プロローグ/ドラゴン・クエスト
それじゃあ、今日は龍のお話をしてあげる。
ドラゴンだよ? かっこいいよねぇ。わたしも好きぃ。それじゃ、始まり始まり~。
むかーしむかし、あるところに暴風と雷鳴の化身、恐ろしき水龍がいました。
そう、水龍。水タイプのドラゴン。氷タイプの技が効かなくて倒すの大変なヤツ。
で、暇だった水龍は川を泳いでいたんだけど、とある村人が垂らした釣りの疑似餌がひどく美しくて……。
ん? 疑似餌っていうのは、えーと。ほら、このまえ買ってあげたエビのおもちゃみたいなやつの事ね。え? エビじゃなくてグソクムシ? まあどっちだって良いんだけど。ちみさあ、話の腰を折らないでくれるかな。
で、ええと。そうそう、その綺麗な疑似グソクムシに見惚れて水龍はつい釣り上げられてしまったの。ずいぶんと間の抜けた水龍だよね。
龍なのだからもうちょっとプライドというものを身に着けてほしいのだけれど。
しかもその水龍。疑似グソクムシ一つで喜んじゃって、その村人の住んでいた村の守り神になっちゃったんだって。
……え? 結局どういう話かって?
そりゃあ礼ちゃんよ、今回のお話は、まぁ、とりあえず人にも龍にも何にでも優しくしておきゃ良い事あるかもよって話。
龍なんていない~? やだやだなんと夢の無いキッズなんでしょう。
ちみは知らないだろうけれど世の中いろんな変なのいるんだから。ほら、見て今月の月刊ニライカナイ。今月の特集はピラミッドパワーの秘密。実はピラミッドって四角錐じゃなくて正八面体。かつて第3新東京市を襲ったらしいんだって。
ね。礼ちゃん、いつかさ。そういうの見つけたら────。
・・・
九月が後半に差し掛かった金曜日の夜。
着替えもせずスーツ姿で晩酌をしていた母リリーがリビングのソファでその長い足を組みながら一枚のはがきをピラピラと揺らす。学校もアルバイトも終わり最も気楽な時間だというのに、綾野家にしては珍しい『親戚付き合い』に関するお知らせだ。
「ほら、神釣の大ばあさまからお手紙が来てたの。お前も神釣の子ならたまには顔を見せに来なさいって。もうニ、三年会ってないんだからたまには会いに行ったら?」
母の隣に座りそのはがきを奪うと、達筆な筆文字で聞かされた通りの文面が記されていた。手紙だなんて今時珍しいけれど、こうして実物を目にするとメールなどよりも確かな圧力を感じる。
「リリー、この達筆よく読めたね」
「アプリで読み込んだだけ」
神釣。
僕の母方の祖母の従姉妹の家。おおよそ他人と言っていいくらいに遠縁ではあるものの、何故だか僕が生まれた頃から面識のある親戚なので無視する訳にもいかない。
高校受験の少し前から会いに行っていないけれど、婆ちゃん……神釣の大ばあさまには妹共々ゲームを買って貰った事もある。そんな大ばあさまからのお呼び出しともなると無下にするのも気が引ける。
「……リリーも一緒に行く?」
「やだ。遠いもん」
「じゃあ僕も行かない」
そう言うと母の腕に捕まり膝の上に寝かされる。こうして膝の上に乗せられるのも十年ぶりだか数日ぶりだかは分からないけれど、妹に見つからないのを願う。
「もー。わがまま言わないでよ。この家だって神釣さんのところが頭金払ってくれたんだから」
「……そうなの?」
「竜の子が手狭な家では不足だろうって。ねえ、礼っていつから竜の子だったの。私の子なのに。あれ、それってつまり私も竜なの」
「はぁ?」
「んー。そんな気もしてきたような……」
何を言うのかと見上げれば、ゴクゴクと景気よく缶ビールをあおる母の喉元が見えた。テーブルに目を向ければいつの間にか500mlのロング缶が三本ほど並んでおり、そろそろ母の近くから撤退した方が良いのだが、しっかりと身体を固定されてしまっているので逃げられそうにない。
