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第二十一話 オツオリの異変!

最初に異変を察知したは、

オツオリと並走をしている

城西拓翼大学の竹村であった。


普段は無神経で鈍感な男なのだが、


走ることに関しては、

誰よりも冷静に状況を

判断することに長けている。


(明らかに、オツオリのスピードに

いつもの伸びがない。

調整不足?まさか、怪我か!?)


オツオリの表情を確認する。


しかし、痛みを我慢している様子はない、

また、脱水症状の前触れのように、

汗の量が激しいわけでもなかった。


ただ、竹村はオツオリに

どこか心ここに在らずといった、

レースに集中できていない印象を

感じずにはいられなかった。



第二十一話 オツオリの異変!



箱根駅伝の二区は、毎年、

各大学の看板選手が多く集うことから、

エース区間と呼ばれている。


それにより、トップ選手による

ハイレベルな名勝負が

繰り広げられた歴史もあることから、


沿道の観客からの人気も熱く、

地鳴りのような歓声がコースに

響き渡る。


しかし、今大会において、


その観客たちが、

すべての選手に暖かなエールを

送ってくれるわけではなかった。


二年前のマスコミの報道により、

アンチファンが急増した

山梨国際大学への世間の目は、

今だに冷ややかであったからだ。


オツオリと競り合うジョーダイの竹村には、

大きな声援が送られているが、


一方で、山梨国際大学のオツオリには、

一切の声援はない。

たまに投げかけられるものと言えば、

当事者でなくとも

聞くに耐えない野次ばかりである。


オツオリも来日四年目となると、

日常会話に支障がないくらい

日本語コトバの意味を理解している。


その反面、

いや、それゆえに、これらの野次が

元々優しい性格である彼の心を

深く傷つけていた。


竹村もまた、

観客が、自分をヒーローのように持ち上げ、

ライバルのオツオリをまるでヒール役のように

貶めている現状に、強いやりきれなさを

感じずにはいられなかった。


(俺はこんな不公平な環境で

オツオリと勝負したかったわけじゃない!)


ついに、竹村がオツオリの前に出る。


後ろを振り向き、

前方の早稲田学院大学ワセガク

指差して声を掛けた!


「ついてこいッ!!」


オツオリが「ハッ」と我にかえる。

突然の出来事に返事をすることを忘れた。


しかし、ランナーとしての本能なのだろうか。


これ以上、多く言葉を交わさなくても、

「お互いに何を感じ、何を伝えたいのか。」を

自然と理解することができていた。


トップを追う二人は、

まるでチームメートの様に

再び並走する。


オツオリの存在が竹村に

揺るがない闘志を、

竹村の存在がオツオリに

悲しみを打ち破る勇気を与えていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] オツオリとタケムラのやり取り! [気になる点] グンジタイガとオツオリはどこかで会ったり、一緒に走った事はあるのか。 [一言] オツオリとタケムラは早稲田にどこまで迫る事ができるのか!
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