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第四章 成長 第二話 白い狐

第四章 成長 第二話 白い狐


蒼也は、幼い頃から、人には見えないものが見えた。




公園で遊んでいると、木の陰から覗く小鬼。




神社へ行けば、鳥居の上で昼寝をする天狗。




夜道を歩けば、電柱の上からこちらを見つめる猫又。




しかし、それらは悪い妖ではなかった。




蒼也は妖達と話し、妖達も蒼也を気に入っていた。




小学校四年生になったある日のこと。




蒼也は学校帰り、一人で近所の神社へ立ち寄った。




境内には誰もいない。




夕日が赤く差し込み、蝉の鳴き声だけが響いていた。




すると、




コン……




コン……




どこからか狐の鳴き声が聞こえた。




蒼也は辺りを見回す。




「狐?」




神社の奥にある森の中から聞こえた気がした。




蒼也は不思議に思いながら歩いて行く。




森の奥には、小さな祠があった。




その前に、一匹の白い狐が座っていた。




真っ白な毛並み。




金色の瞳。




そして、風も吹いていないのに九本の尻尾がゆっくり揺れている。




蒼也は息を飲んだ。




「九本……?」




その時だった。




白狐が口を開いた。




「やっと会えましたね」




蒼也は驚いて後ずさる。




「えっ!? しゃべった!」




白狐はクスリと笑った。




「あなたが神代蒼也ですね」




「な、なんで僕の名前を知ってるの?」




「ずっと探していましたから」




白狐はゆっくり立ち上がる。




そして蒼也を真っ直ぐ見つめた。




「私は葛の葉」




「葛の葉?」




「陰陽師・安倍晴明の母です」




蒼也は何を言われたのか分からなかった。




だが次の瞬間、白狐の表情が真剣なものへ変わる。




「時間がありません」




「封印が破られようとしています」




「九尾の狐が目覚めます」




その言葉と同時に、大地が小さく震えた。




ゴゴゴゴ……




祠の奥から黒い妖気が噴き出す。




蒼也は思わず身をすくめた。




「な、何これ……」




白狐は空を見上げた。




「始まってしまいましたか……」




そして蒼也に言った。




「蒼也」




「あなたの力が必要です」








第二話 了





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