希望の光に
早速閉じ込められた者達と合流しました。
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ゲームのクリア条件(?)を次回書けたらいいなぁ……(
瓦礫の影から出て来た男の言葉に優しく答えようと口を開き掛けた数名を遮るように、石畳を踏み鳴らしながらフラウが近付き目の前で胸を張って立ち止まる。
「アタシ達の何処がNPCに見えるって? プレイヤーよ、あんたと同じ」
その言葉に男が落胆の色を浮かべる。犠牲者がまた増えたと考えたのだろう。
付いてきな、と言葉を落として踵を返し、何処かへ向かって廃墟と化した王都を歩き出す。
「ふむ、恐らく私達を他のプレイヤーがいる場所へ案内してくださるのでしょうね。言うなれば、彼は避難所への案内役といったところでしょうか」
「成る程、なら早く付いて行かなくてはならないな。見失う前に俺達も行こう」
言うなり歩き出すアーサーは、けれど警戒は怠っていないらしい。剣の柄に手を掛け、何時でも抜けるようにしながら先行する。
その後をジンが追い、ケイが続く。
「陣形とか考えちゃう? フラムちゃん」
「ちゃん付け止めてくれる? 鳥肌立っちゃったわ」
巫山戯るユークリフを追い立てながらフラムが進み、リリルに手を引かれてユートが歩き出す。
自然と術士・非戦闘員を中心にした行列が出来始めている。
「私達も行きましょうか、レイさん、アスマさん」
「ああ」
最後尾での警戒をアスマに任せながら、レイとサイカも歩み始める。
周りの景色と道筋を覚えながら歩を進めること暫く、不意にアスマが呟いた。
「…………教会」
「ん?」
「初期スタート地点は、王都レンディア中央広場。そこからこの方角、道を歩くと初期復活拠点の教会」
「成る程……。確か、王都の教会はプレイヤーの改築によってかなりの大きさになっていましたね。犇めく人々がクリスマスや新年を祝う馬鹿騒ぎをしていた記憶があります」
サイカに頷き、アスマは続ける。
「特に新年。無料籤が教会内全員に配られた」
「となると、今ログアウト出来ない方々全員を集めても大丈夫そうですね」
「教会が他のように破壊されていなければ、の話だがな」
歩き続けていると視界に古びた教会が飛び込んできた。他の建物のように蔦が壁を這い、風雨に晒され手入れされていないために石壁が汚れているが、破壊されたような穴などは見あたらなかった。
窓は真新しい木材で塞がれている。これは避難したプレイヤーが行った修繕だろう。ガラス窓を作れる者がいるはずもないのだから。
「おぉ、教会は何とか無事のようだな!」
ジンの言葉に碌な反応を返さず、男は教会の中へと入っていく。
教会内へ一人で進みそうなジンを抑えながら、ケイとアーサーは全員が揃うのを待つ。そう離れることはなかった為程なく集まると、扉をゆっくりと開けて本来は厳かな空間へと足を踏み入れた。
扉を潜ると、締め切られていた所為か内部から外部へと空気が流れる。その一瞬をやり過ごし、目に飛び込んだ光景に彼等は息を呑む。
学校の体育館など目ではない程広々と作られた教会に、大勢のプレイヤーが押し込められていた。
初期装備以外の容姿や性別、年齢は全てバラバラ。けれど一様にその表情は暗く沈んでいる。彼等が閉じ込められて既に五日。相当神経を削っていることだろう。
「みんなーっ、リリル達が来たからには、多分きっともう大丈夫だよっ!」
「それ、あまり安心出来ないと思うんですけど」
努めて明るく振る舞うリリルに対し、ユートは小さくツッコミを入れる。けれどリリルの言葉に反応し、一人、また一人とプレイヤーが顔を上げて一行を見た。
ざわり、と空気が振動する。
「二つ名持ちプレイヤー……!?」
落ちた呟きは瞬く間に広がり、一種の興奮を生み出していく。
「リリルって言ったら、あの【甘い良薬】だろ?」
「ピンク色の髪に金眼、ゴスロリ! 間違いない!」
「白金髪に緑の瞳の鎧騎士。【鉄壁】のケイだ」
「俺達を護ってくれー!」
「紅い髪、焔の瞳。そして真紅のドレス……【炎の魔女】、フラム=ルージュ!?」
「うぅむ、こんな状況でも麗しい」
「嘘、アーサー様だわ!」
「ホントに金髪碧眼イケメンなのねぇ……」
「【英雄王】アーサーか…………くそっ、リア充爆発しろ!」
二つ名は強さや能力の高さを示すバロメーターの一種である。この様な状況であれば、持つ者がいるだけで希望になり得る。
ただし、普段は有名税としてプレイヤー同士の戦いを挑まれる等引き起こすことがあるのが難点か。
アーサーが一歩前に出、声を張り上げる。
「俺達はトゥースリベルテ社より、このゲームに取り残されてしまったキミ達を事態収拾まで護って欲しいと依頼を受けた。だが俺達も単なるプレイヤーだ。見た目はAFOの終了間際と同じだが、装備の質や能力値は殆ど変わりない。至らないところも沢山ある。生き残る為にも、キミ達の力を是非貸して欲しい! 一緒に、俺達の現実へ帰ろう!」
告げられた言葉に教会内が沸く。
先程までの暗く沈んだ表情は誰一人としていなくなり、その瞳に強い意志を宿している。例えアバターを通してであっても解る程に。
それにふとレイが違和感を抱いた時。
『…… ……』
音が響き渡った。




