タンザナイト国へ
「お父さま!あれが海ですか!?」
「そうだよ。ココは初めてだね。」
馬車の小窓からココティアーナはこの世界では初めての海を見て、興奮していた。
ルピシル国を出発し、7日目にして漸くタンザナイト国へ辿り着く。
海沿いの地形であるタンザナイト国は、海の幸はもちろん、珊瑚やパールといった装飾品も有名である。山もあるが、そこは野生の魔獣達が生息している為、人間はあまり出入りすることはなく、こちらから何もしなければ襲ってくる事もないらしい。
海の中にもいるみたいだけど、その殆どは深海や遠く離れた場所に生息。漁業等に影響はないようだ。
「きれい…。」
うっとりと呟くココティアーナ。なんせ、タンザナイト国の海は透き通ったエメラルドグリーン色で太陽の日差しに反射してキラキラと輝いていた。
そして、しばらくし王都内に入ったココティアーナはさらに目を輝かせた。パステル色のルネサンス様式のような建物が連なるその光景は華やかなで感動していると、
「着いたよ。ここがタンザナイト城。」
「うわぁ…!」
壁は白をベースに屋根などは青と水色の寒色系でとても大きな王城であった。
ルピシル城も十分にすごいけど、さすが大国…!
ココティアーナ達が王城に着いた頃には、すでに夕方の時刻になろうとしていた。長旅だったからなのか、食事は部屋で取らせてもらい、陛下への挨拶は明日のパーティーまで持ち越しとなった。その間ダンティール達は仕事があるようで、1人部屋を用意されたココティアーナは大人しく、置いてあった本などを読み、そのあと就寝したのだった。
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「まぁ!とても可愛いお嬢様ですわ!!」
「本当ですわ!これは張り切らなければ!」
「よ、よろしくおねがいします…。」
翌日。夜にパーティーがある為、お昼過ぎからココティアーナは王宮のメイド達に囲まれていた。
みんなココティアーナの容姿に頬を染める。こんな可愛いお姫様を着飾ることが出来るなんて腕が鳴る!とやる気満々の彼女らにココティアーナの顔は少し引き攣るのであった。
最初は入浴から始まり、つるつるすべすべに。髪の毛も洗われ、とぅるんとぅるんに。もうこの時点で体力を消耗したココティアーナ。あとは家から用意したピンク色のプリンセスラインのドレスを着て、ヘアセットに取りかかる。
「とても可愛らしい前髪ですね。」
「私は好きじゃないです…。だって言う事を聞いてくれないんです。」
そう言って、前髪を軽く引っ張り離すと、くるんと元の形に戻る。それを見て小さく溜め息をつくココティアーナにメイドは、ふふっと微笑ましそうに見つめ、
「お好きじゃない前髪もいつの日かお好きになると思いますよ?」
「うーん……?」
そうかなぁ?
そんなココティアーナの表情にメイドは優しい手つきで前髪を編み込みながら、
「きっと、その愛らしいココティアーナ様を好きだと言って下さる方が現れますわ。」
と優しく笑うのだった。
ふわふわのパーマは下ろしたまま、前髪から横の髪の毛までそのまま編み込んでいき少しほぐす。そこに小さめの花とパールを散りばめた。
メイクも薄く施し、薄ピンクの口紅をのせると、
「出来ましたわ!本当に可愛いですココティアーナ様!」
「きっと婚約の申し込みが殺到ですわね!」
絶賛するメイド達にココティアーナも鏡で自分の姿を見つめる。
ーーーうわぁ、すごい…!
どこの国のお姫様?と思わせる程、ココティアーナは可愛く愛らしい姿に変貌していた。
メイド達の技術に感動したココティアーナはお礼を伝える。その破壊力が増した笑顔に皆、やられたのであった。
「おや?可愛く粧してもらったんだね。どこの国のお姫様かと思ったよ。」
「お父さま…!」
暫く、部屋で待っていたココティアーナの元に正装姿のダンティールが迎えにやって来た。
ほんのりピンクかかったローズブラウンのタキシードにスモーキーブラック色の髪の毛を前髪も含め、いつも後ろに撫で付けるが、今日は右側に流れていた。
「お父さまもかっこいいです!」
「ありがとう。」
抱き上げられ、ちゅ、と頬にキスされるココティアーナ。お返しに、とダンティールの頬にもキスをし、首に抱き付いた。
「ん?寂しかったの?」
「……だって、朝食の時しか会ってないもん。」
なんて不貞腐れた口調で話すココティアーナ。そんな娘に不謹慎だが、可愛い。と後ろ髪を撫で、宥めるダンティールなのであった。




