第四章 成長 第四十九話 貧乏神
第四章 成長 第四十九話 貧乏神
仕事を終え、家に帰宅した。
部屋に入ると、私の椅子に誰かが、座っていた。
黒い影だった。
妖と言うのだろうか...初めて見た。
冷静さを保ち、聞いてみた。
どちら様ですか?
椅子をくるっと回転させ、親指を立て、こう言った。
神です。
言葉を失った。
神って、もっと、光り輝いているものかと思っていた。
神といえば、天照大神くらいしか思い浮かばなかった。
どちらの神様ですか?尋ねた。
予想の斜め上の回答だった。
貧乏神です。
えっ!?
また、言葉を失った。
何故、貧乏神が俺の椅子に!?
取り敢えず、タバコをくわえた。
その時、百害あって一利なし!
貧乏神に叱られた。
タバコをしまった。
しかし、神様といえど、貧乏神である。
早く帰ってもらいたかった。
スマホを取り出し、陰陽師を検索した。
討魔庁の電話番号が出てきた。
オペレーターは、女性だった。
はい。
討魔庁、オペレーターセンターです。
どうされましたか?
貧乏神に聞こえるように大声で言った。
家に貧乏神がいます。どうすれば良いですか?
明日の午前でしたら、陰陽師を派遣できます。
何時頃がいいですか?
10時で、お願いします。
住所と名前と電話番号を言って、電話を切った。
翌日、陰陽師が二人やってきた。
一人は綺麗な女性と、もう一人は中学生と思われる男の子だった。
アニメのイメージと違った。
名刺交換し、陰陽師を部屋に案内した。
貧乏神が、まだ、椅子に座っていた。
男の子は、味噌と団扇を取り出した。
そして、味噌を団扇で仰ぐと、貧乏神が、その匂いについてっていた。
そして、近所の、川まで貧乏神を連れて行き、少しだけ、味噌を川に流した。
貧乏神は、川に入り、味噌と一緒に流れていった。
部屋に戻ると、男の子が、部屋呪符を張り出した。
結界です。
貧乏神が入れなくなります。
あの...何故、味噌を団扇で仰いだのですか?
貧乏神は、味噌が大好きなのです。
男の子がニヤッと笑って
「貧乏神は焼き味噌には目がないんですよ。」
だから焼き味噌を団扇で仰ぎました。
暫く、様子を見てください。
また、貧乏神があらわれたら、電話して下さい。
はい...有難うございました。
不思議な出来事だった。
数日後。
冷蔵庫の味噌だけが、なぜか毎日少しずつ減っていた。
第四十九話 了