「礼はねぇ。私が大事に大事に……ねぇ、りゅうのこってなにぃ?」
「知らないよ酔っ払い。ただ、なんだっけ。ルカが……なんか言ってたんだけど。神釣家は龍だかトカゲだかに守られてるとかなんとか。だから、神釣ゆかりの子供をそう呼ぶんじゃないの?」
「ゆかりぃ? だれぇ?」
「ま、ゆかりがあるって言うほど血が繋がってるとも思えないんだけど」
「ふぅん…………。かわいいねぇれい……」
頭をわしゃわしゃと酔っ払いに撫で回され抱きしめられる。
そして、されるがままソファに寝転び母の酒臭い寝息を浴びながらウトウトしていると、ヒンヤリとした空気が近づいてきた。窓でも開けっぱなしだっただろうかと目を開けると、そこにはひどく冷めた目で兄を見下ろす妹がいた。
「……」
「……」
──翌日、僕は冷ややかな視線を寄越す妹から逃げるように家を出た。
・・・
早朝の東京駅。
リュック一つ背負い新幹線のぞみに乗り込み、運よく座れた自由席で揺られること二時間半。
朝早くに起きた事もあり旅情を感じる間もなく眠気に身を任せていると、あっという間に新神戸駅に到着していた。
距離にして……何キロだろう。とにかく結構遠くまできたので自然と街に流れる空気の匂いも違うような気がする。視界にタワーマンションが映る一方で後ろを振り返ると小さな山があったりと過ごしやすそうな雰囲気が流れており、新神戸という格好良い名前の響きとは裏腹に牧歌的な雰囲気だ。
ここ最近で言うと柚乃さんと二人で飛行機に乗り込み飛び立った事はあるけれど、こうして一人だとまた気分が違う。
寂しさというか、ちょっとした不安はあるものの。なんだろう。すっごく自由な気分だ。
田舎は監視社会だと聞いた事があるけれど、東京と比べると随分と監視されている感が薄い。これも旅先の空気がそう思わせるのだろうか? それとも普段から監視されているからそう感じるのだろうか。
「……」
秋冷といったか、秋めいて澄んだ空気は過ごしやすく母に貰ったお小遣いでそのまま観光して帰ろうかなと悩んでしまうくらいには広々として魅力的な場所で、かつて訪れた時よりも景色は明るく見えた。
もう、親戚に会いに行くの面倒くさくなってきたな。大ばあさまに会うよりも北野異人館にでも行った方がよほど楽しそうだ。
挨拶が終わったらこの辺りでも観光してみよう。
スマートフォンで観光情報を仕入れつつ新神戸駅からしばらく歩き、電車を待ち……。バスに乗り……。
あれよあれよという間に上水流という寂れたバス停に辿り着く。
都内であればグラデーションがかかるようにビル群から住宅街そして木々山々と変遷していくのだが、この辺りは少し目を離すとあっという間に人の生活圏が離れていく。
トンネルを抜ければそこは雪国だった、みたいな洒落た表現は思い浮かばないけれど──。
「バスを降りたら、そこはド田舎だった」
ほとんど貸し切り状態のバスを降車し腰を伸ばしながら周囲を見渡せば、僕を出迎えたのは収穫目前の美しい稲穂と嵐か何かで禿げてしまった山肌。道沿いに生えている『ようこそ上水流村へ!』という看板を見るとなんだか無性に切なくなってしまう。
コンクリートブロックに時刻表が突き刺さっただけの屋根一つないバス停。
次、ここにバスが停まるのは五時間後らしい。
昔は電車やバスではなく自動車で神釣の家に直接向かっていたのでこのあたりの光景を眺めた事は無かったのだけれど、あまりにも人間が見当たらず。あれ。これってポストアポカリプス? と思うほど寂寞──だけれど。
「……」
息が漏れる。
そう、それだけではなかった。ここに立つまで予想だにしなかったけれど。
……ここには記憶があった。
昔の、産みの親に連れてこられた記憶が。だからこそここにはもう何年も来たくは無かったのだけれど。それは一昔前の僕の感傷で、今はこの何もない景色もそう悪いものとは思わなかった。
