第41話 望まれぬ再会
「つーことは、アンタ等
味方、でいいんだよね」
「そうよそうよ、勿論よ
私達は、柳犁君のお友達
是非ともお手伝いしますとも」
行動全てが胡散臭い、この男
ダンプットダン・ゼルブラッド
今までの経緯を含めて、両陣営
協力すべきだと断定、行動を共にすることを決めた
そもそも、この両者とも
アークが匿っていた形なのだが
その情報は、共有されていなかった
あんまし信用ならないから、と言う理由で
「しっかし驚いたわ
女神だ天使も、超常的存在だと思っていたけど
それでも寿命はある、なのに
貴方、本当に不死者なのね……」
カターナが口にする、驚愕の事実とは
不死者、ダンプットダン・ゼルブラッドの出現
前回吹き飛ばされた腕も、一瞬にして
まるで後も残さず、再生したのだ
「そうさね……
命あるものは、形あり
形あるものは、命あり
いずれ例外なく、それは崩れ去る
それが自然の摂理、それに逆らうってのは
最早、生き物ではなくなると言うこと
僕にはどうしてか、そんな自然のルールが通用しない
はっきり言って、とても虚しいよ」
虚しい、そんな顔をしているかな
いく年かぶりに
「そんなこと言う玉かい
ゼルブラッド、忘れちゃいないでしょうね
私達の仇が、ここにいるんだから」
「そうさね、じゃー気を取り直して
この先!
敵さんの親玉、取りにいきましょうかね」
「………………」
ついて、けねぇ
柳犁でも大概だったけど、アレの周囲には
よりによって、なに?
こうも簡単に、天使だ女神を超えてくる人間が出て来る訳
私ハァリナ、一応女神やってますけど
泣けてくるわ、この異常事態……寒気
今更だけど気づいちゃったのよ、体が……記憶が
この戦いは、ただ
世界を相手にしたんじゃない
世界の理の外にある、何か
今私達が相手してんのは……そういう
<バタン>
「おっしゃー、前線突入じゃい!……って」
「あれ?もう来たの、早いなー
一人目も始末出来てなかったのに」
<ゴキィ>
化け物なんだって
「アーク!」
「弱い、これじゃあだめね」
<ポイッ>
アーク・レイフォードの腹部を貫いた、触手
それを引き抜き、アークをポイ捨てる
一対一じゃあ、あの女
元天帝にすら、勝るというの!?
嘘……これだけの戦力を失って
私達に、勝ち目なんて……
「……うーん、それでもまだマシな方ね
ねぇ皆様、私一つ提案がありますのん」
触手に身を任せ、楽そうな態度で女は
私達に、こう提案してきた
「その子、天帝だったっけ?
私の見るところ、その子があんた等で一番強そうだから
蘇生する時間あげる、けど代わりに……」
代わりに……なによ
「一発デカイの、あんた等の誰かに向かって
ぶっ放していいかしら?
ほら、デモンストレーションってやつ?
強さとかそーゆーの、見せつけてみたいのよねぇ」
………………何言ってんのよ、コイツ
あの顔、楽しんでるっていうの?
この状況
人一人、瀕死にさせといて
なんの跡目もないって、そんな……
この時ハァリナは、得体の知れない何かを感じていた
それは、今まで経験したことのない
吐き気を催すような、悪寒
端的に言えば、このハァリナ
生まれて初めて、心の底からビビっていた
だがラグナロク、この女には
そうさせるなにかがある
見るもの全てを否定するような、その力で
理レベルの、概念で
この女を前にしたものは皆、存在が無意味
認められない
「うーん、OK
つまり僕ちんが的になりゃいいわけだ、それで
そこのアークちゃん、助けてもいいんだな」
ゼルブラッド……さん
この男も同じ筈だ
同じく、ラグナロクという脅威に対して
恐れを成しているはず、なのに
悠々として、歩みを止めない
「おや?おやおやおやおや?君ぃ
さっきまで見たことなかったけど、誰?」
「おーう、麗しのレディに名乗り遅れるとは
これはこれは無礼なことを……
ダンプットダン・ゼルブラッド
それが私です」
そして名乗ってみせた
態度は崩さず、最後まで紳士的に
これもまた、不死たる余裕からか
「ゼルブラッド……いいわ、貴方で決定
さぁ、最高のデモンストレーションにしましょう!」
構えた!あれは確か……
滅弾道
前、私達に撃って来た破壊光線……
いくらゼルブラッドが不死だからといって、あの威力
無事に済むのか!?
ゼルブラッドがこの役を買って出たのは
不死である我が身ならば、犠牲になることはないと
そう考えたからである
だが、この滅弾道
その能力は、概念の崩壊
全ての概念を拭い捨て、その通り道にあるものを全て
塵芥と化す
この一撃を持ってして、ゼルブラッドは果たして
助かる見込みがあるのか
そんな些細なこと、この男は気にしない
何故ならそれが、ダンプットダン・ゼルブラッド!!
<<ヴァグオン>>
などと、彼が有志を示す前に
放たれた、凶弾
そのどす黒い感光は、瞬く間に
ゼルブラッドの全身を包み込み
その放出を、止めた
「……へ、へ?」
そしてその後に、ゼルブラッドの姿は……ない
「おっほーう、だいぶ調子戻って来たわね
一発で十分、人消せるだけの威力……
これは楽しくなりそう」
「ラグナロク!!」
咆哮を
ラグナロクへ抱いた恐怖を捨て
啖呵を切る、ハァリナ
何を今更、強敵上等!
怖気付いてどうすんのよ……ハァリナ!
私は勝つのよ、この世の
不条理に
「!?、馬鹿
一人で突っ込むな!」
単身、ラグナロクへと突っ込むハァリナ
それは怒りからか
自分の見定めた敵が、敵でなく
真に強大な敵が、目の前に居た
この世の不条理の塊のような存在が、そこに
だからコイツに、勝つ
<ズシャ>
「あっれ〜、急かされちった」
「………………コイツぁ」
皇と名乗る野郎と、ここ数分
俺等三人はやり合って居た
どーゆー訳か、俺も
ヴァルも、オルテンシアさんも
みんな、コイツに傷一つ付けられてねぇ
まるで攻撃が通らねんだ、なのに
今、ここへ向かって飛んできた光線は
野郎の体の大半を吹っ飛ばしやがった!
即ち、あの先に……奴が居る
「なんだこりゃ、今の攻撃
俺の魔力放出よりも、遥かに……」
「こりゃキツいねぇ
いまだかつて、出会ったことのねぇ化け物が二人
この戦場にいやがるたぁ……」
おかしい、何もかも
コイツ等は……攻撃も、防御も
今の俺ですら、桁違いに感じる
「ん〜もう、これじゃこの体おじゃんよ
となると、まぁ……使うしかないわね」
……なんだぁ、野郎
あの一撃食らって、全身が
崩れ出してやがる
同士討ちかー?
ならどれだけ間抜けなことか
”僕の、仇”
………………
”お嬢さんを、助けてあげて”
………………
ウル・キース
野郎は何を言い残して、消えやがった……
「今頃あっちの肉人形も、崩れてるかしら?
だったら頃合いよね」
<ヴァシュウ……>
すると突然、崩れかけた皇の体が
鈍く……光りだし
その形を、変えていった
「ああ、分かったよ
なんとなく、な」
柳犁の良く知る、その形へと
「嘘、だろ……
なんだってんだよ、おい」
ヴァルザードの愛する、その形へと
「………………」
オルテンシアを震わせる、その形へと
「あれが、テメェの仇か」
”ミリエル”
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