第十話 諸星の背中!
夏合宿終盤。
レンとシュウの復活にともない、
箱根駅伝予選会へのメンバー争いも
激しく、そして熱くなっていた。
合宿中、
「竹村、郡司のアイスキャンディー
勝手に食べた事件」
「竹村、家村のゲームのセーブデータを
うっかり削除した事件」
「竹村、風呂場でこむら返りを起こし、
溺れかける事件(天罰事件)」
などがあったが、
無事に全員が合宿を乗り越えることができた。
そして、城西拓翼大学は、
箱根駅伝予選会を向かえることとなった。
第九話 諸星の背中!
箱根駅伝予選会当日。
城西拓翼大学陣営。
「それじゃあ、もう一度作戦の確認をする!」
レースの時だけは、真剣な顔をしている
竹村が声かけをする。
「オレと郡司、家村が、フリーで走って
タイムを稼ぐ!
他のメンバーは、ペースメーカーの諸星に
引っ張ってもらって、ラスト三キロで
スパートをかけよう!
あの日届かなかった一秒を
超えるためにこれだけ走ってきたんだ!
絶対に大手町に行くぞ!!」
大手町とは、箱根駅伝本戦の
スタート地点でありゴール地点の
ことである。
また、本戦に出場するランナーは、
「大手町で会おう!」
と言う合言葉をよく使う。
誰が最初に言いだしたかは定かではないが、
仲間の好走とその無事を願う想いが
この「大手町」と言う言葉に
詰め込まれているのだ。
一方、ペースメーカーを任された諸星大吾は、
昨年に亡くなった父親の言葉を思い出していた。
(いいか!大吾。
どんな男にも一生で三度、
自分の全てを賭けて勝負しなければ
いけない時があるんだぞ!)
諸星は、天国にいる父親に応えるように
空を仰いだ。
「そうだよな!それが『今』だって
ことだよな!!
父さん!!見ててくれ!!」
大学生活ラストランを向かえ、
覚悟を決めた諸星。
後輩である蒼太たちには、
彼の背中は、とても大きく、
そして勇敢に見えていた。