懐かしさと言うのは……少しは嬉しいものらしい。
「ま、ベンチと屋根くらいは欲しいか」
誰も居ないというのに憎まれ口をたたきつつ、スマートフォンを見る。幸いまだ電波が届いている様子。確かここまでくれば神釣家が迎えの車を用意すると聞いてきたのだけれど、神釣家御用達の黒塗りのセダンは見当たらない。だいたい迎えを寄越すというのならここではなくて新神戸駅まで迎えに来てくれればいいのに……。
スマートフォンを眺め神釣家から連絡がこないものかとウロウロし、道沿いに脈絡もなく設置された古ぼけた自動販売機を発見し小銭を入れると──。
「……これ貯金箱だ」
電源の入っていなかった自動販売機のコイン返却レバーを押すも小銭は返却されない。
いつか読んだマンガでこういう動かない自動販売機を蹴るシーンがあったのを思い出し、それに倣って蹴ってみようかと足を上げる──が。
僕の常識的な部分が邪魔をして結局不動の自動販売機を撫でるに留まる。
猫型ロボットのアニメを見て育った弊害か、もしくは壊れたブラウン管テレビを叩いて直した世代ではないからか、こういう可愛げのない長方形の機械であっても乱暴に扱うのは気が咎めた。
しかし何とも不思議なもので、それほど喉が渇いていた訳では無かったというのに手に入らないとなると途端に喉が渇いてきた。
リュックの中に何か入れてこなかったかとあれこれ見渡すも、中には小説とタオル、それと家を出る時に偶然出会った知り合いに貰った小さなぬいぐるみだけしか入っていない。これではまだ女児が肩から下げる小さなポシェットの方が絆創膏とかが入っていて役立つに違いない。
ため息をつきつつ、やる事も無いので『ぬい活』みたいな感じでぬいぐるみと自動販売機(廃)を一緒に撮影。
「……こっちから撮ったほうがいいか」
そうして無駄なこだわりを発揮して画角を探っていると──。
古いデザインのワゴンカーが目の前で停車した。
八人ほど乗れそうな元は綺麗な白色だったであろう車のスライドドアが開くと、中から「おや、旅のお方やろか。山の方行くんなら送ったろうか?」と、妙にぎこちない関西弁と共に人の良さそうな老爺の声が聞こえた。
「僕が旅のお方……?」
「ここから歩くんは大変や。ほら、乗り?」
「……」
無言の抗議を老爺に投げかけると。
「…………礼くん、ええから乗り」
小声でそう付け加えられた。怪しさを感じながらも他に行き場も無いのでワゴンカーに足を踏み入れる。外見のわりに中は清潔な匂いで埃っぽさは感じない。
「ほな行こか。れ、旅のお方」
「……ああ、はい」
シートベルトを締めると車体が揺れ、ワゴンカーが動き始める。しばらく揺れに身を任せていると名前も知らぬ川が見えてきて、やがてそれも木々の隙間に消えていった。
そうして徐々に車体が傾いてきて、山道を登り始める。
パワーウィンドウのスイッチを押して窓を開ければ、山らしい少し冷えた空気が車内に入って来た。空気が美味しいとはこういう事だろう。
「にしても旅のお方、ちょうど良い季節に来ましたなぁ。ええ、ええと、そう、この村に伝わる巫女の舞が見れるんやから」
「巫女の舞?」
「せや。豊かな雨を稲穂に、土地に恵んでくださった水龍様のために巫女が舞う。この上水流のしきたりなんや。それも今年はルカさまが直々に舞ってくださるときはった」
座席の上に置かれていた何枚かの紙切れに目を通しつつ、疑問を口にする。
「ルカ……さまってどなたなんですか?」
「ああ、ルカさま言うんは神釣の大ばあさま以来の巫女でな。ホンモノの、神通力っちゅうのをお持ちなんや」
「じ、神通力ですか」
「せや。雷霆を操り、嵐を巻き起こし、豊かな雨をもたらす──。でもなぁ、ああ、ここだけの話やけど。ルカさまの、神釣には妙な噂があってな。なんでもその神通力を使うには生贄が……」
