第45話 終焉たるは
「あらら、これ
いくつか星、逝っちゃったんじゃないの〜?
どこまで届いてることやら」
「些末なもんだろ、テメェには
星どころか、世界落としに来てる
テメェにはよぉ」
予想以上に、さっきの攻撃は
範囲がデカくなっちまったな
ウチの艦隊は、退かせといて正解だぜ
巻き込まれちゃ、ひとたまりもねぇもんな
……それ以前に、ラグナロクの艦隊
姿が見えねぇと思ったら、案の定
下に降りてやがったか
城の中の連中を、先に狩る為か……
「全軍、直ちに下へ退避せよ!!
んで、ついでだ……暇つぶしがてら
そこの連中、相手してやりな!」
「聞こえるかしら〜?この距離で」
「うるせぇ!アイツ等はなぁ
俺と心の深い所で、繋がってんだ」
そう、わざわざ俺の指示なんざ聞かなくったって
アイツ等は、俺の考えを読んで行動してくれて……
<<ドゴン!!>>
なーんて思ってた時期が、一瞬でもあるかよこの野郎!
打ったよ、俺に向かって砲弾打ちやがったよアイツ等!
下にも降りないでまぁ……
上司の命、虎視淡々と狙いやがって
先にテメェ等はっ倒したろか!
「思い、汲み取ってくれたみたいじゃない
ほとんどの艦隊が下降りて、アレ
ウチの軍と、ドンパチやってくれてるねぇ」
あ、本当だ
残ってるの一艦だけだわ
何やってんのアレ?
「まぁそれも、じきに無意味と知るでしょうが」
「…………あぁ?」
「第一に、異世界転生
このシステムを確立させたのは、唯一
この世界の、神であった存在」
「そいつはもう、野郎の中だ
サーシャも、取り込まれてやがる」
「第二に、能力の具現化
その手段は今、アイツが握っている」
「化け物でしょ」
「そして最後に、私達全員
実験サンプルは、幾らあっても足りないって
よ〜く分かってるでしょうに」
「どーにかしてそれを止めねぇと
分かっちゃいるが、そんなの
本当に出来んのかよ」
荒れ狂う戦況の中
私達は、想定もしなかった脅威を
まじまじと、見せつけられることとなった
一応、天界の事情には通じていた女神なんですけど私
それでも、ラグナロクなんて化け物
話に聞いたことすら無かった
そもそも、この世界の理をも壊しかねない
あの、圧倒的な能力
そんな存在を、世界の管理者たる天界が
何一つ知らなかっただなんて、そんなこと
「疑問だな
あの女、ラグナロクとはいったい
何者なのだ?」
アーク、レイフォード
元天帝であるコイツにも、分からないのなら
それを知るのは、あの女
魔王軍幹部、エルシアン
「ラグナロクが何者か
言っても、理解できる内容じゃないわよ」
「かまわねぇさ、もう
俺達だけの問題じゃねぇんだ」
さっきから知り合いなのかしら、コイツ等
ゼルブラッドと、エルシアン
そしてゲルダ
やけにコイツ等だけで話が進んでいるけども……
ようやく、私達にも話す気になったのね
「そうね、じゃあ」
そこから先はまるで、別次元の話だった
こことは別の、まったくの異次元
この世界を含めた、九つの世界が
確かに、存在していると言う
そしてその世界には、一つずつ
この世の理を揺るがす『能力』があると
破壊 創造 空間 時間 虚無
再生 変化 維持 統率
それぞれの能力が、世界を生かし
持続させ続けていたと、そう
だけど元は等しく、全ては
一つの世界に纏まっていた
だがそれは弾けた
それをまた、再び一つに纏める
それがラグナロクの、目的
だからラグナロクは、あの二人から
能力だけを抜き取ろうとしている
ここに居る、私達全員を巻き込んで
野郎は、人間を能力に変換する!
