episode10 sect6 ”追想、凶刃、鬼吏きたる”
圧倒していた。
はずだった、とかじゃなく。
完全に、迅雷と千影が、敵を凌駕していた。
2人は確かに戦況を支配していた。
直華も、妹のクラスメートたちも、それからなぜか1年生の教室で倒れていた3年生のナルシスト気味な後輩も、みんな守り切って、テロリストを制圧し、中学校の教員たちにも手伝ってもらって拘束までした。
誰がどう見ても、一件落着だった。
のに。
「『リコレクション』」
「「?」」
真っ先にロープで両手を拘束したリーダー格の男、レダウが、なにかの魔法を詠唱した。
魔法陣は見当たらなかった。
集束する光に目を焼かれて、迅雷は脅威を察知した。
本能的な反応だった。
ただ、敢えて言語化するとすれば。
―――コイツ、俺と同レベルの魔力量があんのか!?!?!?
迅雷は、脊髄反射で千影の手を引いて背中に隠し、迫る閃光を剣で受ける。
刃物を受けたような衝撃。
全く威力を殺せず、足が床から浮く。
またたくプラズマ。
魔力量だけじゃない。
迅雷の『駆雷』に匹敵する出力の。
(飛ぶ斬撃・・・!?)
「とっしー!?」
「ッぅうううううううう"ッッ!!!!!!」
止める術はあった。
迅雷も同じ威力の攻撃をぶつければ良い。
だが、こんなものを屋内で相殺したら余波で教室を焼き払いかねない。
やむなく。
耐える。
ゴリゴリと人体から聞こえちゃいけない音。
背中で対魔力性鉄筋コンクリートの壁をぶち破って、地上10mまで吹き飛ばされる。
なおも消えない魔力の塊に、迅雷は、空に打ち上げられてようやく、自らの魔力をぶつけかえす。
昼間の日光より先に目を焼くほどの青白い電荷の花火。
狂笑。
「ッはははァはッ!!!!!!テメェらだけが『特別』だと思うなよァ!?!?!?」
「うッ
そだろ。
それを言う隙さえなかった。
レダウが、ぶっ飛ばされる迅雷に追い付いてきたのだ。
飛び散る電光を照り返して刀が振るわれる。
大振りした直後だ。
受けようにも間に合わない。
千影は迅雷を真上に蹴り飛ばし、反動で自分は地面に飛ぶ。
空を斬るレダウ。
コンマ数秒の世界。
迅雷は空中で姿勢を強引に制御し、レダウに『駆雷』を見舞う。
「んぐんぃぃぃっ『リコレクション』ッ!!」
「m・・・ッたかよ!!」
考え難いことだが、相殺。
知るか。
二度目だ。
受け入れろ。
迅雷は空中で風魔法の魔法陣にしがみつく。
仰ぎ見る、地表。
レダウまでは一直線。
『多重雷撃』。
重力、風力、膂力。
三重の加速。
迅雷が名を体で表す。
「おォあッ!!」
「ぎぃ―――ッ!!」
斬り結び、地面に激突。
・・・する寸前で力を流される。
迅雷から距離を取ろうとするレダウ。
迅雷は地面に刺さった『雷神』を力任せに振り抜き土を飛ばす。
目を守るレダウ。
千影が背後に回り込む。
見た目だけなら可愛らしい小悪魔な尻尾が唸りをあげる。
マッハ5の鞭打ち刑。
可愛げのない音と共に弾かれるレダウ。
錐揉みしながら、校庭の一角、テニスコートを囲む緑ネットに頭から突っ込む。
あまりの勢いに、ネットの支柱が軋みを上げて倒壊する。
苛烈な攻防は、傍観者たちにとっての5秒。
隕石でも落ちてきたかのような状況に誰もが騒然とする中、鋭い金属音が響く。
倒壊したテニスコートのネット支柱が刻まれ、さらに崩壊したのだ。
レダウはまだ動いている。
だが、土煙の向こうから現れた中年男は、束ねていた白髪がほどけ、どこもかしこも傷だらけ。まるでぼろ切れになった日章旗を頭巾にして被る落人だ。
勝敗は、誰の目にも明らかだった。
そう、誰の目にも。
見当たらない自軍の兵隊の姿に、レダウはわなわなと振るえて、刀を地面に投げ付けた。
「あァ~!!使えねーーー!!結局かァ!?『BLEACH』も俺なんか使い捨てかァ!?だよなァ~!?じゃなきゃこんな雑魚ばっか寄越さないもんなァ!?あ"~~~ッ!!つっかえねェェェェェ!!!!!!」
なにかと思えば・・・癇癪・・・か?
