第一話 二人旅の恥はかき捨てろ! 前編 (京都旅)
~京都駅~
「ようやく着いたーー!」
そう言って彼女、琴木優奈はグッと背伸びをした。
あれから一夜明け、辺りが眩しい。
なんだかんだで流されて着いてきてしまった私は駅を見回した。
「いやしかし、久々に乗ったけど新幹線はいつ乗ってもすごいもんだねぇ。文明の進歩を感じるかも。」
「あなた何時代の人なんですか…。まぁ、そんな事より結局、京都のどこに行くんですか?闇雲だと流石に京都は広すぎてお姉さんに会うのはキツイですよ」
あぁ、それならと言って彼女はスマホを取り出して見せてきた。
「お姉ちゃん、観光地巡りしてるみたいだから。私たちも有名なトコ周っていけばいいよ。いつかは鉢合わせるでしょ。」
「すっごい適当ですね…」
「まぁ、急がば急げってことで早速行こうか。私、京都の行きたい場所、新幹線の中でずっと考えてたんだよね〜」
「ホントにお姉さんを探す気ありますよね?」
私は彼女にまたもや引きずられながら心の中で
(本当にこの人に着いていって大丈夫なのか?)
と早くも不安に駆られた。
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~清水寺~
「おっ、ようやく見えてきた。あれが清水の舞台かぁ〜人生で初めて来ただけあって感動もんかも」
「私は無事に着いたことに今感動してますけどね。」
「わっ、純子いつの間に」
「というか京都、複雑すぎません?一体バス停いくつあるんですか!人も無茶苦茶多いですし!」
「確かにここに来るまでにまさかの2時間かかったもんね。」
「いやまぁそれはあなたが一人で突っ走ったのも確実に原因の一端ですけどね?」
「ごめんてば。それよりも早く入ろうよ!タイムイズマネーって言うでしょ?」
「まったく、調子いいんですから⋯」
私は先が思いやられるなぁ、と思いつつもすでに走り出していた琴木さんを追いかけていった。
「さて、先ずは何処から回ろうかな。お、純子あの塔って何かな?」
「ちょっと待って下さいね。え〜〜っと『三重塔、高さ約30メートル。国内最大級の三重塔で、京都の街からよく望見できることから古くから清水寺のシンボル的な存在です。創建は847年、現在の建物は江戸時代の1632年に再建されたもので、大日如来像を祀り、四方の壁に真言八祖像、天井・柱などには密教仏画や龍が極彩色で描かれています。』らしいです。」
「へぇ〜、詳しいね。もしかして来たことある?」
「あ、いやそこにパンフレットが置いてあったんですよ。」
「マジ?私も貰ってくる!」
「あ、そっちじゃないです!そっちは反対側ですよ!!」
言うやいなや彼女は凄まじい速度で駆け出した。
行動力高すぎでしょ!と思いつつ声を張り上げた時には姿が見えなくなっていた。
「すごいな⋯」
「ヤバいですね⋯」
何とか琴木さんを探し出したあの後、私たちは清水の舞台に今まさに直接立っていた。
「すっごく迫力あるね。こりゃあ清水の舞台から飛び降りるなんて言って下観た人、失神モノじゃない?」
「目の付け所がシャープですね⋯。普通、ここから見える綺麗な景色とか気にしません?」
「そこら辺に関してはまぁ、個人差でしょ。それで言うと、純子も一言目がヤバいって語彙力失ってない?」
「うっ。ま、まぁでも迫力に圧倒されたのはどっちも同じってことですからね。」
「あ、誤魔化した」
「そ、そういえばお姉さん探すんですよね。ここら辺は人も多いですし、もしかしたらいるかもですよ!」
「確かに。でもパッと見た感じ居なさそうかな。次、行きますかぁ。」
「なんか軽くないですか?まだお守りとかも買ってないし、もう少しちゃんと探しても⋯」
「まぁ私、後ろは振り返らない主義だからさ。」
「えぇ⋯」
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~伏見稲荷大社~
「さぁ着いたよ。ここが有名な伏見稲荷!」
「今度も何とかはぐれなくて少し安心しましたよ。」
「純子は心配性だなぁ」
「さ、ここは頂上まで長いからね。どんどん登ってこうか。」
「後でお守り買わせてくださいよ。」
「分かってるよ〜」
「はぁ⋯、はぁ⋯。」
「お、あそこにみえるのおもかるいしじゃない?」
「ま、待ってくださいよ〜」
「大丈夫、純子?というか体力無さすぎでしょ!ちゃんと普段から運動してる?」
「自慢じゃないですけどこちとら高校の時は1000メートル走はいつもドベ争いしてたんですよ!?」
「本当に自慢できることじゃないね⋯」
「で、おもかる石って何なんですか?」
「お、急に立ち直った。おもかる石ってのは、持ち上げた時に予想より軽ければ願いが叶い、重ければ叶いにくいらしい。まさに今の私たちにピッタリでしょ?」
「確かに。それじゃあ持ち上げてみますかぁ。せーのっ!」
「お、思ったより重い〜〜」
「あはは、純子は運動不足だなぁ。貸して貸して!」
「うっ、思ったより重いかも⋯」
「⋯⋯⋯。」 「⋯⋯⋯。」
「お互いに、前途は多難ですね。」
「み、認めたくない〜〜!」
※この後お守りをちゃんと買いました。
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~金閣寺~
バスから降りた私たちは歩いて金閣寺まで向かっていた。
「金閣寺ってさ、結構京都の外れにあるよね。」
「確かに。何ででしょう?」
「ま、私達が考えても仕方ないか。それよりほら、見えてきたよ。金閣寺。」
「おお〜〜!やっぱり生で見ると違いますね。室町時代からあったとは思えない⋯」
「正確には一回焼失してるらしいけどね〜。」
「あ、そうだ!ツーショット撮ろうよ!金閣寺をバックにさ!」
「え?ツ、ツーショットはちょっと恥ずかしいかも⋯」
「な〜んでこんな所で躊躇してんのさ!ほら撮るよ!ハイ、チーズ!」
「チ、チーズ〜」
パシャッ!
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~帰り道のバスの中で~
「結局、お姉さん居ませんでしたね。」
「まぁ、まだ始まったばっかだしね。いつか見つかるよ。」
「ちなみに今日、どこに泊まるんですか?まさか野宿だったりして⋯」
「そんな訳ないでしょ。今日は旅初めだからね。ちょっと豪華だよ。ほら、これ今日泊まる所。」
「た、高っ。流石に少しは出しましょうか?」
「いいの、いいの。私が無理やり連れてきたんだし。」
「でもホッとしましたよ。というか、どこからそんなお金が出てるんですか?琴木さんって一応私と同い年ですよね?」
「まぁ、ちょっとね。」
「ふーん。怪しいお金じゃないですよね?」
「違うわ!と、とにかく私たちは今日昼ご飯も食べてないし、いっぱい食べて、温泉入って、寝て、明日に備えよっか。」
「そういえば、明日どこ行くんですか?」
「お姉ちゃんの投稿内容的に奈良公園に行くっぽいんだよね。」
「てことは明日は奈良ですか⋯」
「ま、明日も気合い入れてお姉ちゃん探し頑張ってこ〜〜」
まだまだ先の長い旅になりそうだと、純子はバスの車窓に流れる景色とこれから行く宿のことを考えつつ、思うのだった。
~続く~
中学の修学旅行を思い出したよね




