第15章 小さな不安 支える不安
ハワイの気候は湿度がなくカラッとしていた。
普段なら汗で髪の毛がぺったりしてしまう悠人もサラサラだ。
ハワイへ到着した初日にツアー参加者全員での食事会が催された。
隣のテーブル席も後ろの席も皆、日本人だらけ。
ファイアーダンスを見たり食事を楽しんだり。
「パパ!このジュース甘くて美味しいよ!」
「どれどれ。うわぁ!甘いなぁ!悠人が好きそうな味だな」
「うんっ!なぁーちゃんも飲んでみる?」
「いいのー?」
「どーぞー!」
「あらっ!美味しい!」
「でしょう!」
「ゆう、飛行機移動で疲れてない?大丈夫?」
「平気だよっ!なーちゃんは疲れてない?」
「へーきっ!ゆうに会えると思ったらテンション高くなっちゃって疲れなんて、吹っ飛んだみたい」
「僕も、なぁーちゃんに早く会いたいなーって思ってたよっ!」
「イギリスどうだった?楽しかった?」
「うんっ!僕、大きくなったら住むって決めたんだっ!」
「もう決めたの?早くない?他にも素敵な国が有るかも知れないよっ」
「パパ!あれ何て言うんだっけ?道でお店やってるの」
「ああ、マーケットか?」
「そそ!それっ!なぁーちゃんと行きたかったなぁ!」
「くぅーーーゆう!もう可愛い過ぎるんだけど、ちょっとアンタ!」
「だってね、フルーツが大きくて甘くて美味しかったんだ!」
「フルーツ美味しいよねぇ」
「うんっ、また行く時は絶対一緒にいこっ!」
「行く行くーーー」
「ゆう、明日の予定は?」
「パパ、明日なにするの?」
「ダイヤモンドヘッド行こうかなって」
「それって、どこにあるの?」
「ハワイの山だ」
「なぁーちゃん、明日はお山にいくんだって!一緒に行くでしょう?」
「いいねぇー」
「ねえ、兄さん、アタシも追加で参加しても大丈夫?」
「ホテルのロビーで手続き出来るはずだ」
翌朝、徹が発熱し参加出来なくなった。
「パパー…。大丈夫?」
「ごめんな、悠人」
「ううん。僕もお部屋に残る!」
「奈緒が楽しみにしてるぞ。パパに気を遣わないで行っておいで」
「でも…」
「大丈夫だ。今日1日、薬を飲んで休んでいれば明日は遊べる」
「パパ…」
「どうした?」
「パパまで居なくならない?」
(悠人…)
徹は優しく悠人の頭を撫でた。
「悠人、パパはずっと悠人と一緒だ」
悠人は布団の上から徹を抱きしめた。
「飛行機移動で疲れたのは悠人じゃなくて、お兄ちゃんの方だったねぇ。大丈夫?」
「奈緒、お前バカにしてんだろ」
「してないけど、ウケるなーって笑」
祖父が
「悠人、パパは昔から知恵熱が出やすかったんだ。1日寝てれば大丈夫だから今日はジィジたちと出掛けような」
「うん…」
「もう悠ちゃんは優しいからパパが心配なのね」
祖母がそっと悠人を抱きしめた。
「悠人、楽しんで来いよ!」
「帰って来たら教えてくれな」
「うん。パパ行って来ます」
「おう」
悠人が手を振り
祖父母たちと部屋を出た。
「悠人、張り切って行こう!」
奈緒の声が部屋まで響いた。
悠人は母親が死んだ事を理解している。
大人がどんなに愛情を掛けても
母親の穴を埋める事は出来ないのか…