迅雷と千影は知らないものの、さっきの爆速ランサーの方がよっぽどテロリストのリーダーっぽかったくらいだ。
小物。
その実感が、魔法士たちを冷静にさせた。
「っ、と、捕らえろ!!ヤツが親玉だ!!」
警察か、ギルドの魔法士か。誰かの号令で場が動く。
しかし、忘れてはいないか。
この男は、こんな男だが、迅雷と千影を圧倒して拘束を振りほどき、ここまで独力で脱出してきたのだという、事実を。
○
俺は『特別』だ。
俺こそが『特別』なのだ。
オドノイドなんかより、圧倒的に、俺の方が。
○
「・・・・・・、面白ェのが漂ってるじゃねェか」
レダウは、怒鳴り散らしていたのから一転して、不気味に歯茎を見せて嗤った。
「『リコレクション』」
詠唱の直後、レダウに刃向かう全ての魔法士が地に伏した。
重力魔法。
真牙はなにもしていない。
この場に他の使い手はいない。
必然、レダウの所業となる。
だが、レダウはさっき雷魔法を使っていたはずだ。
ありえない。炎魔法でも、水魔法でも、他の組み合わせなら全くあり得ないとまでは言わない。
でも、重力魔法だけはあり得ないのだ。
だって、重力魔法は、ふつうの紫色魔力持ちなら誰でも使える代わりに、一度使ったらそれ以外使えなくなる、極めて特殊な性質の魔法なのだ。
「じゃァな、凡人ども。次こそ必ず殺すぜオドノイド。首洗って待ってな!!」
レダウが腕を振るうと、今度は大爆発を起こり、レダウ自身を上空へ吹き飛ばした。
なんでもアリかよ、なんて嘆いちゃいられない。
「次なんか、あるかよ・・・!!」
重力魔法は厄介だが、真牙のものと比べれば幾らか軽い。迅雷は全身に強力な『マジックブースト』を行い、骨や腱を軋ませながら無理矢理立ち上がる。
直華を恐がらせた落とし前だってまだなのだ。誰がこのまま逃がすって?
「千影!!」
「だい、じょぶ・・・!!」
千影の能力は高速移動だ。
しかし、その本質は、速さには、ない。
千影自身も、その性質は何千回、何万回と自身の肉体で実験を繰り返す中で十分に理解している。
すなわち、加速度の任意決定。
あらゆる力学方程式の呪縛から、千影だけが解き放たれている。
重力の正体は、物体に作用する重力加速度そのものだ。
重力魔法の原理は千影も知らないが、少なくとも彼女には、ただ本来より大きな重力加速度が発生している程度のことでしかない。
千影が念じれば、ルールはたちまち上書きされる。
地球中心に向けて発生している+3G。
ー500Gに変更。
高重力を無視して、千影は普段通り、爆発の衝撃波を追い越し飛翔する。
上空に出ると、体が軽い。
重力魔法の影響圏を出た。
地上400m。
爆走するレダウの正面に躍り出る千影。
眼光が交差する。
だが、手を下すのは千影じゃない。
さっきは一発入れたが、あれでも千影の体じゃ軽いのだ。
だから、代わる。
『トラスト』によりノータイムの位置交換。
太陽が暗転するほどの極光が、レダウの鼻先に現れる。
刀身に湛えられた雷光が地表に焼き付く影を回す。
もう、振り下ろすさなかであった。
―――雷』!!」
「『リコレクション』!!」
迅雷の眼前にいたレダウが消失した。
いや、違う。
(なん・・・これ、『トラスト』・・・!?)