「まじかよ、できんのか……そんなこと」
「この世界の神と、奴の力を合わせれば
あるいは……この世界全部を、飲み込めるかも知れない」
「既に下準備はできてるみたいよ、ほら」
この国の上空に、地面に
独特の紋様が浮き上がって来た
これが……世界を変える力
漠然とした恐怖、ただそれだけを
私は……それだけしか、感じとる事ができなかった
「こりゃ避難も無理だね
範囲が……広すぎる
国だけじゃねぇ、目に見える地平線全土が
野郎の射程距離に入ってやがる」
「どうすれば……」
私には、分かりようが無かった
この状況を、解決する策だなんて
でも、この人……エルシアンだけは
確かに、そう言った
「神の一部分でも、ラグナロクから引き剥がせれば
この力は、発動しようがなくなる
それに、ラグナロク自身は不死身でも
神は……殺す事ができる」
だがそれは、絶望の策であった
ラグナロクを殺して、力の発生を無効する代わりに
ラグナロクに取り込まれた、神を
サーシャを殺すというものだった
「コイツァ……」
辺一面、天と地を覆い尽くすように
ハンバーグを挟むバンズみてぇに、独特の紋様が展開されていく
準備は終わってたってか、この野郎
ハナから自分ごと、食わせる気か!
「魔王様ぁ、ケケ
あいにく全員、助かる道なんてないのよ?
全員が全員、ここで
原初に還るの
ああ、やっと……一緒になれるわぁ」
コイツ、随分とまぁ状況に酔ってるミテェだが
まだ終わりじゃあねぇ!
勝利を確信すんのは、まだ早い
コイツから、神の力さえ剥ぎ取れれば
この術は、不発……全員が助かる
それでも、俺一人じゃあ手に余る
だから、早く来い
「それでもイルティラ、アンタだけは逃られちゃうの
だから絶対、今ここに留めさせてやる!」
「いいや、一人で逃げはないね
今ここで、くだらねぇ茶番劇を終わりにしてやる!」
「滅弾道!!」
<<<ブッピガン>>>
来いよ!全身全霊
俺が相手してやる!
<ヴィシュン>
世界を救えるのは、俺だけだと?
こんな……こんな力で
人を軽々と殺めちまう、この手で
一体何が救えるってんだ
やるならやりきれ
そうさ、俺はもう善良になんてなれやしねぇ
だったら
それをやり切るんなら
俺は
魔王にだってなってやる!
「知らねぇよ、テメェ等が何しようが」
攻撃は、消えていた
忽然と、もこの世にはないものだと自覚した
「俺は興味もねーし、止めもしねぇ」
だがその代わりに、その男は立っていた
「だがな」
赤髪をなびかせ、悠々と
ただ、ラグナロクを睨み付けて
「サーシャ返せや、ラグナロク!!」
「天理……柳犁ぃ!!」
最後の、希望が
「よーやく来たの、来ちゃったの!?
そりゃそうよね、あんだけ手塩をかけて育てた
その能力使えるやつ、厳選してやったんだから
私の滅弾道うち消せるくらい、能力極めなきゃ駄目よねぇ」
「返すよ、それは」
<<<ヴァグオォン>>>
「あぴゃ」
包み込んだ、漆黒が
ラグナロクの全身を!
別次元を挟んで、相手の攻撃を跳ね返したのか?
やはりこの男、相当に能力を使いこなしている
「天理柳犁!シンプルに言う
そいつの弱点は、神だ!
そいつ自身は倒せないが、そいつが取り込んだ神なら
そいつごと抹消できるやも知れん」
「うるせぇ却下じゃあ!!」
拒絶!?この状況で……
ラグナロクを止めなければ
この世界に救いはないぞ
「救出だ、いいな
最も優先すべきことは、『サーシャの救出』だ
その為なら野郎も、テメェも
分け隔てなく、俺は始末する」
救い出すと言うのか!?彼女すらも
もう吸収されているのだぞ……
それを取り除くと言うことは
奴を殺すことよりも難しい
「だが、その心意気気に入った!
仲間の犠牲は、無い方がいい」
「ああ、手ェ貸してくれんのか?」
「無論、そのためにここにいる」
最終決戦だ、ラグナロク
次回へ続く!!
次回 最終決戦




