第四章 成長 第五十三話 写真
第四章 成長 第五十三話 写真
ある村の神社にある祠に、妖の女が住んでいた。
女は、自分が誰なのか、なぜ祠に住むのかさえ思い出せなかった。
ある時、村長が祠にやってきた。
女は、一生懸命に尋ねた。
しかし、村長は、声も聞こえず、姿も見えなかった。
また、分からなかった。
妖の女は泣いた。
毎日、泣いた。
暫くして、神社の祠から泣き声がするという噂が広まった。
村人達は、神社に近寄るのが怖くなり、神社は廃れていった。
このままではいけないと思った村長は、討魔庁に連絡した。
そして、陰陽師である神代レイカが派遣された。
中学生もいたが、見習い中とのことだった。
レイカは、この村の伝説や噂を細かく聞いた。
村長が言うには、この村は、今から、五十年前に、ハンセン病が流行ったという。
そして、ある民家に住む女性が、ハンセン病になり、その村の村人全員、その家を避けるようになった。村人は誰も女に近づかず、食べ物さえ届けなくなった。
村人は女一人になった。そして孤独死を迎えた。
女は、何故、自分が、こんな酷い思いをしなければいけないのか、村を呪った。
呪いの思いは、とても強く、そのまま妖になった。そして、妖は、神社の祠にまつわれることになった。
レイカと蒼也は、その祠に向かった。
二人は、祠に近づくと、妖に気付いた。
そして、先ほど、村長から聞いた内容を説明した。
妖は、全てを思い出し、二人に、成仏させてもらえるよう頼んだ。二人は頷き、除霊の準備をした。
成仏しようと身体が光に包まれた瞬間、一枚の古びた写真が静かに地面へ落ちた。
蒼也が拾うと、昔、愛していた男の写真であると女は言った。
二人は、妖を成仏し、村長に説明した。
その写っている男は、女の婚約者だった
当時、ハンセン病の差別はひどく、二人は引き裂かれ、結ばれることはなかったと村長は説明した。
レイカは、討魔庁に事件の概要を説明し、事件を解決した。
蒼也は窓の外を見つめた。
「病気ではなく、人が人を苦しめたんだね。」
レイカは静かに頷いた。
「だから、忘れてはいけないの。」