背中に足が着く。
千影の靴の大きさじゃない。
レダウだ。
意味が分からない。
「へっ・・・サヨナラっつったらサヨナラなのさァ、クソガキ!!『リコレクション』!!」
迅雷の背を蹴ったレダウが超音速で飛び出した。
「あ"あッ!!」
まだだ。
迅雷は蹴られた勢いそのまま空中で一回転して背後に『駆雷』を撃つ。
しかし、まずもって無茶なアドリブだ。狙いなんてろくすっぽ定まらない。
亜光速の斬撃は、そのまま雲を裂いて明後日の方角へと飛んで行く。
彼方へ、点と消えゆくレダウの背中。
追うか?
追えるか追えないかで言えば、追える。
いくらなんでも千影より速いはずはない。
地上に目をやった迅雷は、手でバッテンを作って首を振る煌熾と目が合った。
レダウの手の内が分からない。
深追いは禁物。
「・・・くそっ」
○
校舎内で捕縛された『BLEACH』の構成員たちも、外へ連れ出され、護送車に詰め込まれていく。
レダウという男を含め、数名には逃げられたようだが、それでも一央市立第一中学校を襲撃したメンバーの8割、9割は捕らえたことになる。
リーダーを取り逃した点は痛いが、それでも『BLEACH』にかなりの大打撃を与えたことは間違いない。レダウはあのような捨て台詞を残していったものの、今回ほどの大規模な犯行計画を実行するだけの組織力は失ったと見て良いだろう。
ただ、中学校も今日はひとまず臨時休校とするようだ。テロリストは排除出来たが、校内に爆弾などの危険物が残っている可能性があるため、安全を確保出来るまでは休みになる。もちろん、在校生はこの時点で即帰宅だが、さすがに理由が理由なのでラッキーがる者はいない。
「お兄ちゃん!!」
「あぁ~、な、ナオぉ~!!大丈夫か?どこか痛いとこない血とか出てないヘンなことされてないイヤらしい目で見られたりしてない!?」
「ぶ・・・ぶじ、でず・・・ぐる"じい"・・・」
「本当に!?怪我隠したりしてない!?」
「ふゃぁぁ!?」
迅雷は、校舎から出てきた直華を全力で抱き締めた後、念のため全身くまなくボディチェック(触診)してあげたら、照れた直華に愛の膝蹴りを叩き込まれた。ちょうどしゃがんでふともものチェックをしていたので、顎に直撃。レダウの攻撃より効いたかも。
「ぶご・・・っ。げ、げんきそうでよかった・・・」
「あ、う、えっと、ここまでする気はなくて・・・え、ご、ごめんなさい・・・」
「いや、直華ちゃんが謝ることないでしょ。いまのはどう考えても迅雷が悪い。どうする?もう1発いっとく?」
「ナオの膝なら目に入れても痛くない・・・ごふっ」
さすが、直華が絡むと真牙の挑発も意味がない。シスコンに付き合ってはいられないので、迅雷がうずくまっているうちに、真牙は直華にクラス点呼の方に合流するよう言って、送り出した。
「あ、で、でも!助けに来てくれて、ありがとう。お兄ちゃん!みなさんも、ありがとうございました!!」
「ええ子や・・・」
「そうだな。一番恐い思いをしたはずなのに。本当に神代と血が繋がっているのか?」
「やめてよムラコシ、そんな後付け設定が生えてきたらボクがフラれかねないでしょ!!」
「あは~・・・・・・本当になおちゃんと結婚するとか言い出すかも・・・・・・出すなぁ・・・ねー・・・?」
「え?あー、うん」
急に慈音に話を振られ、雪姫は適当に頷いた。が。
(・・・妹が可愛いのって普通なのでは???)
