16 得体の知れない注射の怖さ
翌日、病院にいた。と言うか連れていかれた引きずられて、そしたら得体のしれない注射を打たれそうになって、殺されると思いもがき散らしたら気を失っていた・・・・・・・・・・
室内は固いドアでしっかり錠がされていて閉ざされている。そして、非常に静かなこの空間は、周りの壁が薄汚れていて、その汚れが邪悪なモノの形を浮かびあがされているように感じ何だか、不気味である・・・・がその部屋の窓から映る澄みきった空は何故か心を洗礼される。
その中で重々しく頑丈なベットで横たわる、1人の少女・・・・・ここ・・・どこ?
横を見ると、父と母が悲しそうな目をしていた。
「ルナ。」
「ルナ。」
2人は、心配そうに、こっちを見て話しかけてきた。
「私、一体・・・・・」
私は今まで自分で思っていた事を頭を巡らせて考え込んでいた「あっ。」クラスの全員に殺されそうになってたんだった・・・・でも、今は、そうは、思わない。
あれって幻想だったんだ!!
左横にいた、どこかで見た事のある人が「もう大丈夫そうですね。」と言っていた。
・・・・んっ!?
この人誰だ?
「ルナさんは、もう大丈夫そうですね。」
そしてまた、その人が笑顔で言った・・・・あっ!?この人ってあの時、私に得体の知れない注射をしようとした、人だ。
医者だったのか。
「良かった、本当に良かった。」
母はスゴク穏やかな表情をしていた。父も同じだった。
私はスゴク嫌がったが医者の言葉に丸み込まれるように、この病院で入院する事になった。
そして、外側から鍵の掛かった個室のベットの上で寝ころんだ。
一体何時間たったのであろう時計もなく内側からは、情報が全く遮断されたこの空間からは、人の動きさえも分からなかった、ただ窓からは建物と建物の隙間から雲がゆっくり流れ空の明るさと暗さだけは、分かる。ちょうど一つの星が見えた頃、看護婦の姿が見えた。
「夕食の時間ですよ。」
と部屋の鍵を開け、ベットの上に備えられた台の上に夕食が置かれた。色とりどりの食べ物が器にのせられて意外に豪華だった。
銀だらの照り焼きか・・「おっ!?」結構おいしい、病院の食事は、味が薄いだとか、健康を重視して味は二の次だとか学校の皆がおいしくないって噂で聞いた事あったけど全然おいしいじゃん。
最後にデザートの杏仁豆腐まで飽きなく、完食した。
悪いけど、お母さんが作る料理よりおいしいかも。
でも、ずーっとずーっと1人この部屋に閉じ込められていて薬漬けって言うのも何だか人体実験をされているみたいで嫌だった。
副作用もあり食事の時、物を口の中で飲み込む事が出来ない時もあったし・・
それで看護婦がそれを見つけて急いで医者に言いに行き薬の量が減った。
二週間後やっと部屋からお昼の2時間だけ、病院を自由に周れるようになった。そこで、私は、奇妙な光景を目の当たりにする。
イスに座わりずっと天上を見てよだれを垂らしている。高校生くらいの女の人。
そして、トイレの方に歩いて行くと、舌を出しっぱなしにして、犬のように四つん這いになり手足を交互に動かせてゆっくり歩いていく白髪だらけのおじさん。
すると、突然わたしの肩を叩いて「菜々子、菜々子。」と喉に詰まった声を出して話してきた。
そしたら、看護師の人がスグに駆けつけてきて「吉野さん、吉野さん、娘さんは、今度来るからね。」と言っていた。だけど、まだ「菜々子、菜々子。」って言って私の服の袖を思いっきり引っ張り離れようとしない。
看護師の人が説得してやっと離れた・・そのおじさんの手には、まだ力がしっかりこもっている様な気がした。




