閑話10
両思いになったあの日から、ほとんど毎日一緒にお風呂に入ったり、婦婦の営みをするようになった。
そのおかげで、前よりもっと親密になれた。
デートや旅行は、雪が卒業してから行く事になった。
話し合った結果そうなった。
万が一の事を考えると、その方がいいという事になったからだ。
ちなみに、雪は卒業したら専業主婦になるそうだ。
(フフフ♪帰ったら、思いっきり色々してあげよう♪)そう思いながら、ボクは今日も部室に来ている生徒の元へ向かった。
部室には、三年生の子が一人居た。
どうやら、今日は一人だけのようだ。
その子は、ボクの指輪をしばらく見てから、ボクの方を見た。
「朝倉先生、終業式の日に私の弟の想い人に偶然会いました。」
唐突に、そんな事を言われた。
「そうですか。」
「その方は、結婚しているそうですが、弟は諦めないと言って、今日告白するそうです。」
「それは…」
「愛人でもいいと言っていました。私としては、既婚者に手を出してほしくないのですが…。弟は、頑固で説得するのは無理でした。」
何故か、指輪をちらちら見ながら、まるで懺悔するかのように話している。
「弟の想い人は、弟と同じ岡山高校に通っていて、同じクラスの子だそうです。その子は、確か朝倉先生と同じ頃に結婚したらしいです。」
まさか、弟君の想い人って雪の事?
雪がボクの妻だと、確信しているからこんな話しをしているのか?
「そうなんですか。学生の内に、結婚するとは珍しいですね。」
「…その想い人の名前は、仙崎 雪さんという方です。結婚されてからは、名字が朝倉に変わったそうです。」
「………」
間違いなく雪だ。
ボクは、どうしようかと考えた。
完全にバレてる。
「朝倉先生が、雪さんの夫だったりしても、私は別にどうでもいいんです。誰にも話しません。そんな事より、弟が雪さんに迷惑をかけてしまう事の方が、私にとって重要な事ですから。朝倉先生、弟を止められなくてすみません。」
申し訳なさそうに、謝られてしまった。
誰にも言わないでくれるのはありがたいけど、これからこの子と会うのは気まずくなりそうだ。
弟君は、雪にふられるだろうね。
ボクは、雪が浮気しない誠実な人だと知っているから、慌てたりそういう心配はしていない。
でも、弟君に対してちょっとだけイラついているけどね…。




