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第四章 成長 第十五話 愛

第四章 成長 第十五話 愛


家を出る前に、蒼真は、蒼也を部屋に呼んだ。


これが、草薙の剣だ。


触ってみるかい?


うん!触ってみたい!


あれ...刀が鞘から抜けない。


お父さんに抜けて、僕に抜けない...何故だろう?


刀が認めてないんだよ。


剣は、剣の所有者を判断する。


単に、力が強い、弱いだけじゃない。


本当に剣の主人に相応しいかを判断する。


今日は、木刀で戦いなさい。


そして、戦い終わったら、また、剣に判断してもらおう。


刀が認めたら、その刀を、蒼也に譲るよ。


お父さん、ありがとう!今日、頑張るよ。


さっきも言ったけど、頑張って、強かったりしても、刀は所有者と判断しないからね。

刀を使ってもらいたいかどうかを刀が判断する。


あと、大師護の護符は持ったかい?


はい、持ちました。最後に確認だけど、勝てないと思ったら、すぐに、お父さんに言うこと。

分かったね?


はい。分かりました。


良し!じゃあ、行こうか!?


レイカは言った。


ちょと待って。はい、これ、お弁当。


お稲荷さん、いっぱい入れといたからね!


お母さん、ありがとうございます。


葛の葉は、尻尾を振りながら、レイカにお礼を言った。


車中。蒼也は、葛の葉に聞いた。


葛の葉さんは、九尾。


今日、戦う玉藻前も、九尾。


何故同じ九尾なのに、人間に対する接し方が違うの?


私の夫(安倍保名)と子供(安倍晴明)は人間でした。私は人間の愛を知ることが出来ました


しかし、玉藻前には、妻も子供はいませんでした。人間の愛を知りませんでした。


また、宮廷に潜り込んでは、人間に化け、悪さし、人間に討伐されてしまいました。


玉藻前は人間の愛を知らないのです。今でも人間を憎んでいます。それが大きな違いです。


神社に着き、封印されている殺生石に向かった。


殺生石の周囲には重苦しい妖気が漂っていた。


いたー。九本の尻尾を持つ狐がいた。


九本の尾が揺れるたびに空気が震える。


よく見るとひなたぼっこしながら、寝ていた。


蒼也は車に戻って、お弁当を食べようと言った。

何故、今、起こさないなの?と蒼真は聞くと、小さな愛だよ。


と言った。


玉藻前は、その会話を聞いていた。


三十分位してから、一同は、殺生石にもどった。


よくぞ来たな、


玉藻前は、葛の葉にいう。


仲間を連れてきました。


私は、戦いません。


ほぉー誰が戦うのか?


はい、安倍晴明の血をついでいる神代蒼也様が戦います。


まだ、幼子ではないか?


剣道大会の小学校の部門では、準優勝しています。


いいだろ!


ちょっと、待って!蒼也は言う。


はい、これ、少しでもいいから食べて。


お稲荷さんか!?玉藻前は、飛び跳ねて起きる。


何故、お稲荷さんをくれるのか?


負けた原因が、腹が空いてたから。と言われたら困るからね。

ちゃんと、食べてから戦ってね。蒼也は言った。


言うな...小僧...


ここまでしてくれたのならば、本気で戦わなければならない。


人間と剣で戦うならば、人間最強の剣豪を借りよう。



学校の教科書に載っている人物だった。剣は二本...二刀流。宮本武蔵だった。


妖の術や護符などは使わない。


木刀だけの真剣勝負だ。


はじめ!蒼真は言う。




玉藻前は、ゆっくり歩く。


蒼也も、合わさせて歩く。


玉藻前は、頭を狙ってくる。


蒼也は、後退しながら、木刀で弾き返す。




玉藻前の脇が空いた。


蒼也は、その隙を見逃さなかった。


胴!


しかし、かわされる


そして、小手を打たれる。




一本、そこまで!




蒼也は負けた。




まさか、こんな、あっさり、負けるとは思わなかった。




蒼也は木刀を握り締めた。


一太刀も当てられなかった。


悔しかった。


次は、私だ!


玉藻前、良いか?蒼真は聞いた。


蒼真は、日本全国大会の優勝者である。


良かろう。




互いに、木刀叩きながら、相手の様子を探る。


隙があれば、すぐ、突くが弾き返される。




そして、時間になる。




試合終了。


引き分けです。



玉藻前、楽しかったぞ!蒼真は言う。



はははっ...わしも、久々で楽しかったぞ。


だが、わしは、まだ、全力ではない。


力がまだ、完全に戻っておらん。


どうだ!?また、来月、試合をしないか?


危ないから、木刀ではなく、竹刀にしよう。


それなれば、お互い、本気で戦える。


心得た。蒼真は言う。


わしが負けたら、黙って封印されよう。

玉藻前は言った。次回は、時間無制限で戦おう。


何故か、二人、大声で笑っていた。


妖と笑いながら戦うのは、父らしいなと思った。


蒼也は、家に帰り、草薙の剣に触った。やっぱり刀が鞘から抜けなかった


お父さんにあって、僕に足りないものって何だろう?


ひとを思いやる心かな?


敵さえ敬うことかな?


蒼也は思った。

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