運転手の老爺が不穏なセリフを口にしかけると……パン、と爆竹のような音が響きワゴンカーが急停車した。
ああ、なんて不運なのだろう。これは水龍様の祟りかもわからんね。
「ああ。あかん、神釣の土地でこないなこと言った罰があたったわ。すまんね、旅のお方。ここから先は歩きで頼むわ」
「えぇ……はぁ、はいはい」
スライドドアが開き、仕方なく見覚えのあるような無いような気のする山道に降りる。
「ここまでありがとうございました。配送係の爺さん」
最後にそう言うと運転手の老爺は珍しい物でも見たように目を見開き、穏やかな笑みを浮かべた。
「ああ。ええ子やのに……キミが今年の贄やんな。ほら、その傘持って行き。くれぐれも、──道中の祠を壊してはいかんよ」
・・・
長い山道は不思議と水のニオイがした。
本格的に神釣の土地に踏み入ったらしい。
神妙な雰囲気とは言わないが、かつて古い時代に土着信仰の神が根付いたのも頷ける……何かが居そうな気配がする。それはきっと山の動物だろうけれど、もし柚乃さんを連れてきたら何か別のものを視るのかもしれない。
晴れていたはずの空は霧がかかり、目には妙な光が映る。小さな小さな粒のような青い光は新種の蛍だろうか。
そんな、息苦しいような、落ち着くような山道を上がっていく。
はてどの程度歩けば神釣の武家屋敷に辿り着くのか、しばらく鼻歌と共に足を進めると木々の奥にポツンと何かが置かれているのが見えた。
……祠だ。
くれぐれも壊さぬように言われた祠だ。
それってつまり壊せという事なのかは不明だけれど──。誰からも忘れ去られたかのような場所に置かれた古ぼけた石の祠が目の前にある。
土台となる丸みを帯びた石の上に、中身をくりぬかれ蝋燭でも置けそうな形をした石が乗っかっている。
……あれ、こういうのって祠って言うのだったか。どちらかと言うと灯篭か?
まあ同じようなものか。
祠なんぞどうせ祀るべき神も居ない空洞。この石ころと同じようなものだ。
コツン、と貰った傘で祠をつつく。ほんのちょっと、小突く。
「本当に居るってのなら現れてみろ」
『壊すな』と言われた祠を前につい僕の信心深いところが発揮されてしまうが、まあこんな重い石ころちょっと押したくらいでどうにもなら──。
「あ」
ゆっくりと、祠がグラリと揺れて傾く。
「ちょ、わ」
とっさに転がり落ちていく石の祠を支えようとするも──スローモーションで祠が転がっていく。違います水龍様ただほんのちょっと押しただけなんです。本当に祠を壊すつもりなんてなかったんです!
「…………」
奮闘むなしく、足元には割れた石の残骸。
……祠、壊しちゃった。
・・・
壊れた祠の代わりにリュックに入れていたぬいぐるみを台座の上に添えて何事も無かったように歩き始めると、再び祠が見えてきた。
今度は先ほどの石ころとは違う真新しい木製の小さな社殿だ。
祠の周りは最近切り開かれたかのような小奇麗さで、未だに人の手が入っているのが見て取れる。さて、ここはどうしたものかと思案しながら祠に近寄ってみれば……。
祠の陰からゆらり誰かが現れた。
着物姿、四十歳くらいの女性がにこやかに近づいてきた。おおよそ極道の妻みたいな外見だけれど久しぶりに会った親戚を出迎えるような笑みを浮かべている。
「まあ、旅の方やなんて珍しい。もしかして上水流村のお祭り見に来たんやろか」
「はぁ、まあ、そうなるかと」
「……ふふ。ええ子が来てくれたわ。きっと喜びはる」
女性は手に持っていた花を祠に備えるとそっと手を合わせた。
「その祠って壊していいヤツなんですか?」
