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13話-幽霊船-

 港街の近くである噂が広まった。

飛竜の領域からでた西側で最近『幽霊船』がでるらしいと。

 商人達は揃って「何をバカな話だ」と笑いの種にしていたが、海賊たちにしてみればは笑えない話だった。

 なぜなら日が落ち、夜が支配したその海で何隻もの海賊船が忽然と消えていたのだったから。



****



 夜中、月明かりに照らされた海面に船が映った。

 マストの上で壊れた望遠鏡を覗いていた骸骨の船員が、下にむけて消え入るような青い光を放つランタンをむけて揺らす。

 蒼髪の少女がそれを見て骸骨船員にお礼がわりに手を軽く振り、船室に入った。


「海賊船が居たみたい?」


 ほの暗い船室の中で船長の淡い瞳が光る。

 背格好からその男が船長なのはわかる。

が、見知らぬ他人がみたら皆口を揃えていうだろう。


 幽霊船長ってな……。

 もしくは骸骨船長ってな……。

 ボロクソのコルセアコートにドクロの帽子

 船長の顔は完全に皮膚がなく骨だった。


「ワカッタ……。つか、意外とルーは肝が座ってるよな?

 俺は自分が骸骨で内心焦りたい。心は無駄に穏やかだけどな」


 愚痴なのか小言なのか俺から重低音な声が発した。

 海賊王にして、アンデット。

 もはや、その辺の魔物よりも不味い奴が今の俺『ヴァルラモース』だった。

 しかし、そんな俺を興味本位で怖がりもせず、ルーは夜中だというのに楽しそうに手短にあった椅子に座る。


「悪い商人に誑かされて、何日も帰らなかったり……。

 夜な夜な海賊退治に参加したり……親が悲しむぞ?」


「そう? でも、あなたが手札をきって私がレイズしただけよ?」


「それは俺の秘密を聞いて、『面白いから賭けに乗った』的な何かナンダろうな?

 まあ、こっちにしてみれば助かるが……」


「あと両親なら大丈夫よ?

 ヴァルガスに会いに行くって言ってあるし?

 お世話もしてるっていってあるし?」


 本当に? つか問題あったら俺のせいになるのか?

 あたまいたいなあー。

 しかも世話されてるほうかよ!

 どうなってんだよ!

 どうでもいいけど、ヴァルガスの信用度なんてあってないようなもんだろうに……。

 今日はこのあと帰らせるか。


 妙な信頼関係に、俺はため息をついた。

 肺なんてないから、空気なんて出ないけどな。



****



 話をかなり戻す。

 あの後、ルーには俺がよくわからない世界に飛ばされた事をわかりやすく説明してみた。


 ただ無意識でも、勝手に交渉スキルが発動したり。

 詐術スキルが発動したりで、ルーが勝手に納得したりと混乱もあったので、一端話すのをやめてから手短にあった紙とペンで会話をした。


 俺の文字が読めるか不安だったがそこは問題なかった。

 とりあえず勝手にスキルが発動するのはやめてほしいと、手紙のやりとりをした後にそう思った。


 俺の話を聞いて……。いや、この場合、筆談を見てか?

 ルーは真意を掴むために何度も表情をコロコロと変えた。


 多分、ルー自身のスキルの関係だと思うが……。

 こういう時はゲームと同じでスキルを使ったら効果音をならしてほしい。わりと切実に。


 話が終わるとルーはためしにキャラクターチェンジをしてみて欲しいと言った。

 そこで俺は了承しつつも深海冒険家<ス・ムーク>にチェンジしようとしたら、突然頭の中で……。


『範囲内にNPCがいるため不可能です』


 と言われてしまった。

 これには俺も驚いた。

 NPCって、ルーの事なのだろうが、この世界がゲームなのかというと違うように思えるのだが……。

 しかし、その事から思うに捕まったりして俺が監視されていれば、気軽にチェンジはできないということになるな? 気をつけておこう。


 つか、これってプレイヤーがもしも存在したらそれについても警告されるのか?

 ………居て欲しいが、居て欲しくもないとも思うな。

 プレイヤーvsプレイヤー、所謂PvPなんてはじまったら勝てる自身ないぞ!

 つか、殺し合いとかやめてくれよな!


 とにかくだ。

 ルーにはチェンジについて制約があると説明して一端船室から出てもらい、もう一度チャレンジしてみた。

 もちろんス・ムークの姿で。

 姿が変わるのを確認してから、ルーに声をかけて再度船内に入った時、彼女は少し驚いた。


 そして話し合った結果。

 簡単に資金を集めるなら、海賊狩りが良いといわれて、こんどは俺が少なからずビビった。

 ルーのお嬢さんは過激な方が好きらしい。


『そんなのおっさんとしては許しませんよ!!!』と言いたかったが……。

<ス・ムーク>の姿だとやつ自信が過激派なのでニヤリと笑って二つ返事で了承してしまう。


「良いだろう!」


「こっちの方が頼もしそうね?」


 うっさいわ!

 しかし、そうなると船が小さいといろいろと困る。

 いや、<ス・ムーク>なら船いらずだけど……。

 そこで俺は幽霊船長の事を思いだしチェンジしてみる事にした。


 もう一度ルーに退席してもらい、キャラクターチェンジを実行。

 骸骨の体になると焦りも生まれたが、すぐさま冷静になった。

 アンデットだからなのか?

