第四章 成長 第十三話 結界
第四章 成長 第十三話 結界
蒼真は、蒼也が、学校から帰ってくると、
「先日、この家の結界が妖に破られた。
このままでは危険だ。新しい結界を張る。
蒼也、お前もやってみるか?」
と言った。
「勿論だよ、お父さん、教えて下さい!
分かった。ランドセルを部屋に、置いてきなさい。
蒼也は、筆記用具を持ってきて、父に頭を下げた。
よし。説明しよう。
今回は、三つの結界を張る。
三つとは、
①五行結界
②白狐天星結界
③角大師護符結界
だ。
この順番で結界を張る。
まず、一番目の五行結界から説明する。
五行結界とは、木・火・土・金・水の力を利用した結界だ。自然の力を循環させることで、邪気の侵入を防ぐ。すべての結界の土台になる」
土台のような結界と思ってくれればいい。
では、やってみよう。
家の四隅と中央に五枚の符を配置する。
東 木
南 火
西 金
北 水
中央 土
五行を完成させることで結界を発動。
蒼也は、一枚ずつ符を置きながら、言う。
木よ、芽吹け
火よ、邪を焼け
金よ、穢れを断て
水よ、清めよ
土よ、すべてを支えよ
よし。大丈夫だ!蒼真は言う。
次に、白狐天星結界だ。
葛の葉さんの指示に従ってくれ。
葛の葉が自分の白い毛を五本抜く。
その毛を蒼也に渡す。
「蒼也君
結界とは守る心です。
力ではありません」
蒼也が家の四隅と中央に狐毛を埋める。
すると地面に青白い光が走る。
九尾の力を借りた
『白狐天星結界』
が完成する。
葛の葉も、
「これは私の結界ではありません。
蒼也君の結界です」と微笑む。
最後の結界が、角大師護符結界だ。
平安時代に疫病退散の護符として
有名になった護符だ。
蒼也は、南無角大師慈恵大師元三大師
(なむ つのだいし じえだいし がんざんだいし)と唱えながら、家中に貼った。
そして、最後の一枚になった時、
我、神代蒼也の名において命ずる。
角大師の加護よ。
邪を退け、妖を祓い、
この家を護り給え。と宣言した。
すると護符が一斉に光り、
「結界展開」
で、家全体を包んだ。
結界完成後――
蒼也君、お見事です。
もう私が守るだけではありません。
今度は蒼也君が、
この家を守るのですね。
葛の葉が少し寂しそうに微笑む。
蒼也は、
ううん。
僕一人じゃないよ。
お父さんも、お母さんも、
葛の葉さんもいる。
みんなで守るんだ。
と答える。
すると結界が更に強く輝く。
三重結界を完成させた夜に葛の葉が空を見上げて、葛の葉は夜空を見上げた。
「これなら、あのお方が来ても……」
だが、その表情から笑みは消えていた。
遠く離れたどこかで、
強大な妖気が静かに目覚めつつあることを、彼女だけは感じ取っていた。
第十三話 了




