第4章 取り戻す朝 手放した夜
「以上、現場からスタジオへお返しします」
朝の情報番組は30代女性殺害のニュースで賑わっていた。
徹はネクタイをしめながら
「悠人、パパの会社が遠くてさ」
「うん」
「もう家を出ないと遅れちゃうんだ。悠人を見送れ無くてごめんな」
「大丈夫だよ」
「パパが帰ったら幼稚園でどんな事したのか教えてくれな」
「うん。パパ...あのね...」
「どうした?お腹痛いのか?」
「ううん。今度、幼稚園のお祭りが有るんだ...」
「いつ?」
「あと3回寝たら」
「土曜日か。仕事が休みだからパパも行っていいか?」
「うんっ!!」
悠人は徹の足に抱きついた。
「おぉ!悠人、重くなったなー」
「じゃ、仕事行って来るな」
「はい!行ってらっしゃいパパ!」
「バァバーーーー!!」
「悠ちゃん良かったねぇーーー!」
「うんっ」
「悠ちゃんもバスが来るから、そろそろ行かないとね。準備は出来た?」
「あっ!」
「どうしたの?」
「ハンカチ!」
「あらっ、悠ちゃんごめんね。バァバったら」
「あはは!バァバでも忘れるんだね」
「そーよー!だから悠ちゃんが気付いた時は教えてね」
「まかせてっ!」
祖母と手を繋ぎバス停まで行く道中
「バァバが作ってくれた3色おにぎりがね、みんな羨ましがってたんだ」
「あら、そぉー!」
「うん。お友達に1つあげたの。緑色の」
「お友達なんて?」
「悠人の弁当うめーーー!って」
「あははは」
「僕、嬉しかった」
「また作るからね。今日は悠ちゃんの好きな玉子とハムのサンドイッチよ」
「うわあーーー」
「唐揚げもタコさんウインナーも入ってるわよ」
「よっしゃーーー!」
飛び跳ねるように悠人は幼稚園バスに向かって走った。
「せんせーおはよーございます!」
「悠人君おはよう」
「おばあちゃまも、おはようございます」
「先生、今日もよろしくお願いします」
悠人を乗せたバスが走り出した。
急いで帰らないと!
お父さんは見てるかしらテレビ。