 まあ、考えても仕方がないか。

 ちょっとした賢者気分だ。

 ナニガとはいわないが……。


 そしてルーにもう一度部屋に入ってもらうと、少女の目が泳いでた。

 大丈夫か? 俺は大丈夫だ。多分。

 そして外に出ようとして止められた。

 理由を聞くと、そのまま船を出るとただのアンデットが出歩く形になるので、さすがにそれは不味いと指摘された。そりゃそうだ。


 オッサンだってそんなん……。し、知ってたわ!!

 でもな、ゲームだと警告されたがこっちではそれがなかったんだよ!!!

 という突っ込みを入れたかった。やっぱりゲームではないよな……。


 ……話がそれた。

 とりあえず、ヴァルガスに戻り、港を一旦出て。

 ルーの家近くでチェンジをした。


 んで、なんで幽霊船長かというと、こいつのスキルには幽霊船の召喚がある。

 しかも大きさだけならガレオン級で、こいつにはステルス機能が備わっている。

 近づいて接触でもされない限り、目撃もされないヤバイ船だ。

 ただ、船のいたるところに穴があって、沈没寸前の船に見えるのが悲しいところだ。

 船倉とかの船内は、普通の船なんだが……。

まあゲームでも変なところで同じデータを使い回していたから仕方がない。

ルーは童心に返ったように幽霊船を探索して、我に返ったのか「……なかなかいい船ね」と満足げだった。


 しかし船があっても動かす船員は必要だ。

 それについて尋ねられたがそこも抜かりなかった。

 幽霊船の召喚があるなら何となくわかると思うが……。

 そう、『幽霊船員』の召喚だ。

 ゲームだと一度に召喚できるのは百人単位だったが、ここでも同じだった。

 ただ、少女に配慮してなかったせいか大量に召喚されたアンデット達をみてルーは気絶してしまった。

 まあ、普通はそうなるか。


 そんな、こんなの話があって、今があるというわけだ。

 島から西に出て遠海にでれば海賊もそこそこいるし、海軍もたまには見かけるが、海賊のほうが多かった。この辺はゲームと同じだな。

 つか、海賊が多すぎだな。


 商船はどうやってこれらの海賊共を回避して交易をしているんだ?

 と疑問が生まれたわけだが、それは、それとしてしっかりしていた。


 商船はゲームみたいに一隻や二隻で航行するわけでもなく、しっかり海軍の船と武装船を多数引き連れて航海をしているようだ。それにまじって小さな船もチラホラとみえた。

 確かに、魔物とかもでるわけだから、船団で航海しないと厳しいものな。


 幽霊船の姿を隠しながら、船団の安全を願いつつ俺達は見送る。

 彼らは西側に移動してることから、きっと外洋にでるんだろうな。

 俺も慣れてきたから、そちらにも行きたいものだ。


****


 ちょっと島から離れた場所で俺達は海賊を探した。

 昼では襲うこともないが、夜になれば話は別だ。

 何せこっちは幽霊船だ。相手も結構ビビッてくれる。

 俺達は太陽が沈むのを待って、怪しい船に近づいて、海賊と分かれば拿捕し、潰していった。


 勿論、話の分かる海賊には優しい俺達だ。

 そいつらには金銭だけ巻き上げて、海がいかに怖いところかを頭に叩き込んで離している。

 分かり合えない海賊には砲弾を浴びせている。

 別に海賊を沈めても俺達は困らないからな?

 また、別の海賊を探せば良いだけだ。

 これで、ここ一帯が安全圏になってくれれば御の字なんだが。


「バルガス話きいてる?」


 おっと、考えすぎてたせいかお嬢さんさんがご立腹だ。

 船が見つかったんだったな。


「ちょっと意識を離してた。大丈夫だ聞いてる。

 あと、ヴァルガスな。それに今の俺はヴァルガスじゃない。

 今の俺はヴァルラモースだ」


「そっか……なんかそういうのめんどうよね」


「おい、本人の前でそう言うナ!」


 俺は立ち上がり船長室を出る。

 船室を出ると、配下の骸骨達が慌ただしく働き出す。

 畳んでいた帆を張り直し、大砲を準備しながら海賊船に向けて速度をあげる。

 砲弾は一発で十分、まずは威嚇だ。


「せーーんーちょーーー! 敵がいやしたぜぇ!」


「海賊どもメー! 戦の準備じゃあああ!」


「船長ー! 今度は全員叩っ切ってもいいですかねぇ!」


「俺の大砲がうなるぜえええ!」


 こいつら、動きがいいのは分かるが、完全に俺を無視してるよな……。

 船長の許可もとってもないのに勝手に移動はするし、すーぐ白兵戦準備してやがる。


「「「船長!!!」」」


「五月蝿ぇぞ野郎共! やることはいつも同じダ!」


 俺の言葉に骨共が静かになる。

 そして船長が命令を出す。


「威嚇砲撃ヨーイ! 白兵戦はその後だ!

 なめてきたらぶっ潰せ!」


「「「アイアイサー!」」」


 船員達の目が赤く光る姿にルーは顔を引きつらせた。


「さあてOHANASIの時間ダナ!」


 海賊王になったせいか、俺の心は健やかに晴れていた。

 んーーーむ。しかし、これ稼ぎはいいけどさー。

 商人プレイじゃないから、やっぱり駄目かもわからんね!

 



交通事故にあったり、そのあと自転車事故にあったり、色々と病院三昧だったり、色々病気でてきたりしてますが、どうにか生きてます。が、いつもどおり忙しい自分でs。 ど素人作品ですが、暇つぶしになってもらえれば幸いです。また、続きですが今回のは溜まってた部分を一部だしなので、気が向いたらまたですいません。。。。自分もこんな作品が読みたい勢ではありまs

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