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第14章 守りたい愛 捨てたい過去

「ですから僕は何もしていません!彼女の部屋の鍵がダッシュボードに入っていたのも警察に言われるまで知りませんでした!」


「同棲相手に見つかるのを恐れて隠しておいたのではないですか?」

「そんなんじゃ無いです!本当に知らなかったんです!信じてくださいよ!」


「亡くなったであろう日に貴方の携帯番号の着信が多く有ったんですよ」

「ですから、会う約束をしていて。なかなか来ないから電話をしたと言ったじゃ無いですか!」


百枝が太田の携帯を使って電話をし犯行に及んだと思い込んでいた。

太田は何が何でも百枝を守らねばと思っていた。


「貴方と背格好の似ている男性が部屋へ入って行く所を、他の住人が見ていますが」

「確かに部屋へ行ったことは有ります」

「前にも話したと思うんですが、ただの遊び相手で都合よく利用って言うとアレですが、そんな感じで」

「同棲相手に彼女との事がバレて追い出され

金も行く当ても無くて。それだけなんです!」


「遊び相手の家に泊まるとはねえ。ご友人の所へ行かず川島弥生の部屋へねえ」


「それには色々と有って…」

「ほう」

「僕は単なる遊び相手のつもりでいました。ですが彼女は僕の恋人だと思い込んでて。それは違うよ、君は申し訳無いけどって伝えに行ったんです」


「言いに行って泊まるのか?」


「その時は単純に布団で寝たくて何も言いませんでした」

「ただ、本当にウザく感じる瞬間が増えて来たので別日に行って」

「見てくださいよ、この傷。彼女が離婚までしたのにって半狂乱で僕にマグカップを投げ付けて出来た傷です。殺されるとしたら僕の方でしたよ!」


「もう一度確認させてくれ」

「はい」

「鍵は自分でダッシュボードに入れてない?」

「はい」

「殴られはしたものの、自分は手を出していない?」

「殴られというよりものを投げ付けた、ですが。はい」


「その話し合いの後は?」


「僕も腹が立ってきたので、捨て台詞を吐いて部屋を出ました」

「何と言って?」

「僕から一度も好きだの、一緒になろうだの言った事が有るのか?勝手に思い込んでも迷惑だ。大切なのは同棲中の恋人で結婚も視野に入れている。何があろうとも君は遊び相手にしか過ぎない。と」


「それで逆上して揉めて殴って殺した。なら解決するんだがな」


「やって無い事を、やってるとは言えません!こうやって冤罪を生んでいるんだって、よくよく分かりましたよ!警察って酷いですね!」

「言ってくれるねえ」

「言いたくもなりますよ!どうしても僕を犯人にしたいだけじゃないですか!」


「今日は留置所で寝てもらうしかないな」

「どこに置かれても、真実はやって無いですから」






「脇澤百枝さんで、お間違い無いですね?」

「はい」

「太田要次と同棲をされてて結婚もなさるとか」

「いえ、結婚などしませんし同棲も解消しました」

「それは何故ですか?」

「言わないとですか?」

「出来たら」

「ただの恋人同士の終わりです」

「終わった理由は?」

「ですから!何故、プライベートな部分を警察に話さないといけないんですか!」

「川島弥生さんの死亡について警察は他殺と見ています。そして容疑者として浮かんでいるのが太田です」

警察は百枝も怪しいと睨んでいたが

ひとまず太田の名前だけを出した。


「あのう、実は私も太田を疑っています」

「何故でしょう?」

「私と同棲しているのに浮気をしていたんです」

「川島弥生とですね?」

「はい。私が知る事になって部屋から追い出したんです。何でもするから許してって言うので、財布だけ持って出て行けと」

「私は反省して車の中で寝ているのかと思っていました。そっと駐車場へ行ったら居たんですけど」

「けど?」

「少しして車を出したので、私も自分の車で付いて行きました」

「見たんです、あの人の部屋へ入る所を。それで、もうダメだな。口では謝っても、そうやってあの人の所へ行くんだなって思ったら冷めてしまって別れました」

「もし、行かないで車にいたら?」

「今回だけは目を瞑ろうって」


「別れた理由は分かりました。太田が犯人だと思う根拠は?」

「年齢的に女性の方が随分上で、太田としては小遣い稼ぎか、何かそんな感じの相手に思っていたのに相手はそうじゃ無い。挙句、揉めて…みたいな事かなと…」


「部屋へ入る所を見たと言ってましたが自分で鍵を開けて入って行きましたか?」

「いいえ、チャイム鳴らしてました」

「そうですか…」

「あのう…」

「はい」

「実は私、とんでも無い事をしたんです」

「と言うのは?」

「はい、部屋を追い出した時、彼のバッグの中から鍵が出て来て。本当にムカついて。彼女が亡くなった後に太田は捕まるだろうと思っていたので、太田の車のダッシュボードに入れました。警察の方にヒントになればと思って」

「太田は鍵を持っていた。太田が殺したんだろう、でも自分から警察へ通報するのが怖い。だからダイイングメッセージ的にダッシュボードへってこと?」

「はい、すみません」

「他に太田が怪しいと思った所は?」

「特段無いです。さっき言った通りです」

「分かりました。ご協力ありがとうございます」

「あのう」

「何でしょう?」

「私、罰せられますか?」

「何を?」

「その…鍵を…」

「何も罰せられませんよ。安心してください」


警察の言葉に百枝は泣いてしまった。


警察もまた

彼女はシロだと確信した。





「鑑識の結果が上がって来ました」

「どれ」

「はい、どうも他殺では無く自殺と断定しています」

「何!?」

「はい、部屋中に有る血痕からは川島弥生の物しか出てこず、また傷後から壁への殴打と一致しています。しかも同じ箇所ですから他殺なら一点集中は無いと」

「そうか、自分で叩きつけたのか」

「その様です」

「太田を釈放してやれ」

「分かりました」




ヤバいな…

太田が冤罪で留置所置かれたなどと

騒ぎ出されたら…




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