第四章 成長 第二十話 守るべきもの
第二十話 守るべきもの
神代蒼也は、幼い時から、妖が見えた。
妖と目が合うと、妖に襲われることもあった。
だから、下校は、いつも一人で帰ることにしていた。
今日も、一人で帰ろうとした時、蒼也君ー!
と自分の名前が呼ばれた。
一緒に帰ろう!と言われた。
蒼也が好きな楠木さやかだった。
喜んで!蒼也は言った。
楠木さやかは、妖は見えないが、気配は感じることは出来た。
さやかは言った。
今日、私の家に遊びに来ない?
いいの?蒼也は聞いた。
もちろんだよ。
さやかの家に行く途中で、蒼也は、ケーキ屋に寄った。
母の、手ぶらで、人の家に行くな。
という教育方針の賜物である。
さやかちゃんは、何がいい?
確か、イチゴのショートケーキだったよね?
うん、そうだよ。
覚えていてくれたんだー!有難う!
お父さん、お母さんは、何が好きなの?
ありがとう。
今日は、父も母もいないから、私達だけの分だけでいいよ。
さやかの家に着くと、玄関に、二体の妖が立っていた。
楠木家を守る妖の式神である。
式神は、さやかに、おかえりなさい。と挨拶をした。
さやかには、式神は見えるらしい。
家に入ると、さやかの部屋に通された。
ちょっと待っててね。今、紅茶をもってくる。
女の子の部屋に入るのは初めてであり、緊張した。
今日、遊びにきてもらった理由は玄関の式神についてなんだ。
さやかは言う。
もう、祖父が亡くなったから、式神を解放してあげたいの。
どうすれば良いかな?
基本的に、式神は、契約を結んだ人でないと開放出来ない。
今日、帰って調べてみるよ!と蒼也は言う。
ありがとうー。蒼也君。
二人は、紅茶を飲みながらケーキを食べ、楽しんだ。
楽しい時間は早く過ぎるものである。
もう、外は暗くなっていた。
今日は楽しかった。ありがとう!
私も楽しかった!また、来てね!
蒼也は、急いで帰り、父から式神の解き方を聞いた。
蒼也が柄に手を掛ける。
今までびくともしなかった草薙の剣が、
淡く光った。
カチャリ――。
鞘から数センチ抜ける。
蒼也は驚いた。
「抜ける……!」
えっ!?
蒼真と蒼也は、お互いに目を合わせた。
蒼也は、草薙の剣を手に取った。剣は、鞘から抜けた。
「お父さん、どういうこと?」
草薙の剣はな、力を誇るための剣じゃない。」
「守るための剣なんだ。」
「お前の気持ちが剣に届いたんだろうな。」
明日、楠木さんの家で試してもいいかな?蒼也は聞く。
いいよ。
心配なら、お父さんもついて行くぞ。
どうする?
自分が守りたい。
だから、ひとりでやってみたい。
分かった。やってごらん。
蒼也は、翌日、草薙の剣を持って、
楠木家に向かった。
蒼也は、式神二体に対し、
「式神よ、役目は終わった。穢れを断ち切る!」といい、
草薙の剣を振りかざした。
紙札は静かに燃えた。
「長い間、お嬢様を守らせて頂きました」
式神は深々と頭を下げ、光となって空へ消えていった。
蒼也君、凄い!凄い!有難う!
蒼也は、家に帰り、父に報告した。
また、一歩、成長したな!蒼也!
蒼也は、嬉しかった。
第二十話 了




