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死を裂くデスサイス 1

 一年。



 たったの一年。



 沈希からの通信は切断され、陽は落ち辺りが暗くなってからもその言葉は悠の頭の中に重くのしかかっていた。



 きっかり一年ということは、あと三百六十五日。



 今日をほとんど終えてしまったのだから、もう後は三百六十四日といっていいだろう。



 後一年で魔物を殲滅するだけの力を手に入れ、ただでさえ強力な魔物たちの親玉を倒すということをしなければならないとは、考えるだけで気が遠くなりそうだった。



 加えて、リィンとは同盟関係を結んでいるとはいえ、たかたが新入りのために魔王軍と全力でぶつかってくれるということもないだろう。



 これはまずい。



 非常にまずい。



 悠は見えていなかったのだ。訓練を続けて自分が強くなるビジョンを。



 一騎当千を誇る自分の姿を想像できない。



 ガルダ、アルト、更に上の者、リィン達と肩を並べ、共に魔物達を駆逐する自分のビジョンを頭の中に思い浮かべることが出来ないのだ。



 結果焦りは更に加速し、止まることを知らない。



 もはやリィンを頼ることは出来ない。



 ガルダの悠長な育成計画にも付き合ってはいられない。



 しかし、今の自分は戦力的に子供にも劣る。

 八方塞りだった。





 今から家に帰る気にはなれず、悠は一人は噴水の前で佇んでいた。



 硬い石に腰を下ろし、苛立ちを露わにする。



 なにか打開策はないのだろうか。



 通信が終わる寸前に尋ねたことだが、追加の装備を送る事は不可能らしい。



 追加の装備を送り込むということは、もう一度クラックを開くということ。即ち、未曾有の大被害をもう一度起こすということになる。



 加えて、現在元の世界に残っているのも、沈希が使うプロトタイプのみ。



 それを送り込んでは今度は元の世界の防衛が困難になる。



 何から何までが最悪な方向に向かっていることは目に見えて明らかだった。



 食事はおろか、水分すら喉を通らない。



 それほど悠は焦っていた。



 焦っても状況が好転しないことはわかっていたが、逸る気持ちを抑えきれない。



「待て待て!落ち着け……!思考の放棄は諦めと同義だ。考えるのをやめるのは、やるべきことを決めてからだ」



 悠は一瞬でも弱気になった自分を叱責し、状況を整理した。



 とはいってもこの状況でやることなど限られているのだが。



 まずはデッドノートの各種装備の捜索である。

 そこから始めなければ何もかもが時を進めない。



 暗くなるのは後回しにしてまずは行動あるのみだ、と悠は立ち上がり、街の中を捜索してみることに決めた。



 もしかすると、誰かが何かを知っているかもしれない。聞き込みである。



 悠は辺りを見回した。人通りは驚くほど少ない。



 それもそのはずで、この世界には闇を照らす文明の利器、電灯がない。



 故に街には最小限の明かりしか点っておらず非常に暗く、従って夜街を出歩こうと思うものは少ないのだ。



 とはいえここは割と裏通り。



 表に出れば明かりが灯る酒屋は数々存在しており、そこからは活気のある楽しげな声があちらこちらから聞こえていた。



 聞き込みをするならまずそこからだな、と悠は表通りへ向けて方向転換した。

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