に辿り着き玄関の扉を開ける。しがないアパートだが人を1人入れるぐらいなら大丈夫だろう。

問題はどこで待ってもらうかだ。

外で待つのも良いが誰かに見られたら、間違いなく今後まともに生きてはいけないだろう。なら部屋か……?

……とりあえず玄関の土間で待っててもらおう

「ここが俺の家です。部屋を片付けるのでここで待っていてもらえますか?」

「わかりました! いくらでも待ちます!」


ずっと立たせておくのも気の毒だ。早く片付けなければいけない。


罪悪感を糧にし、怒涛のの勢いで効率的に部屋を片付け始める

まずは換気だ、ネットで見たことがある。

引きこもりの部屋は臭いと、おそらく湿気や汗などの過去の匂いが蓄積されて部屋にこもっているのだろう。


その次にゴミだ、机の下に置いてあるゴミ袋をたくさん取りゴミを次々に放り込んでいく。

使わない物も捨てよう、使う機会ができたらまた買えば良い。

そうして色々な物やゴミなどを捨てているうちにパンパンのゴミ袋が5袋ほど出来上がる。


そして洗濯。床に散らばったTシャツやズボン、下着などの衣服類を洗濯機に突っ込み回す。


大方片付いた部屋を見渡しながら次の掃除を考える。

見慣れていた部屋より少し広くなったような気がし引っ越してきた当初を思い出す。


とりあえず残った物は端に寄せよう、次は……掃除機をかけよう。


埃の被った掃除機を取り出しかける。

掃除機からはじゃらじゃらと普通の生活をしている部屋からは出ないような音が鳴っている。


日常が非日常に変わって行く感覚がする。

ゴミが溜まっている環境にいたと言う事実に少し嫌悪感が出てくる、だがそれが無くなっているという事実に少し達成感が生まれる。


思えばこんな感じに物事を俯瞰して見れた事がここ最近なかった気がする。きっとこれは日光パワーのおかげかもしれない。


……なんだ思ったより役に立つじゃないか


まぁ足を踏み入れることはできるぐらいにはなっただろう。

フィエルを招き入れ床に座らせる。そしてその対面に自分も座り込む。

「人間さん! ここは地獄より綺麗ですよ!」

「そらそうでしょう。掃除しましたからね」

「?」

きょとんとしながら周りを見渡し困惑の表情を浮かべる

「汚いのに……? ほんとですか?」

「……はは、そんな冗談も言うんですね」

「?」

正直な感想が胸に刺さる。いやきっと冗談だ、天使ジョークなんだろう。そうじゃないなら少し悲しくなる。


少し沈黙の間が流れる。フィエルが気まずそうな顔をしながらこちらを見てくる。

「私だけ何かしないのは悪いです……何かお手伝いできること……そうだ! もう夕方になりますし、料理をしましょう!」

散歩に出かけた時は昼頃だったのに、いつの間にかそんなに時間が経ってしまったのか。

「できるんですか?」

記憶喪失者の料理ほど怖い食べ物はない。

ニンブスのようにふと思い出していたら話は別だが……

「分からないですけどできそうな感じがします!」

かなり自信があるのだろう。ならきっと大丈夫だ……そう信じたい。

「じゃあ……お任せしますね」

「はい! お任せください!」


キッチンに向かって行くフィエルを見つめ、これから出てくるであろう料理に期待を寄せる。

天使の料理とはどんなものが出てくるのだろうか?

高級レストランのように神秘的な見た目をしているのだろうか?

それとも絵本に出てくる夢のような料理だろうか?

いや、意外に庶民的なものなのかもしれない。


「ぁ……」

キッチンの方から小さな声が聞こえる。何かあったのだろうか?

「どうしました……?」

キッチンに行きフィエルを確認すると先程のフィエルと同様な小さな声が出た。

「ぁ……」

そこには悲惨なほどに散らかっているキッチン、そうだキッチンを片付け忘れていた。

小さな声はおそらくフィエルの絶句だったのだろう。

「はは……キッチンを片付けるのを忘れてました。そういえば材料もなかったですね……まずはキッチンを片付けましょうか……」

「わ、私も手伝います!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
Xの企画から来ました。 とある日、天使を拾う。 これは冒頭から面白い展開ですね。 しかし前途は多難の気もするが、果たしてどうなるのか!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。