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展望台の視線  作者: 星狼


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2/3

風の吹くデッキ

 四十分ほどで展望台に着いた。三人が最初にデッキに立った。木製の手すりが突き出ていて、周囲の山並みが大きく開けている。遠くの峰に薄い雲がかかり、空は淡く高く広がっていた。風が静かに吹き抜ける。


 後続のメンバーたちが、息を弾ませながら次々と到着し始めたが、まだ少し間があった。


 三人は手すりの近くに並んで立っていた。陽射しが木の床に柔らかな縞模様を描き、風が頰を冷やしていく。眼下の谷は青みを帯びた緑で覆われ、遠くの稜線がぼんやりと霞んでいる。


彩花が小さく息を吐いた。


「凄いでしょ? 来てよかったでしょ?」


 彩花はそう言いながら、遥と絵奈のほうに顔を向けた。光が彼女の横顔を優しく照らしている。


 遥は彩花の目を見て、静かに微笑んだ。


「うん。彩花ちゃん、連れてきてくれてありがとうね。」


 絵奈は、眼前の山並みに視線を固定したまま、穏やかだけれどはっきりした声で言った。


「こんな綺麗な風景、見たことないよ。彩花、ありがとう。」


 三人の言葉の間を、風がゆっくりと通り過ぎていった。葉ずれの音が遠くから聞こえ、雲の影が山肌をゆっくりと移動する。空気の温度は柔らかく、どこか透明だった。


 彩花は軽く頷き、再び視線を遠くの峰へ戻した。遥も彩花の横顔を一瞬だけ見てから、同じ方向へ目をやった。

 

 やがて他のメンバーたちの声が近づいてきて、デッキが少しずつ賑やかになっていった。

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