―――さて。
中学生たちは、激戦で荒廃した校庭に、未だ消えない恐怖の反動も相俟って興奮した様子だ。際立って大暴れしていた迅雷に関してはかなりの注目を集めている。去年のOBということもあって、まだ顔が知られていることもあるだろう。
「(真牙。3年生の数、少なくね?この時期なんかあったか?)」
「(いや?インフルとかじゃね?)」
「(ほーん・・・まぁその辺が妥当か)」
「(ハムちゃん?)」
「(んー)」
「なにヒソヒソ話してるのさ」
「千影の勝ちって話」
「ぷう」
迅雷と真牙が、校庭にクラスごとで並んで点呼を行う後輩たちを観察していると、耳敏い千影が間から首を突っ込んできたので、2人でそのほっぺたを両側からつついてやった。
迅雷のことならなんでも知りたいお年頃。はぐらさかれた千影が不服そうに頬を膨らませて対抗するが、そんなの触ってくれと言っているようなものである。
すっかり和んでいると、校内に取り残されている生徒がいないか巡回していた教員たちも、一巡し終えたのか校庭に出てきた。そちらの教員たちはクラス点呼の仕事もないため、いまは校庭や校舎の惨状を眺めて舌を巻いていた。
モンスター被害の多い一央市の建築物は全て、法律や条例による規制の下で他の地域の建物より格段に頑丈に作られている。だから、人災でここまで壊れると、修繕の労力を想像してゲンナリするより先に感心すらしてしまう。これ、ウチの卒業生の作品なんですよ、的な。
半年ちょっとのうちに見違えるほど成長した教え子たちの姿を見つけ、手空きの教員たちがそれぞれの感慨や思いを伝えに集まってくる。
「ひさしぶりだな。噂は聞いてたが、これまた・・・」
「阿本と東雲さんも、ひとまず無事みたいで良かった」
「なんか、卒業して手は離れたとはいえ、教え子に守ってもらうって思ったより情けないっていうかなんというかだなあ」
「いやそこは成長を喜ぶべきでしょうよ」
「ごぼっ」
「ですね。来てくれて本当にありがとう」
???
赤い噴水が迅雷と真牙を染めていた。
2人の間から出てきたコンバットナイフ。
2人は痛くも痒くもない。
千影は、自分の薄い胸を見下ろす。
背後から、心臓を一突きだった。
(なんで?誰?)
振り返る。
知らないおじさん。
その格好、中学校の先生?
心臓は良くない。
目が霞む。
頭もぼやける。
「ちかっ―――
やにわに起こった惨劇だった。
「すまない、死んでくれ!!」
誰かが気付いて悲鳴を上げる前に、千影を刺した教諭はナイフをグッと押し下げる。
迅雷が手を伸ばすより早く。
ぶちぶちと。
別の臓腑も裂けて噴く血が勢いを増す。
だが。
凶刃が千影の胴を股まで裂くことはなかった。
「目からビーム!!カシラ!!」
分かる者にとってはいやに聞き覚えのある、マヌケな声があった。
人々の隙間を縫って一直線に殺到した高圧水流が、中学校教諭を100m先まで押し流したのだ。
水源を探して、迅雷は顔を跳ね上げる。
中学校の、校舎屋上。
深青色のくせっ毛と、小麦色の肌、鈍色の瞳。
ここにいるはずのない少女が、両手を腰に当ててふんぞり返っていた。
目の疑いを晴らすには、名を呼ばずにはいられなかった。
「ネビア・・・!?」
「やっほう。助けに来てやったぜ☆カシラ」
○
まさか、中学校の教員にまで『BLEACH』の刺客が紛れ込んでいたなんて。
誰もが衝撃を受けずにはいられなかった一方で、『BLEACH』の思想に共感しさえすれば誰であろうと、持ち場立場関係なくテロに加担しうるのだという周知の事実を突き付けられた。
後の取り調べで分かることだが、今回の中学校襲撃自体、内部の人間だった教諭が手引きしたものだったそうだ。その教諭は、迅雷や真牙、慈音もよく知る、一央市立第一中学校の教頭だった。