「あかんよ。あんたも手合わせてお参りしとき。この水龍様はね。優しい神さまなんやけど、とても気まぐれでちゃあんと構ってあげへんと拗ねてまうんよ。だから、れ……お兄さんも大事にしてあげてな? もし壊してしまおうもんなら怖いこと、おこるんやから。この上にも似たような祠が二つあるんやけど、くれぐれも壊しちゃあかんよ?」
不安を煽られるような言葉を頂く。
「さっき下で一個壊しちゃったんだけど」
「まあ。下に祠なんてあったやろか」
「え?」
「まあ、もし本当に壊してしもうたんなら、それはもうえらいこっちゃ。ほんまにあかんかも。ああ、今年の祭りは──なにか起こるかもしれん、ね」
「……」
「……。もう行ってええよ。足元気をつけてな」
女性に背中を押され、再び足を進めること十数分。
背の高い木々が僕を招き入れるように風に揺れて、ごうごうと吹く風に紛れて──トントンと手毬をつく音が聞こえてきた。
「ひーとつ砕けば、目を覚まし。ふーたつ砕けば、目が合うの──」
ご丁寧にわらべ歌まで……。
少女によって紡がれる言葉はまるで何かを暗喩するかのようで気味が悪い。
青い着物を着た少女が三っつ目の祠の前で手毬をついて歌っている。
強く吹いた風が雨雲を運んで来たのか、少女の黒でも白でもない雨雲のような長い髪が揺れ、空の向こうから湿ったにおいが降りてくる。
「みっつ砕けば──。雨が降り。よっつ、いつつと数えましょう。水の中で見上げましょう。遠くのお家、探しましょ」
……なんか怖い歌詞。
灰色の髪を揺らす、小学生か中学生くらいの身長の女の子がクスクスと笑い始める。
「だから、一つも壊しちゃあかんよ。ちゃあんと約束守らなあかんよ。地を這う虫けらなんやから。ちゃあんと身の程しらねばあかんよ。嘘もあかん。龍の化身は大事にせな。お兄さん、祠はくれぐれも──」
「わかってるって。祠とか一個も壊してないから」
一個くらいは、壊したかもしれない。
「ふふ。ふふふふふふっ」
灰色の少女の姿が揺れる。
雷鳴が響き強く風が吹く。
そして一際強い風がごうごうと木々を揺らし視界を奪うと──。
──ダァンッ!
遥か頭上から視界を埋め尽くすような光が祠に直撃し、破壊した。
「…………え、怖っ」
目の前の衝撃に言葉を失っていると、ぽつぽつと雨が降り始めた。
一つ砕けば雨が降り……。
二つ砕けば目が合う……らしいけれど。何かが現れる様子はない。というか、これは僕が壊したとしてカウントされるのだろうか。
その疑問に答えてくれそうな謎の着物の少女の姿はいつの間にかもうない。どうやら再び進むしかないようだ。
雨が段々と強くなり、傘を開き坂道を登る。
「……はぁ」
ああ、さっきの女の子を見てから心臓がドキドキして痛い。森林浴で癒されていた心肺機能が不調をきたすほどドキドキというか、なんならズキズキ。
深い溜息を口から垂れ流しながら、雨粒を受ける。
やがて木々の隙間に見覚えのある石造りの階段が見えてきたので若干の安堵を覚えつつ階段の先を見上げると──。
古い時代に取り残された、まるで時代劇に出てくるかのような武家屋敷の外堀が目に映った。
立派な門の下には先ほどの少女が和傘をさして僕を見下ろしている。
そして少女はその小さなつぼみのような唇を開くと──。
「おーい、礼さまー。お楽しみいただけましたかー?」
緊張感のかけらもない出迎えの言葉を寄越した。
「この因習村ツアー体験版、ルカが考えたのですよー」
少女の名前は神釣留火。
僕より二歳年下の遠い血縁にして……僕が最も畏れる個人である。
プロローグだけお先に。
本編はあと1~2ヶ月後に投稿できたら良いなと願っています。
とりあえず書き上げるまでは、ぽこあポケモン買うのは我慢できれば良いなとも願っています。
読んでいただきありがとうございました、いつも感想、誤字報告ありがとうございます!
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