自己紹介
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VRMMO、R15、残酷表現と表記しながら、まだまだ辿り着けません。
次回はそれぞれのチート決定(予定)ですので、やっぱりログインが遠い……。
「よし、こうしていても仕方ない。これから共に一つの目標へ向かうんだ、自己紹介ぐらいしようじゃないか!」
椅子から立ち上がり、そう宣言した人物へと視線が集まる。
「先ずは言い出しっぺの俺から。AFOキャラネームはアーサー、ロールは剣士だ。前衛は任せてくれ!」
次は、とアーサーの視線が他の面々を行ったり来たりする。
衣擦れの音を立て、足を組んだ女性が眉を顰めて発言した。
「ちょっと、いきなりリーダー気取り? 自分が先頭に立つからアタシ達に従えっての?」
「ん? そんなことは言ってないさ。ただ、何もせずに時間が過ぎるのはこれからに影響するかもしれないだろう? 先ずは自己紹介するべきだと思ったんだ。それに、キミが俺達を纏めたいと思うなら俺はそれで構わないよ」
正論を言われ、彼女はアーサー以外を一瞥してから溜息を吐いた。
「…………こんなアクが強そうな奴らを纏めるなんて面倒、御免被るわ。……キャラ名はフラム=ルージュ。フラムとでも呼んでちょうだい。ロールは魔術師よ。得意なのは炎ね」
アーサー、フラムと続いたことで、必然的にキャラ名と役割を告げていく流れが出来上がっていた。
次は誰が、とお互いの動きを見ていれば早々に終わらせようと思ったのだろう、中学生か高校生程の少女が手を挙げて注目を集める。
「じゃあ次は……リリルの番ね! キャラ名はリリル、ロールは薬師。基本、非戦闘員だよっ。ロールプレイの一環で自分のこと名前呼びだけど、許してね?」
ちなみに大学生です。
そう続いた言葉に吹き出したのが一名。丁度置いてあった飲料に口を付けたところだったらしい。隣の青年に背中を擦って貰いながら咽せている。
生温い目を向けられている隣から目を背けつつ、それでも手を止めずに青年が自己紹介をする為に口を開いた。
「俺はケイ。AFOでは盾の役割をしてました。よろしくお願いします」
「ごふっ。ん、んんっ。…………はー、死ぬかと思ったぜ」
ケイの目礼に数瞬遅れ、背中を擦られていた男がひらひらと右手を振った。
「外見年齢がもうちょい下なら合法ロリ、とか言えるんだけどなー。でも可愛いからおっけーおっけー、問題なし。あ、俺のキャラネームはユークリフ。槍使ってまーす」
心なしか、リリルがユークリフと反対へ身体を引いた。
「えー、クリフ君はロリコンなんだ。リリル、ショックー」
「いやいやいや違うよ!? 女性は年齢関わらず好きだから!」
「それはそれでどうなのよ」
フラムがすっぱりとユークリフの言葉を斬り捨てる。それに笑い声が零れた。
角の席に座った柔和な表情の男性が苦笑し、軽く頭を下げる。
「失礼しました。私はサイカと言います。基本は弓兵ですね。近接では短剣も使います。遠距離物理は任せてください」
「ならば次はわたしだな!」
サイカの隣に座っていた少女が音を立てて立ち上がる。彼女は私服や制服の面々と違い、何故か一人だけ部活動で着るようなジャージを身に纏っていた。
「わたしはジン=アサクラ! 刀を使う侍だ! 剣道部所属で、キャラネームは適当に格好いい名前として決めた! 敵はわたしが斬り払う! だから細かいことは任せる、以上!」
清々しい程に肉体労働派宣言をしたジンは、次はお前だと言わんばかりにサイカの対角線上にいる青年を指差した。
全身黒尽くめだった青年はジンの指を見つめ、ゆっくり瞬く。
「……アスマ。盗賊」
そうしてそれだけ言うと口を閉じ、黙りを決め込む。
また落ちた沈黙を払うように、制服を着込んだ少年がおずおずと手を挙げた。
「えっと……僕はユートです。治癒師と光系魔術師やってました」
よろしくお願いします、と頭を下げるユート。頭を上げると、最後の一人であるレイの方を向いた。
「キャラ名はレイ。魔術師だ。……多分だが、炎の専門家がいるから他属性を補う意味で器用貧乏な僕が呼ばれたんだろう」
総勢十名が自己紹介を終えた。
それぞれの言葉を反芻し、肩を竦めつつユークリフが九人の顔を見回す。
「いやー、しかしホントばらっばらだよな。よくこれだけバラエティ豊かに揃えたよ、運営ってば」
集められた全員がしっかりとした役割を持ち、且つ殆ど被りがないというのは異様である。
AFOは自由さを売りにしている為、職業という概念もなかった。それぞれがそれぞれでやりたい役割を考え、演じていたのだ。中には複数の役割を演じ分ける強者もいた程だ。
だからこそ、偏りが出やすい。
最も多く存在したのは、前衛だろう。アーサーのような剣士がその大半を占め、時折武器に拘りがあるジンやユークリフのような者やケイのような盾が存在していた。
対して、サイカのように弓を使う遠距離物理攻撃を選ぶプレイヤーは少なかった。弓の扱いに補正が掛かるわけではない為命中率が低かったのと、その地味さが敗因だろう。単に遠距離攻撃をしたいのならば魔術師を選べばいいのだから。
その魔術師もシステムの特性上、属性特化しやすい傾向がある。幾つもの属性を管理するよりも、単一の属性を極めた方が早く、確実であるからだ。フラムのような魔術師が一般的なのであって、レイのような魔術師はかなり特殊である。
ユートの治癒師も魔力を扱うという点では魔術師と同じ系統に入る。ただし、治癒術は属性を使わない。魔力を注ぐことで相手の肉体を活性化させ怪我を治癒させる、という概念だからだ。とても有用な術であるから、前衛は大抵治癒術を覚えている。その所為か、治癒術特化の者は意外と少なかったりする。
アスマのような盗賊や暗殺者は表舞台にロールとして出てこない為、総数は不明である。周りには剣士と言いながら暗躍している者もいるらしい。彼等は自身の隠蔽に秀でていた。故に盗賊であり暗殺者なのだ。
リリルのような生産者もいないでもなかったが、全体の三分の一いればいい方であった。その中でも生産特化は生産者全体の二割から三割といったところだろうか。
「それだけ俺達にトゥースリベルテ社が期待を掛けているということだろうな。少なくとも、全員前衛よりは格段に生存率が上がるはずだ」
「半分が魔術師、なPTよりもね」
アーサーとフラムの言葉に全員が頷く。
バランスがいいかと問われれば直ぐには頷きがたい。けれども特出した偏りが無い為、ある程度は乗り越えていける、かもしれなかった。




