第二十二話 地元からの大応援!
「みんな…元気かな…。
テレビで応援してくれてるのかな。」
竹村と並走しながら、
オツオリは、大学近くにある
商店街の皆さんの事を思い浮かべていた。
メディアに山梨国際大学が
叩かれていた時も、
地元商店街の住民は、
いつも陸上部のことを
気にかけてくれていたからだ。
「ゼッタイに箱根駅伝で勝つ!
商店街のみんなのためにも
負けられない!!」
オツオリのハートは、
沿道からの野次など
とうに、はねのけていた。
第二十二話 地元からの大応援!
二区はいよいよ終盤。
権田坂を攻略した
城西拓翼大学の竹村と
山梨国際大学のオツオリは、
終盤の難所である急坂、
戸塚の壁に挑んでいた。
あいかわらず、
オツオリへの野次は止まらないが、
二人は快調にペースを上げていく。
しばらく並走を続けていた二人だが、
坂の中腹で竹村がついに勝負を仕掛けた。
しかし、そう簡単に引き離されるほど、
オツオリは甘い相手ではない。
徐々に竹村との距離を詰めていく。
「竹村がんばれー!」
「後ろからきてるぞー!」
しかし、沿道の声援は、あいかわらず
竹村ばかりに向けられる。
竹村がさらにスピードをあげようとした
その時だった!
前方の沿道に山梨国際大学の
たくさんの幟を持った
大応援団が見えた。
明らかにそのエリアだけ
人が二重三重になっており、
否が応でも人目を引いている!
実は、オツオリは、
来日して間もない頃から
どんなに練習がキツくても、
地元の人々とのふれあいを
常に大切にしていた。
辛いことがあっても、陽気に振る舞う彼は、
いつでも地元の人気者であった。
そんなオツオリが最後の箱根駅伝になるから、
みんなで応援に行こうと
地元の商店街の皆さんが
大学には内緒でバスをチャーターし、
現地に駆けつけていたのだ!
「こんなデカい規模の応援団見た事ねぇ!」
竹村も驚かずにはいられない。
しかし、もっと驚いていたのは、
オツオリである!
目をまんまるくし、大きく口を開けて
沿道を見る。
「なんで!?どうして!?
あの日リンゴを差し入れしてくれた
おばあちゃん!
いつもみんなで行く銭湯の
おじちゃんとおばちゃん!
ロード練習の時に、
いつも、幼稚園の二階から
大声で応援してくれていた
子ども達とイクヨ先生!
辛い時にいつも励ましてくれた
商店街の会長さん!
みんな、来てる!!」
子ども達が手に持った長い垂れ幕には、
「山梨の誇り!ジョン・イセナ・オツオリ!!」
と書かれていた。
「それじゃ、みんないーい?
せーのっ」
「オツオリ選手!頑張ってーーー!!」
イクヨ先生の合図で
子ども達が笑顔で声援を送った!
オツオリが大きなガッツポーズで
これに応える!
オツオリの表情に
いつもの明るさが戻っていた!
続いて、後方の山梨国際大学の
監督車にのる植木監督も、マイクをとり、
「山梨のみなさん!
オツオリに大きなご声援、
本当にありがとうございます!!」
と涙声でお礼を言う。
(さあ、竹村!
ラスト、一キロ。勝負だ!)
(望むところよ!オツオリ!!)
二人は最後の力を振り絞り、
同時にスパートを仕掛けた!