殺人的な威力の水鉄砲を頭部に受けた教頭は完全に意識を失っており、その場では誰も、彼がなにを考えてこんな凶行に及んだのか問い質すことさえ出来なかった。ただ、漠然と、裏切られた事実への当惑だけが満ちていた。
「とう!」と相変わらず緊張感のない掛け声と共に屋上から飛び降りたネビア・アネガメントは、華麗に着地すると、小走りで校庭の方へとやって来た。
這いつくばって、胸を押さえた両手の指の隙間からビチャビチャと血を地面に呑ませる千影の顔を覗き込み、ネビアはホッと胸を撫で下ろす。
「間一髪だったわね!カシラ!」
「いや・・・ごぼっ。思い・・・ゲホッ、きり、さ、刺されてるごふっ、んですけ、ど・・・???」
「なによ。そんくらいで死にゃあしないでしょ、カシラ」
確かに心臓を潰されたくらいなら治る。治るけど、ネビアのニヤニヤが腹立つ。アレか。この前、ダンジョンで襲われたときにウンコ食わせたことまだ根に持ってるのか?とんだ逆恨みだ。
「千影、それホントに治んの?」
念押しするように質問する雪姫も顔色が悪い。オドノイドじゃなかったら間違いなく死んでいる傷だ。目撃した中学生の中にもショックで失神する子たちがいたため、いまは野球部のバックネットにブルーシートをかけた応急的な衝立でみんなの目から隠している状況だった。
ただ、雪姫の問い掛けは、千影は頷いて返した。
「だってさ」
そんな雪姫の手には、迅雷が首根っこ掴んで捕らえられていた。
この調子で解き放ったら、今度は迅雷が教頭の心臓を抉り出しかねないと思って、先に手を打っておいたのだ。
気持ちは分かるが、人殺しはダメだ。例え自らの学校の子供たちを平気で人質に取ってまで一人の少女の命を狙うようなクズであっても、その命を奪おうとする行為だけは、雪姫は見逃せない。
「フーッ、フーッ・・・」
「とっしー・・・大丈夫だから・・・」
「大丈夫じゃねぇよ・・・治る治らないじゃねぇって言ってんじゃん・・・。くそ・・・・・・ごめん、ちくしょぉ・・・」
迅雷は、千影が差し延べた血塗れの手を握り返して謝った。謝ることなんてなにもない、とみんな言うだろうけれど、謝った。直華を守ることが出来て油断したのだ。千影のことも自分のことも守り切って初めてハッピーエンドなのに。
「迅雷も狙われてたんでしょ?カシラ。刺されたのが迅雷じゃなかっただけ本当に良かったわよ、カシラ」
ネビアも、そこは茶化していなかった。ネビアに背中をさすられた迅雷も、少しずつ落ち着きを取り戻しているようだ。
さて、思わぬ波乱はあったが、死者数ゼロなら上々だ。最初の犯行声明の前にレダウに斬られて重傷を負った中学校教員も、救助隊として駆け付けたマンティオ学園の一ノ瀬由良養護教諭が処置して一命を取り留めたそうだ。
じきに一央市ギルドもマンティオ学園も引き上げ始める。千影はいったん病院送りだろうが、それも含めてこの場はいったんお開きだ。
そうなる前に、確かめるべきことがある。
雪姫は、改めて、ネビアと面と向かった。
「・・・えっと。なんでアンタがここにいんの?」
「待ってましたその質問!カシラ!」
そう言って、ネビアは羽織っていたダッフルコートの前を開けて、その下に着用したベージュのジャケットとチェックのスカート―――すなわち制服を見せびらかした。
「じゃーん。このたび、私ことネビア・アネガメントは、マンティオ学園に復学いたします。カシラ」
Switch版のファイアレッド買っちゃった。子供の頃、人生で初めて買ってもらったゲームでして。当時はRPGのいろはも分からず本当に冒険していたものですが、いま遊び直してみたら育成が楽しいの、記憶より案外マップが狭くてなんだか故郷に帰って来たような気分になるの、なんの。のめり込みすぎて生活に支障を来しています。俺のことも助けてネビアちゃん。・・・え?本当にウンコ食わせたこと根に持ってる?




