第二十七話 古豪・明利大との勝負!
圧巻の走りであった。
残り三キロでスパートをしかけた家村は、
三位の明利大学をとらえて、
そのまま抜き去った!
これで、城西拓翼大学は、
往路で単独三位となる。
しかし、戦前から箱根駅伝に
出場している古豪・明利大学も
そう易々とジョーダイを
逃すことはしない。
すぐさま、ジョーダイ家村の
後方につき、したたかに
逆転のチャンスを狙っていた。
第二十七話 古豪・明利大との勝負!
数年前まで、明利大学は
古豪と呼ばれていた。
しかし、近年、有能な指導者の招聘や
スカウト、駅伝で勝つための環境を
整備し、箱根駅伝の上位校に
名を連ねるようになる。
また、選手たちにも、
「これ以上、古豪と呼ばせるものか!」
と言う強い覚悟が見られるようになり、
今後、さらなる躍進が期待されていた。
それゆえに、
格下と思っていた城西拓翼大学に
負けることはプライドが許さない。
(箱根に参戦して十年足らずの
チームなんかに負けたら、
仲間に顔向けできねーんだよ!)
ラスト一キロ!
明利大学のランナーも覚悟を決めた!
一気にスパートをかけて、
ジョーダイ家村の前に出ようとする。
しかし、家村も譲らない!
(てめーらに…俺たちの去年の悔しさが
分かってたまるかよ!)
古豪と新興校、ともに意地と意地の
ぶつかり合いであった。
最終的に、家村が二秒差で明政大学より
先に五区の郡司に襷を渡すことに成功!
その激しい接戦を見た観客は、
精一杯走り切った二人に
惜しみない拍手を送る。
一方、走り終えた二人は、
決して目を合わせることなく、
終始無言のまま、
選手控え室に向かっていった。
しかし、控え室に向かう途中、
隣に、先ほどまで
競い合った相手が並んでことに
二人は気づく。
そこには何一つ会話はなかったが、
二人は、まるで戦友のように、
そして、互いの健闘を讃えるように
固くアツい握手をくみ交わした。




